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リアクション
第11章 たまには休息を…ケルツェドルフ
「疲れた…。重労働したくらいに疲れた…」
自習の訓練が終わった後、玉藻に膝枕を要求されて休む暇がなかった。
「玉ちゃん、玉ちゃん…私ね、玉ちゃんの尻尾を抱いて寝たいな〜、駄目?」
「なんだ月夜?我の尾を布団代わりにするつもりか?阿呆、そんなの駄目に決まっているだろう。…ふぅ、仕方がない……」
袖を引っ張ってお願をする月夜に、あっさりと負けてしまった。
こんなところ誰かに見られたくはないと思い、人目につかないところへ移動する。
ケルピーたちがいた川まできたが、3人には彼らの姿が見えないため、いるのかどうかも分からない。
「玉ちゃんの匂いがする、温かくて良い匂い…優しくて、ホッとする」
「我も眠るとしよう…」
静かに寝息をたてる月夜を見ていたら玉藻も眠くなり、刀真の膝に頭を乗せる。
おかげで刀真のほうはまったく眠れない。
夕方になり、風もかなり冷たくなってたと感じた彼は2人を起こす。
「ご飯でも食べて行くか?ここまで来て、眠るだったら家でもよかった…イタッ。いちいち叩くなよ、玉藻」
「我はまだ疲れている、運べ」
「ずるーい、私も」
「え、うあっ」
歩きがないらしく、2人は刀真の背に飛び乗った。
乗り物のように扱われている気がしたが、文句を言ったら玉藻に叩かれそうだ。
ケルツェドルフのレストランへ辿り着いた頃には彼の体力はゼロに近かった。
2人が料理を美味しく食べている間、刀真は“今月の生活費どうしよう…”と真剣に悩んだ。
「やっと着いたね、キャンドルショップでも見ようか。リオン、迷子にならないでね?って、いないし」
北都が注意する間もなくリオンの姿がない。
その頃、リオンは…。
「もふもふがたくさんいますよ。柔らかいもふもふですよ、北都を触ってみてください。………?」
やっとはぐれてしまったことに気づいた。
野うさぎやリスを追っていったら2人とはぐれてしまったのだ。
「いた!リオン、1人で行かないでよ」
小動物たちと戯れる彼の声と、超感覚で探し当てた、
「こんな可愛い生き物がいたら、追いかけたくなるじゃないですか」
はぐれてしまったのは仕方がないと言いたげに、レッサーパンダを抱きしめる。
「ほんとだ、可愛いね」
「どれどれ?…こいつ、俺には威嚇してきた!!?」
ソーマが触ろうとするとレッサーパンダは牙を剥いた。
「邪気に反応したんじゃ?僕たちは平気だよ」
「元々、凶暴だろ。リオン、早く離さねぇと引っ掻くかもしれないぞ」
「大丈夫ですよ?とても大人しい子みたいだすから」
「しっぽがふかふかだね」
「ショップに行かなくていいのか?」
「あ、そうだった。うん、行こう。ほら、リオンも」
「(もふもふが去ってしまいました…)」
手を離すとすぐに森の奥へと走っていってしまった。
リオンは寂しそうに見送った。
ケルツェドルフの村に入った彼らは、さっそくキャンドルショップに向かった。
「このお店にしよう」
「たくさん種類がありますね、北都」
「さて…どれにしようか。クラシックでいくか、モノトーンデザインを選ぶか…」
棚に並んでいるアロマキャンドルを、ソーマが興味津々に見つめる。
「あ、でもお土産のキャンドルは変なことに使っちゃダメだよ?」
「使わねぇよ、馬鹿!てか、真顔で言うな!!」
“どういう用途について言ってるんだ!!!”と付け加えようとしたが、他の客に危険者だと思われそうだからやめておいた。
「クラシックなやつにするか」
ソーマは白い模様の入った透明なグラスを手に取る。
「おっと、こいつは見本だったな」
見本を棚に戻してフレグランスキャンドルが入った箱をカゴに入れる。
「え、同じの買うの?」
「インテリア用もほしいからな。お、普通の細長いのもあるみたいだな。白やピンクとか、いろいろあるのか」
「ピンク…買うの?別に買ってもいいけど…。僕は使ってあげないし、使われたくもないからね」
「いや、買わねぇよ。なんでピンク買うって思ったんだ!?ああもう、会計してくるから待ってろ」
客に変な目で見られ始め、これ以上いるとヤバイやつだと思われそうだった。
店を出ると外で北都たちが待っていた。
「そこにレストランがあるんだよ」
「和食も洋食もどっちもあって、バイキングスタイルで楽しかったですよね」
リオンはうきうきとはしゃぐ。
レストランに入った3人はトレイに皿を乗せて料理を選ぶ。
「海苔巻きがあるね」
サーモンマリネ風の刺身を巻いた海苔巻きを皿に乗せる。
「マグロのステーキの中に、何か入ってますね?」
「リオン、中身はテーブルで見よう」
「あとお茶や、お吸い物も…。おや、ソーマは…?」
「先に席で待ってるみたい」
「選ぶの早いですね。もっと楽しんで選らばないと!」
「トレイにお皿が乗りきらないから戻るよ」
あれもこれもと皿に盛り付けようとするリオンを北都が止める。
「遅いぞ」
「ごめんね、食べようか。いただきます」
「マグロの中にお野菜がたくさんありますよ!北都のは何が入っているんですか?」
「たぶん森の野草かな?苦くないし、しゃきしゃきしてて美味しいよ」
「柔らかくて食べやすい肉だな」
ソーマは子牛のステーキを切り口へ運ぶ。
ハーブ鳥のレモン風味のサラダもよく味わい、赤ワインを注いだグラスに口をつける。
「お酒飲むのはいいけどさ、飲み過ぎないでよ」
“酔ったらよろしくな”と言われたが、すぐさま“無理”と即答した。
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