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リアクション
コントラクターブレイカー
事態に気づいた砕音・アントゥルース(さいおん・あんとぅるーす)は、偽アズールを守るために駆けつけて参戦する。
特殊弾丸で撃たれ、偽アズールを殺そうとしていたクイーン・ヴァンガードが倒れる。
しかし、特殊弾丸の効果は気絶や痺れのみで、撃たれた者は死ぬことはない。
「テメェ等の覚悟と俺の覚悟……どっちが強いか勝負しようじゃねぇか」
ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)が叫ぶ。
アイン・ディスガイス(あいん・でぃすがいす)もサポートする。
「ヒャッハァー! 性帝陛下のお通りだアー!!」
「ドルンドルンドルンドルルルルルルルルルン」
南 鮪(みなみ・まぐろ)はハーリー・デビットソン(はーりー・でびっとそん)にまたがりやってくる。
「何時ものドヘンタイ策士と思う無かれ、今宵のサムライソードは本気でござるよ」
「仕方ありませんわね。今回は特別ですわよ? 存分にお使いなさい」
坂下 鹿次郎(さかのした・しかじろう)の真面目な心意気に姉ヶ崎 雪(あねがさき・ゆき)は光条兵器を出す。
偽アズールを助けたい桐生 ひな(きりゅう・ひな)は、仲間のために砕音やラルクの撹乱を担当していた。
「私だって本気ですし手段を選べぬのですっ。できれば貴方と戦いたくなかったですが……」
ひなは、ラルクを目標に絞る。
ナリュキ・オジョカン(なりゅき・おじょかん)は、ジークリンデの保護をしたかったが、偽アズールが先に現れたので、ひなのサポートに回る。
「荒療治ですまぬが、今は我慢せい」
「オレも手加減せずにやらせてもらう。やるんなら徹底的にだ!」
アインは、アシッドミストで視界をさえぎり、ラルクのサポートをする。
ゆるやか 戦車(ゆるやか・せんしゃ)は戦いの中、その名の通りに、ゆっくり後退していく。
「ゆる専、土俵ぎわで引くな!」
懸命にリコの盾役を努めるアシュレイ・ビジョルド(あしゅれい・びじょるど)が、戦車に怒鳴る。
(撤退と見せかけて、追ってきた敵を溝とかにハメた所で撃つ、という作戦でありますよ)
口に出すと作戦がバレてしまうので、そう思うだけの戦車。だが砕音は引いていく者を、あえて追い討とうとしない。
テティス・レジャ(ててぃす・れじゃ)は、星槍コーラルリーフを握りしめる。
(コーラルリーフを使えば、対抗できるはず……でも、この乱戦で、星剣の力を解放したら、彼方や皆まで巻き込んでしまう! そんなことできない!)
ためらっているうちに、砕音は対十二星華用に特別強化した痺れ弾丸を放ち、テティスは倒れる。
「テティス!!」
皇 彼方(はなぶさ・かなた)は叫ぶが、テティスに向かって撃たれた弾丸の効果も、気絶や痺れをもたらすだけのものであった。
コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)は、時間稼ぎのため、砕音に問いかける。
「美羽から砕音さんは素敵な先生だって聞いていました。そんな先生が、なぜ世界を滅ぼそうとする鏖殺寺院に……」
(僕は、周りの人に助けられてばかりだったけど、今度は僕が仲間を助けたい!)
コハクのパートナーの小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は、リコの盾役をする。
蓮見 朱里(はすみ・しゅり)は、環菜が砕音を除く二人、ジークリンデと偽アズールを殺せと言ってないのに真意があると考えていた。
朱里は、砕音の注意を引くために訴えかける。
「イリヤ分校が、パラ実四天王に狙われていた少女を庇って壊滅しました。
……それでも私は、たとえ勝ち目がなくても彼女を守ろうとした皆の判断は『正しかった』と思います」
涙をこらえて、朱里はさらに続ける。
「鏖殺寺院が本当に『正しい情報』を知っているなら、何故ああも間違ったことばかりするのですか?
本当に必要なのは、何よりも人々を幸せにしようという『意志』ではないのですか?」
朱里のパートナーのアイン・ブラウ(あいん・ぶらう)は、壁役として朱里や仲間を護衛する。
(もう、虐殺の悲劇は繰り返さない。
僕はなんとしても仲間を……朱里を守ってみせる!)
大切な存在である朱里のため、アインは決意する。
コハクや朱里に、砕音は悲しそうな顔をして何も答えない。
シルヴィオ・アンセルミ(しるう゛ぃお・あんせるみ)も、砕音に話しかける。
「あなたを今も慕っている子達は少なくない。最後の最後まで希望は捨てないでくれ」
パートナーの アイシス・ゴーヴィンダ(あいしす・ごーう゛ぃんだ)は、後方から補助と回復の支援を行っていた。
(砕音様……ただ悪戯に人々を惑わせている訳ではないのでしょう?
ならば私は、私とシャンバラの人々の願いを叶える為にこの戦いを生き抜かなければなりません)
シルヴィオは、偽アズールを救助することについて考えていた。
(さきほど、偽アズールの胸から転がり出てきた球体、あれがもしかしてスフィア?
なら、救出することに説得力が出るんじゃないか?)
パラ実生の川村 まりあ(かわむら・ )は、場違いな明るさで呼びかけ、手を振る。
「砕音先生〜! 新学期始まっちゃいますよ〜帰りましょう〜!」
まりあの方に、一瞬、砕音は視線を送る。
「イリヤ分校壊れちゃったんで〜外での授業になっちゃいますけど、もう春だから青空授業も楽しいですよぉ! まりあ、給食代わりにお弁当作るんで、授業しに戻って下さい〜」
かまわず襲ってくる学生達を、砕音は痺れ弾丸で気絶させる。
ふりむいてくれなくても、まりあは懸命に呼びかけ続ける。
「まりあ、砕音先生がパラ実に帰って授業してくれるまで探して追いますから! ずっとずっと追い続けますから!」
「おまえ、何言ってるんだ! 砕音・アントゥルースは鏖殺寺院幹部だぞ!」
まりあのパートナーの増岡 つばさ(ますおか・ )は、まりあの行動に怒るクイーン・ヴァンガードを宥める。
「まあまあ、カッカしないでよ。目的は救出でしょ?」
つばさは、まりあにあずかったロープを持って考える。
「まりあが『砕音先生に攻撃する人がいたら、これでぐるぐる巻きにするんだ』って言うから縄を預かってるけど。鏖殺寺院最強の将って言われるラングレイに立ち向かうなんて……駿河君くらいしか思いつかないけど、そうそう会わないかしら」
そうつぶやいていると、駿河 北斗(するが・ほくと)と、影野 陽太(かげの・ようた)、樹月 刀真(きづき・とうま)が飛び出した。
(甘すぎる考えかもしれませんが、砕音先生には何か考えがあるのではないでしょうか。
でも、俺は、蒼空学園生として、敵対するしかない……環菜会長のために、全力で戦います!)
「命令通りあなたを倒します……」
勝ち目がないと思いつつも、環菜のために精一杯戦いたいと思ってる陽太に、パートナーのエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)は感心する。
「これが「御神楽環菜効果」……あの臆病者をここまで奮起させるとは、驚きですわ」
エリシアは、魔法で陽太を支援する。
漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は、刀真のサポートをしつつ、一部始終の様子を銃型HCで記録しながら後で環菜に報告しようと思っていた。
「ダメ……うまく撮影できない」
しかし、撮影についての特別な技術を持たない月夜が、戦闘に集中しつつ、映像を撮影するというのは難しい。
なんとか撮影はできるものの、手ブレや騒音がひどく、あまり重要な記録にはならなかった。
刀真は、校長という立場で冷徹な決断をする環菜が心配だった。
(環菜はまだ18歳の女の子で、皆と同じようにジークリンデ達を助けたくても校長という立場から「殺せ」という命令を出さざるをえないんです。その迷いが「殺してもかまわない」という曖昧な言葉になって表れるのでしょう)
「環菜から『裏切り者を倒せ』と言われています……そして俺が手前を許せねえ」
刀真は、砕音を殺さずに倒そうとしていた。
ベルフェンティータ・フォン・ミストリカ(べるふぇんてぃーた・ふぉんみすとりか)は、あきれつつも、北斗が倒れて動けなくなるまでは回復で助力するつもりであった。
「……はあ、相変わらず馬鹿なんだから」
「うっ、環菜会長……」
「環菜……」
陽太、刀真は、ともに、砕音の痺れ弾丸で倒れる。
「刀真!」
月夜が駆け寄り、エリシアも、陽太を安全な場所に下がらせる。
北斗は、砕音の前に躍り出る。
「鏖殺寺院最強の将、ミスター・ラングレイだな。俺はパラ実の駿河北斗。ドージェを超える男になる為、てめえに勝負を申し込む!!」
光条兵器の両手剣の設定は“魔法を斬る”の一点に特化させていた。
「最強の将ラングレイ」を相手に、北斗は真っ向勝負を挑む。
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
北斗の全身全霊を駆けた一撃が、砕音に放たれる。
しかし、魔剣でダークヴァルキリーの呪いを斬り、正気に近づけたときとは違う感覚が、北斗を襲う。
前回は魔剣で、今回はただの光条兵器だが、武器の違いだけではなく、より、強大な呪いの力を感じる。
砕音は、ダメージも受けず、北斗の意図に気づいて、小声で礼を言う。
「ありがとう」
「うおっ!?」
そして、次の瞬間、北斗は倒れ伏した。
痺れ弾丸で眠らされる北斗を見て、つばさがつぶやく。
「捕まえる必要なかったみたいね……」
日向 朗(ひゅうが・あきら)は、環菜の命令が気に入らなかった。
(「殺してかまわない」だの「殺していい」だの……んな簡単に切り捨てンなよ!
兎に角、あのデコ校長の命令が気に食わねぇ。女子どもを犠牲にしてまで世界を救ったからなんだっつーの。そんなモンに価値があるとは思えねぇ。それに、俺には上の連中が心配しているほど、この世界が脆いだなんて思えないんだよ。世界はそう簡単に滅びねーよ。少なくとも女子どもの一人二人を助けるくらいは待ってくれるさ)
しかし、朗は、パラ実生らしくラングレイと戦う。
「てめえの強さは一体どこかからくるのか……。単純な身体能力の差なのか、道具の差なのか、はたまた背負うモンの重さや覚悟の違いなのか……。この目で確かめてやる!」
パートナーの零・チーコ(ぜろ・ちーこ)は、朗とラングレイの戦いを見守る。
「がはっ!」
予想通り倒れる朗だが、全力で戦い、悔いはない。
「命に別状なしか……。あのラングレイという男……」
零は、気絶した朗を安全な場所に移動させながらつぶやいた。
泉 椿(いずみ・つばき)は、必死に砕音に話しかける。
「先生、人殺しなんてしないでくれよ! パラ実に帰ってきてくれ!
ラルクだって先生が好きだから言えないだろうけど、同じ気持ちのはずだ!」
パートナーの緋月・西園(ひづき・にしぞの)は、椿を守る。
椿は、ラルクとひなに呼びかける。
「戦うのはやめてくれ!」
しかし、二人はそれぞれの信念の元、戦いをやめない。
「ラルクさん、私にもゆずれないものが……もしも、誰かの想いを潰してしまったとしても、貫き通さねばならないものがあるのですっ」
「迷うのは無しだ! 己の拳を信じ突き進むのみ! 俺は必ず砕音を守り通す!」
「嫌だよ! 仲間同士で傷つけあわないでくれ!」
椿が叫ぶが、ラルクの重い一撃がひなを気絶させる。
ラルクはもとより手加減などするつもりはなかったが、ひなは手加減して勝てるような相手ではなかった。
ラルクも全身に傷を負っている。
「先生……なんで寺院なんかの言うこと聞くんだよ? 具合だってよくねえのに……」
椿は涙目になって言う。
「すまねえ、安心してくれ。砕音ならきっと……」
ラルクはつぶやく。
蒼空寺 路々奈(そうくうじ・ろろな)は、マンティコアを助けるため、ジークリンデと偽アズールの救出をしようと思っていたが、戦いの場は当初の予想と異なり、うまくいかない。
パートナーのヒメナ・コルネット(ひめな・こるねっと)も同様であった。
「マンティコアのためにがんばろうと思ったのに……」
路々奈は言う。
ジークリンデ達をきちんと救出して、砕音を逃がすことで、マンティコアに居場所を作るための点数稼ぎができればと考えていたのだった。
「古王国の知識を生かして、講師か図書館司書あたりになってくれればと思っていたけど……。成功の暁にでこちゃんに彼の処遇を求める約束を取り付けたかったのに」
しかし、この時の路々奈とヒメナの努力が認められて、マンティコアは蒼空学園で、古代史や古美術の臨時講師になるための研修を受ける事になったのである。
襲ってくる者達を痺れ弾丸で気絶させ、ある程度、偽アズールの安全が保たれたら、砕音はリコに目標変更する。
今まで使っていた銃に代え、新たな銃を抜く。鏖殺博士の作った新兵器コントラクターブレイカーだ。
その異様な気を発する銃で撃ち抜かれ、リコは気絶する。
しかし、身体には傷ひとつついていない。
砕音はリコを守る葛葉 翔(くずのは・しょう)と小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)に、結界を発せさせた携帯用結界発生装置を渡して言う。
「彼女は契約者を無くし、一般人となった。鏖殺寺院にとっては、もはや消す意味が無い」
新日章会メンバーがざわめく。
前原 拓海(まえばら・たくみ)は怒りをあらわにする。
「理子様になんと無礼な!」
偽アズールのもとに、メイコ・雷動(めいこ・らいどう)が近づく。
「アズっち、ジークリンデを」
偽アズールはうなずくと、ジークリンデをテレポートで呼び寄せる。
呼び寄せられたジークリンデも、リコと同様、昏睡している。契約解除のショックであった。
「起きるがいいぞ」
偽アズールが、ジークリンデを揺り動かすとジークリンデは目覚めるが、二人の体から激しいオーラが生じる。周囲の学生達は驚く。
「リコ……」
ジークリンデは小さな声で言う。