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地球に帰らせていただきますっ! ~5~

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地球に帰らせていただきますっ! ~5~

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 ■ 両親である人の墓参り ■



 こうして地球に降りるのも久しぶりだ。
 上野駅で新幹線を降りて、橘 恭司(たちばな・きょうじ)はしばらくぶりの地球の空気を吸った。
 パラミタにいると毎日色々なことがあって、諸事に紛れて地球のことを忘れがちだ。
 ましてや恭司はパラミタで【ゆる猫パラミタ】を経営している為、どうしてもそちらに意識が向いてしまう。
 たまたま今回、機会があって地球に降りてみたのだが……いざ来てみると行く当てが無い。
 地球には恭司の血縁者はいないし、パラミタにいる間に疎遠になってしまっている地球での友達に、いきなり連絡を取るのも憚られる。かといって、地球で何処か行きたい場所があるかと言われても、すぐには思いつかなかった。
(何をして過ごしたもんか……)
 地球に降り立ったものの、恭司は考えあぐねていた。


 やがて恭司は、行く場所を思いついた。
 確か調べた結果が携帯メールに残っていたはず……と確かめれば、そこには霊園の名前と住所が載っていた。
 それは……恭司の両親が眠る墓のある場所だった。
 折角お盆の時期に地球に来たのだから、ずっとしたことがなかった両親の墓参りをするのも良いだろう、そう思ったのだ。

 墓参りをするのだからと、霊園にある花屋で恭司は供花と、ろうそくと線香がセットされた墓参セットを購入した。
 お盆時期だから、霊園を訪れる人はとても多い。
 見渡す墓には花々が飾られ、お参りをする人の姿も見られる。親に連れられてきているのか、子供の甲高い笑い声まで聞こえてくる。
 この時期の霊園はやたらと賑やかで華やかだ。

「ここか」
 少し迷った後に探し当てた両親の墓は、予想していたよりずっと立派で、恭司は意外に思った。
 両親の婚約と恭司の出産は、一族からの猛反対を喰らって、その結果勘当されたと聞いている。
 だから辺鄙なところにひっそりとあるのかと考えていたのだが、まさか京都の霊園に立派な墓が建っているとは予想外だった。

「来るのが8年ほど遅くなったな。悪い」
 そう詫びると、恭司は墓に花を供えた。
 恭司には両親の顔はおろか、一緒にいた記憶すらない。
 だから未だに、ここに眠る人たちが自分の両親だったという実感も持てない。
 けれどそれが自分の生みの親であることは間違いないらしいから……と、恭司は墓に手を合わせた。
 語る言葉は思い浮かばないけれど。
 自分をこの世に生み出してくれた人たちが、安らかであるように――と。