空京

校長室

【重層世界のフェアリーテイル】重層世界、最後の戦い

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【重層世界のフェアリーテイル】重層世界、最後の戦い
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リアクション

《やめてください! あの中にはアセトが居ます!》
「なに?!」
 朔の通信にシュヴァルツ・?の動きが止まる。
 『最終兵器』は隙を狙って攻撃を仕掛けに行くが、そちらも止まる。ライネックスの【ワイヤーロープ】が四肢を絡めとっていた。
「動きは止めたよ! でもどうするの!?」
 村主 蛇々(すぐり・じゃじゃ)が尋ねる。アセトが『最終兵器』の中にいては攻撃をためらわれる。
「やるしかないだろう。こいつを倒さなければ、俺たちの世界も危ない」
 まっとうな意見をアール・エンディミオン(あーる・えんでぃみおん)を言う。しかし、それは最悪アセトを破壊する事だ。
「だけど――」
《やってください……》
 アセトから通信が入る。『最終兵器』内部から自身の内蔵の通信端末を使って――。映像からは、彼女はコックピットに絡め止められていた。意識が未だ有るのは浄化の札のおかげだろうか。
「そんなことしたら、あんたは無事じゃ済まないんだよ!」
《わかっています……。でも私は助からない。助けてはいけない。この『最終兵器』は私の感情を糧に動いています。私がコアに成っている限り、『最終兵器』は倒せません。だから――》
「だから、君ごと壊せというのですか!」
 白竜の問いにアセトが頷く。
《そうです。私ごと『最終兵器』を破壊してください!》
 あまりにも悲壮な決断だが、そうするしかない。
「破壊するったってどうするんだ! 相手はこっちのスペックを再現してくるんだぞ!」
 しかも、限界スペックをだ。
 限界、それは人が常に抱く最も具体的な絶望の事象。
《呑気に話し込んでいる場合ではない! ロープが持たん!》
 アールの通信後、ライネックスの【ワイヤーロープ】が千切られる。
「やるしかないってことですか――」
 シフが躊躇う。『最終兵器』を倒すということは、アセトを壊すことと自身の限界を超えることを同時にヤラなければならない。
 半端な覚悟でやれることではない。
《その役目、私が受けよう――》
 コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)が宣言する。
龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)! 黄龍合体! グレート・ドラゴハーティオン
「グオーーーーーーーン」
 雄叫びを上げ、グレート・ドラゴハーティオンが合体参上する。
《アセト、君の決意は受け取った! 私が必ず君の絶望を絶とう》
 涙を飲んで、コアが答える。
 アセトが『最終兵器』に取り込まれた時点で、もう助からない。なら、せめて、彼女の望むことをしてやらなければならない。
《――はい》
「さあ、行くぞ! 一人で限界を超えられないなら、全員で限界を超えるまでだ!」
 先に仕掛けるたのは『最終兵器』だった。アイオーンの【空烈刀】をコピーしての攻撃。
 グレイヴストーンがシールド展開で止める。身を呈してだ。
《アセト、あなたも守りたいものがあるだな。なら、僕もそれに答えます!》
 アッシュが機体の腕を犠牲にしてでも、斬撃を止める。
 斬撃が止まった所に、シュヴァルツ・?の神出鬼没な攻撃。【新型ビームサーベル】でリミッター解除攻撃。加速、追加攻撃で更に一撃が入る。
 腕部が破壊されるが、即時復元される。しかし、追撃は続く。
 枳首蛇の【ツインレーザーライフル】。それを躱す後にアイオーンのリミッター解除の【バスターライフル】が『最終兵器』を襲う。脚部が消失する。
 しかし、復元され――
「復元する前に、【ワイヤーロープ】を巻きつけられたらどうなるんだ?」
 アールの問いへの答えはこうだ。復元部分と【ワイヤーロープ】が同化して、一体となりほどけなくなる。ライネックスが『最終兵器』の動きを繋ぎ止める。
「……待ってて。苦しみから解放してあげるからね……」
 蛇々が泣きながら、アセトに伝える。
 『最終兵器』の動きが止まった今が、好機だ。
「フハハハ! ここで真打ち登場というのが、お約束であろう!」
 小型飛空艇から高笑いドクター・ハデス(どくたー・はです)。彼が手を伸ばすと、聖剣勇者 カリバーン(せいけんゆうしゃ・かりばーん)が空から落ちてくる。
 カリバーンは空中で変形し、{ICN0004107#神剣エクス・カリバーン}となって、地面に突き刺さった。
「さあ、勇者よ。俺を使えっ!」
「抜くがいい! 剣を抜いて勇者となれ!」
 グレート・ドラゴハーティオンが柄を取り、地面から抜いて構える。
「行くぞ! 『最終兵器』! お前の絶望を断つ!」
 ブースターが火を噴いて、機体が加速する。
 『最終兵器』も復元を終えて、エクス・カリバーンをもコピーして対峙する。
 しかし、ライネックスのロープが動きを邪魔する。
「神剣両断! カリバーンストラアアアァァァッシュ!!」
 コアが叫ぶ。
 コピーの黒いエクス・カリバーンを砕き、刀身がコックピット部分へと到達する。
 光がコックピットを焼き尽くす。
 そして、アセトをも――
《――できるなら、私も、人として、生きたかった……っ!》
 プログラムから希望を口にして、アセトは光の中で死んだ。
 道連れになった『最終兵器』のコアは消滅し、その本体も切り裂かれて虚空へと消えた。