空京

校長室

建国の絆第2部 第1回/全4回

リアクション公開中!

建国の絆第2部 第1回/全4回
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リアクション



その後

 パラ実生を乗せた飛行艇が、空京の港に戻る。
 姫宮 和希(ひめみや・かずき)石原 肥満校長がそっと出ていこうとしているのに気づいた。
「校長?!」
 肥満は和希に気づくと、ほほ笑んだ。
「パラ実へ戻る前に、ちょいとヤボ用を済ませてこようと思うてのう。心配せんでええ。生徒会と渡り合おうというなら、準備は必要じゃて」
 肥満は優しい笑顔で、和希の頭をなでる。
「俺達に力を貸してくれるのか?」
「うむ。シャンバラ大荒野でまた会おうぞ」
 肥満は確かにうなずくと、ごった返す空港の人ごみの間に消えていった。
 穏やかだが力強い校長の言葉に、和希はなぜか彼を止める事ができなかった。


 機晶姫アナンセ・クワク(あなんせ・くわく)は地球からパラミタに戻ると、すぐに砕音に連絡を入れた。いつも通り、感情の感じられない平板な声で報告する。
「はい、闇龍の海底破壊で誕生した海底火山は、順調に島に成長しているとの事です。
 太平洋とインド洋全域を襲った津波は、高い所でも数十センチで、養殖施設の被害は出ましたが、人的被害はありませんでした。
 周辺国のパニックについては、砕音さんが以前に脱出させた各地の元鏖殺寺院の方の協力で抑えられたようです」
 地球に行っていたアナンセの報告を聞き、砕音はようやく安堵の表情を浮かべた。
「そうだ。セレスティとパートナーの天穹 虹七(てんきゅう・こうな)って子が、おまえを随分、心配していたぞ。クリスティーもだな」
 砕音はアナンセに、アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)達の事を伝えた。
「アナンセ、俺に忠義を誓う必要なんか……」
 砕音が言いかけるが、アナンセは言葉が終わる前に発言した。もう何度も聞いた話だ。
「私の存在意義は、あなたの良き道具であることです」
「機晶姫は道具じゃない」
「私は機晶姫を模していますが、機晶姫ではありません」
「機晶姫の構造による定義云々じゃなくて、人工生命体が道具じゃないという事だぞ。……おい?」
 電話は切れていた。砕音は一服する事にする。
 大きく煙草の煙を吐き出した時、その背後の空気が揺らぎ、色気漂うラミアが現れた。鏖殺寺院幹部白輝精(はっきせい)だ。彼女は砕音をねめつける。
「高根沢理子の事といい、ナラカ城の事といい、ヴァンガード相手の戦いといい……本当にあなた、吐き気がする程のいい人ね」
 砕音は苦しげに目を伏せた。
「そうじゃないって事は、おまえなら知ってるだろ?
 俺は地獄に堕ちるべき人間だ……!」



 ダークヴァルキリーの姉ジークリンデ・ウェルザング(じーくりんで・うぇるざんぐ)は、魔剣の主高根沢理子(たかねざわ・りこ)との契約を解除された。
 その後、本人たちの意思とは関わらずに、偽アズールと新たに契約となってしまった。
 だが、それは闇龍の動きを制限するのに、最適だったのだ。
 ジークリンデが闇龍を止めようと願い、またナラカ城を通して世界を守ろうとする者の想いが結集されて、闇龍は現れただけで動きを止めたのだ。
 シャンバラ本土での人的被害は無い。
 しかし今もなおシャンバラ地方には闇龍が巻きついたままで、奇妙な霧や嵐として存在していた。
 巨大な闇龍にとっては、これは寝覚めのわずかなうたた寝に過ぎない。
 いずれ、そう遠くないうちに本格的に暴れ始めるだろう。
 世界を滅ぼす為に。
 そして闇龍の制御する術は、すべて鏖殺寺院の手中にあった。


教導団憲兵

 空京の第一師団仮設屯営の反省房。
「おお、来たか」
 マリー・ランカスター(まりー・らんかすたー)カナリー・スポルコフ(かなりー・すぽるこふ)が房に連行されてくると、すでに房にぶち込まれていた憲兵科大尉灰 玄豺(フゥイ・シュエンチャイ)が気のない調子で迎えた。
「大尉殿、急に姿が見えなくなったと思ったら、お先に来られていたとは。やはり、あの教授でありますか?」
 珍しく大尉が笑みを見せる。土佐闘犬が歯を向いたような感じだったが。
「学者という者は、あまり権力闘争に興味を示さんと思っていたが、あの教授先生は、第一師団内に陰の一大派閥を作り上げているようだな」
 マリーはうなずく。
「教導団技術科の施設や経費で、趣味と実益を兼ねた研究三昧……よいご身分であります。資金面で引っ張れる所が無いか尻尾を探していたら、この有様でありますよ」
 カナリーもぷんぷんと怒っている。
「技術科近辺で不自然に歩いている目がうつろそーなよーじょがいないかカナリーちゃんが探してたら、能面みたいな顔した兵士がいっぱい出てきて、つかまったよ!
 かわいいカナリーちゃんに、ひどい人たちだよ」
 彼女たちが内偵した人物、第一師団技術科少佐カリーナ・イェルネ教授は、逆らう者どころか、調べる者まで営倉送りにしているようだ。
 発明した新薬の特許で莫大な富を得ているので、それが後ろ盾と思われる。
 まだ若い女性なのだが、薄茶の髪は伸びっぱなし、着る物は白衣ばかりと、外見に気を使っている様子は無い。もともとのスタイルは良く胸も大きいので、きちんと手入れすれば、と残念がる兵士もいるようだ。
 マリーはぶつぶつと言う。
「違法な研究や、教導団の資材を使い込んでいる証拠を掴めば、そこから芋づる式にと言うのも可能でありましょう。ただ師団上層部を巻き込んで合法的にやられると痛いでありますね……」
「事態が変われば風向きが変わる機会もあろう」
 玄豺は不機嫌そうに肩をすくめた。
「よーじょは見て愛でるもの。いじるものではないよ!」
 カナリーはまだ怒っている。


 しかし、機会は思いの他、早くやってくる事になる。
 もっとも、それがマリーたち憲兵にとって、また教導団にとって良いものかどうかは、別問題なのだが……。


担当マスターより

▼担当マスター

砂原かける

▼マスターコメント

●担当マスター

 今回は以下のマスターで、リアクション執筆を担当させていただきました。

【1】有沢楓花
【2】桜月うさぎ
【3】森水鷲葉
【4】砂原かける

 なお【4】へのアクションについては、内容によっては描写に適した場所のマスターに執筆をお願いしている場合もございます。
 また【1】【2】【3】へのアクションでも、担当マスターの判断で判定の一部を砂原が行なっております。


●投票要素について

 全参加人数328人中、以下のような結果となりました。

   有効票 無効票
【1】101 3  学校側有利
【2】 77 2  有利不利は無し
【3】 67 9  学校側不利
【4】 59
未投稿 10

 なお、ここでの無効票とは『』で囲まれた、票数に数えない事を希望する票です。
 また【4】については、投票でのシナリオへの効果はありませんので、どのような表記でも票として数えさせていただきました。
 他に、投票先不明の票も【4】と数えております。


●もろもろ

 今回『建国の絆』に頂いた立川るるさんのアクションですが、運営チームの判断により『横山ミツエの演義乙(ぜっと) 第3回/全4回』のシナリオガイドへと振り替えさせていただきました。
 そちらのシナリオでの、【星帝】御人良雄の活躍(?)にもご期待ください。
 なお『建国の絆』に御人良雄が登場する予定は、現時点ではございません。


当シナリオご参加の方全員にプレゼントさせていただくアイテムですが、
ナラカ城で手に入った「レッサースフィア」を予定しております。
【1】【2】【3】の担当学校別に、色や能力の違うレッサースフィアをお届けいたします。
 なお、プレゼントの基準とさせていただくのは、PCの所属学校です。投票先ではございませんのでご注意ください。
 こちらのプレゼントは、来週中に配布させていただく予定です。


 次回、『建国の絆第2部 第2回/全4回 』のシナリオガイドは4月10日(土)に公開の予定です。ご期待ください。