First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last
リアクション
リアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)と狼姿のスプリングロンド・ヨシュア(すぷりんぐろんど・よしゅあ)子供救出のため森の中を歩いていた。道に迷わないように木にマーキングや爪で研いだ跡を付けて印をつけながら先を進んでいた。
「早く子供達を見つけてあげないと」
リアトリスは『超感覚』と『殺気看破』で周囲を警戒していくが、子供の姿はどこに見つからない。かなり奥の方まで行ってしまったのだろうか。
「そうだな。この寒い中、子供の体力が持つとは限らんからな」
スプリングロンドも気持ちはリアトリスと同じだが、辺りには人影さえない。
そんな時、四方から広範囲の捜索を指示していた忍犬が戻って来た。
「どうやら、子供がいる場所を二カ所、見つけたようだ」
忍犬の報告を聞き、リアトリスに教えた。
「本当!? お義父さん。じゃ、二手に別れて助けに行った方がいいよね。でも……」
子供の居場所を見つけて安心するが、場所はここからかなり遠い所とほんの少しの所の二カ所。二手に分かれて同時に助ける方がいいが、遠い場所にいる子供が辿り着くまで無事でいるか心配だ。最善の方法を考えなければならない。
少し考えていた時、子供捜索に加わっていた宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)が現れた。
「私も手伝うよ。私にはこんな森、平野と一緒だから少し遠くてもすぐに駆けつけることができるわよ」
「本当に? だったら、君はあっちの方をお願いするよ」
祥子の言葉にリアトリスは、今の場所から子供までかなり遠い方向を示した。
「シャンバラ人の男の子だ」
スプリングロンドが手に入れた情報を祥子に伝えた。
「分かった」
祥子は情報を聞くなり、『妖精の領土』で森を駆け抜けた。
「うぇぇん、寒いよぉ。おかあさん、せんせぇ」
疲れ切ったヴァルキリーの女の子は雪の上に座り込んで泣いていた。道も分からないし一歩も動けない。
「見つけたよ。もう大丈夫だよ」
リアトリスとスプリングロンドが女の子の所に駆けつけた。
「あっ、ワンちゃん」
女の子はリアトリスの側にいるスプリングロンドに抱きついてもふもふした。子供には狼と犬は同じように見えていた。子供の前で喋らないようにしているスプリングロンドは、嫌がることなく女の子に撫で撫でされている。
「じゃ、プリンと一緒に帰ろうか。歩けるかな?」
とりあえずいつまでもここにいる訳にはいかないので離れるために言ったが、女の子は歩けないと頭を左右に振って答えた。
「……プリン」
リアトリスの呼びかけで何をしようと考えているのか察したスプリングロッドは子供から離れて木々の中に消えていった。
「ちょっと待っててね」
スプリングが離れてつまらなさそうな顔をしている女の子に言ってしばらくして忍犬四匹と一緒に人力車を引っ張りながら現れた。
「うわぁ、ワンちゃんすごぉい」
女の子は手を叩いて喜んだ。
「これに乗って一緒に帰ろう」
リアトリスは女の子を抱き抱え、人力車に乗せてた。人力車は、スプリングが忍犬に指示をし、ゆっくりと動き始めた。
「もう一人の子供の方が心配だから行きたいんだけど。いいかな?」
リアトリスはこのまま森を抜けるのではなく、シャンバラ人の男の子と祥子が気になったため女の子に聞いた。
「いいよぉ」
人力車に乗せて貰って満足な女の子は元気に答えた。
それを合図に祥子が向かった場所に急いだ。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Next Last