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リアクション
小谷 愛美(こたに・まなみ)、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)とコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)の三人は、森の中にいた。
「愛美、あっちの方を探してみようよ。とその前に……」
美羽はペットの賢狼三匹に子供達の臭いで追跡することを思いついた。
「うん。早く見つけてナコ先生を安心させないとね。今頃、みんなも子供とブローチを探してくれてるよね」
愛美は力強く頷き、二人が動き始めた賢狼について行こうとした時、
「あの、僕ブローチを探しに行ってもいいかな。ナコ先生のブローチどうしても見つけてあげたいから」
おずおずとコハクが言葉を挟んだ。彼は子供のことは心配だが、ブローチも早く取り戻してあげたいと思っていた。
「いいよ。絶対に見つけて来てよね!」
美羽はあっさりと言った。ブローチも子供達と同じように大事だと知っているので。
「子供達のことお願い」
コハクは二人と別れてブローチを探しに行った。
賢狼達を先頭に歩いていた時、前方からツァンダグリズリーの咆哮が聞こえてきた。
「愛美、急ごう。子供がいたら大変!!」
先を走って行く賢狼に続くと美羽の言葉通り、泣いているヴァルキリーの女の子がいた。
「愛美は、子供をよろしく」
「分かった」
愛美は子供を守り、美羽は二人の前に立ち、『適者生存』で自分が上位存在だと悟らせ、グリズリーを追い払った。
「……もう」
大丈夫だと二人に言おうとした時、二人に悲鳴。ツァンダオオカミが脇から飛び出し来た。
「愛美!!」
急いでオオカミを大人しくさせるのと同時に横から
「マナ!! 危ない!!」
愛美の叫び声を聞きつけて『ゴッドスピード』で朝野 未沙(あさの・みさ)が現れたかと思うとそのまま『庇護者』『龍鱗化』『強化装甲』であらゆる攻撃から身体を張って愛美を護りに入った。
「わぁ、未沙!」
あまりの勢いと『抑え込み』で押し倒される形になってしまった愛美。
その間、美羽はツァンダオオカミを見事に追い払った。
「マナはあたしが守るからね。あ、んゴ、ゴメン」
「ちょ、ちょっと未沙」
すっかり平和に戻ったというのに離れようとしない未沙に戸惑う愛美。しかも抱き締めている手の片方が胸に当たっている。
「こらぁ、何してんの!」
せっかく自分が活躍したというのに誰も注目してくれていないので美羽は少しイラッとしていた。
「何ってマナを守ってるんだけど」
分かり切っていることを聞くなというように美羽に言い放つ。
「守ってるって、全然そう見えないし。それに早く森を抜けないとまた来ちゃうかも」
おかしな所にある手に目がいくもすぐに周囲に注意を戻す未沙。
「だったら、またマナを守るんだから。全力で」
未沙は抱き締める手に少し力を込める。
「と、とにかく子供を森の外まで連れて行かないと。ね」
「……仕方ないなぁ」
何とか愛美は離れるように未沙に言うと渋々離れた。
「ほら、一緒に帰ろうね」
愛美が子供に手を差し出し、
「お姉ちゃん達がいれば怖い動物は逃げて行くから大丈夫だよ」
美羽がモンスターなんか平気だということを強調した。
「うん」
女の子はこくりと頷き、愛美の手を握った。
「さぁ、急ぐよ」
先頭を歩くのは、賢狼を連れた美羽。
「マナは子供の心配だけでいいからね。あたしがマナの心配をするから」
未沙はしっかりと愛美の横を歩いて周囲を警戒する。いつでも愛美を守れるように。
「……ありがとう」
愛美はとりあえず礼を言った。
何とか無事に森を抜けるも賑やかさに驚くことに。
「マナ、何か賑やかだよ」
「何かしてるのかな」
森を抜けてすぐ未沙は不思議そうに一番賑やかな方を指さした。
愛美も気になるのか顔を向けている。
「……あれって」
先頭を歩いていた美羽は二人よりも先に何が行われているかを知り、少し不満顔になっていた。
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