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リアクション
森へ行った人数と名前を確認した橘 恭司(たちばな・きょうじ)は子供達を助けるために急いだ。
「……ふぇぇ」
あまりに大きなツァンダグリズリーに足を竦ませているヴァルキリーの男の子を発見した。
すぐに『バーストダッシュ』でツァンダグリズリーと男の子の間に入り、『龍の波動』を使って相手を怯ませる。
その隙に
「兄ちゃんが来たからもう怖くないぞ」
男の子に声をかけるため、一瞬グリズリーに背を向けた。
声をかけられた男の子の顔色が青くなり叫び始めた。
「お兄ちゃん、危ないっ!!」
空腹で気が立っているためか効果がなく、襲いかかるグリズリー。恭司は素早く反転し、眉間に強烈な拳を打ち込み、鳩尾に掌打を一撃打ち込んで巨大なグリズリーを昏倒させた。
「うわぁ、お兄ちゃん強い」
男の子はきらきらした目で恭司を見た。
恭司は、グリズリーの昏倒を確認した後、男の子の所に行き、屈んで目線を同じにした。
「どうしてこうなったか分かるか? 先生が何言っていたか覚えてるか?」
口から出てきたのは少し男の子には厳しい説教の言葉だった。
「……それは」
半分涙目でじっと地面を見つめる。しっかりと覚えているのだ。
「危ないから行ってはだめだと言っていただろう。もし、俺が来なかったら先生や友達に会えなくなっていたんだぞ」
恭司の説教は続く。
「……だってぇ、先生の大事なブローチが」
思わず顔を上げて子供ながら自分の意見を言葉にする。悲しそうにしているナコを何とかしたくてたまらなかったのだ。
「あぁ、その優しい心は大切にしないといけないが」
先生思いの男の子の言葉で説教は終了。
「幼稚園に帰ったら心配かけたこと先生に謝るんだぞ」
最後にやらなければならないことを厳しく言ってから森から出る道を歩き始めた。
「……分かった」
恭司の言葉に頷き、強いお兄ちゃんと並んで歩き出した。
「何だ、この賑やかな歌は」
「この歌、僕知ってるよ。幼稚園で習った歌だ」
森を二人で歩いている時、横から賑やかな歌が近づいて来た。男の子もなんだか歌い始めている。
「あ、恭司」
「恭司様」
子供達と手を繋いで楽しく歌いながら歩いている郁乃と桃花が現れた。
「キミらも子供を助けに来ていたんだな」
二人の子供を確認しながら言った。
「うん、そうだよ。ブローチは気になるけど、子供達を助けるのが最優先だからね」
「子供達が怖くならないように歌いながら戻っているところです」
郁乃が子供と繋いでいる手をぶんぶん上下に振りながら言い、桃花も二人の子供達に笑いかけながら言った。
「ねぇ、僕も歌ってもいい?」
「いいよ。歌おう歌おう」
男の子の問いかけに明るく答えて郁乃は空いている手で男の子の手を繋ぎ、また歌い始めた。
恭司は後ろから周囲を警戒しながらついて行った。
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