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天御柱開放祭

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10:祭りだワッショイ其の参 祭りの表3
「かき氷いかがすかー」
 かき氷屋の出店を出しているのは薄茶色のショートヘアと黒色の瞳を持ち、痩身で眠そうな顔の男性佐野 亮司(さの・りょうじ)である。
 空京大学の生徒だが特別に出店の許可をもらったのだ。
 そこにメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)ご一行がやってきた。
「4人分ただけますかしら? 味はそうねえ、レモン味でいいわ」
 乳白金の髪をロングウェーブにした白い瞳を持つ胸が大きくて優しそうなメイベルが微笑んでそう言うと亮司は「美人の集団だ」と意気込んで氷を削り始めた。
 そんな中でも暇さえあれば歌っているメイベルは、氷が出来上がる間に歌い始める。
「はいよ、おまち……って、なんだこの人だかり」
 それはメイベルの歌を聞くために集まった人々だった。
「おそまつさまです」
 拍手。
「お嬢ちゃん、かき氷できてるよ」
「あら、ありがとうございます。私このお店のかき氷を買っていましたの。よろしければみなさんもどうぞ」
 メイベルの言葉に。
「レモン三つ」
「イチゴ二つ」
「メロン四つ」
 注文が殺到する。
「うぉ〜い。だれか助けてくれぇ〜」
「<防衛計画><セルフモニタリング>発動。お手伝いしますよ」
 <防衛計画>で順番を埋めつつ<セルフモニタリング>で最適な行動を取る。
 それは影野 陽太(かげの・ようた)だった。黒色の髪を坊ちゃん刈りにし、茶色の瞳を持ち、地味でたよりなさそうな少年である。
 彼は御神楽環菜とデートをすべく彼女に申し込んだのだが、ろくりんピック関連が多忙のためと断られ、ひとり寂しくうろついていたのだ。そして見るに見かねて亮司を手伝い始めたのである。
「いいのか?」
 との問には
「いいんです。他にすることないですから……」
 と涙目で訴えるのだった。

 ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は教導団から明倫館に転校した旨を説明し警備のスタフを買って出ていた。
 ロングの金髪と青い瞳を持ち、胸が大きい美少女だ。
 学院側に前回沈めた空母の自分なりの考察(推定排水量、推定全長、機関の種類や構造)等を添付した報告書を作成して学院側へ提出すると、天御柱学院の制服を借りて会場内を一巡り。痴漢をしょっぴくなど些細なトラブルはあったが大きなトラブルはなく、最後に会場全体を見渡せる敷地内一番の高所に陣取り狙撃銃を傍らに待機に移行した。
「あー、こんないい日和で、みんな楽しんでる。私もお祭りを楽しみたいものだわ」
 と軽く溜息を吐きながら双眼鏡で油断なく全周囲、会場から上空までを目視で警戒する。
 グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)もローザマリアとともに会場内を一巡すると、見回りと称して買食いしながら巡回していた。
 ちなみに、ライザはエリザベスI世の英霊で金髪のシニヨンと青い瞳をもった胸の大きな美少女である。
「ライザ……そっちはどうだ?」
 貸与された無線機で連絡をとるローザマリア。
「(食べてる最中に通信されて食べている物を慌てて飲み込み)むぐっ?! い、異状などないぞ!」
「そうか。了解」
「うゅっ♪ ローザ、やきそばとかたこやきとか、たくさん買ってきた、よ?エリーと一緒に食べる、の♪」
 アリスの飛行能力を使って空を飛んできた黄色の髪のツインテールと緑色の瞳の童顔で胸の大きい少女エリシュカ・ルツィア・ニーナ・ハシェコヴァ(えりしゅかるつぃあ・にーなはしぇこう゛ぁ)がローザマリアにそう言うと。ローザマリアはそれを受け取る。
 やれやれ、と言いながらも嬉しそうである。
 ローザマリアは左手でスコープを持ちながら右手で食事をするという行儀の悪い格好だが、警戒をする以上は仕方が無いのである。

(今後、イコンは確実に戦いの枢軸になってくる。生身でやりあうにゃ手に余る相手だが、喧嘩のやりようは幾らでもあるさ。
 校長の手のひらで踊らされてる気がしないでも無いが、毒を食らわば皿まで。開放祭の機会を十分に利用させて貰うぜ)
 そう考えているのはトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー) 。銀色の髪を後ろで束ね赤い瞳をもった童顔の美少年だった。
「何を考えているんだい、トライブ?」
 そう言ったのは王城 綾瀬(おうじょう・あやせ)。腰まで伸びたロングの赤い髪に黒い瞳を持ち、目つきが悪いが美形の少女だ。
「なに……イコンのことをな」
「イコンねぇ……生身の殺し合いが好きなあたしには、必要の無い代物ね。と、言うか。開放祭なんて健全な場所、あたしには不釣り合いだわ。人ごみとか楽しげな人間を見てると、殺したくなるわ……冗談よ。一割くらいは」
「ぜひ冗談にしておいてくれ、それよりも」
「はいはい。言われなくても、ちゃーんとデジタルビデオカメラで模擬戦を撮影しておくわ」
 そう言って綾瀬はトライブが買ってきた食べ物片手にデジタルビデオカメラをまわす。
(おい、綾瀬……)
(なに?)
(イコンのやつ、周りの歩兵に案外手間取ってるな)
 超感覚で視覚を底上げして演習を見るトライブが精神感応でそう話しかけてくる。
(あれは機晶ロケットランチャーだね。装甲の薄いところに当ててるんじゃない)
(なるほど。これがイコンの弱点か)
(そ言う言うことね。でもそれは鏖殺寺院側のイコンにも言える話だよ)
(それもそうだな。わざわざわかりやすい弱点は公開しないか)
「さて。たーだ模擬戦を眺めてるだけってのも暇なモンだ。鏖殺寺院連中が武力介入してこねぇかなぁ……奪われたイコンをそのままにするのも間抜けだと思うが……ま、連中も得体のしれない所があるからな。信用ならねぇとは言わねえけど鵜呑みもできねぇ。けど、ま。本当に乱入者が居たら、逃げるの位は手伝ってやるさ……」

「チムチム、かき氷は何がいい〜?」
「カキ氷はシンプルな『みぞれ』で〜。色付きだと中が汚れ……こほん。中の人なんて居ないアルよ」
 レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)がそう尋ねるとゆる族のチムチム・リー(ちむちむ・りー)がそう返事を返した。
 レキは赤い髪をポニーテールにし茶色の瞳を持ち大人びていて胸が大きい少女である。
「じゃ、お兄さん、みぞれとブルーハワイ一つずつで。はい。どうもー」
 そしてレイはチムチムのところにやってくるとみぞれのかき氷を手渡した。
「ありがとうアル」
 レイは観察者の目になって戦闘を分析する。とくにスピードと機動性。
 スピードは戦闘機ほどは出ないようだが機動性は戦闘機以上であるようだった。
(それにしても、やっぱり操縦者で違いがあるなぁ……)
 そう考えているところにチムチムが話かけてくる。
「巨大ロボットと言えば、ヒーローものは怪人が倒されると巨大化するアルね。
 ゆる族は怪人じゃないけど、薬か何かで巨大化出来たらきっと楽しいアル。
 ノーム教諭とかそういう薬作ってくれないかなと思うアル」
「やだ。ゆる族が巨大化したら自重をささえきれないでぺしゃんこよ。無理ね」
「そうアルか。残念アル」

「ねえねえ、メイベル、あれなにー?」
 幼少児のメイベルにそっくりなシャーロット・スターリング(しゃーろっと・すたーりんぐ)が出店に興味を向けて尋ねる。
「ああ、あれは綿あめだよ」
 黒のポニーテールに赤い瞳、顔立ちが端正でかっこいい少女セシリア・ライト(せしりあ・らいと) がシャーロットの疑問に答える。
「わたあめ?」
「ああ、ふわふわしていておいしいぞ」
「じゃあメイベル、あれちょうだい」
 そう問われてメイベルは財布の中身を確認すると許可を出した。
「うわー、しろくてふわふわ」
 シャーロットが喜んでるのを見てメイベルも嬉しそうだった。
 そして中世の英国ガーター騎士団出身の英霊フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)はそんな様子をデジタルカメラに収めている。
 金髪のロングヘアーに青い瞳知的で胸が大きい彼女は、一行のお守り役と言っても良かった。
「素敵なお嬢さん方、可愛い様子を撮らせてもらっていいですか?」
 そこに絡んできた男がいる。エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)だ。
 赤のショートヘアーに緑色の瞳。端正な顔立ちで育ちがよさそうである。
「あいにくと、わたくし達もデジタルカメラを持っておりますわ。ええっと……」
「エース。エース・グランツだ、お嬢さん」
 フィリッパの手の甲をとるとエースはそこに口づけをする。
「フィリッパ・アヴェーヌですわ」
 と、フィリッパが礼を返したところに
「エース、イコンのフィギュア買って、買って、買って」
 と一本三編の黒髪と同じ色の瞳の小柄で学生に見えないクマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)が割り込んでくる。
「あらあら、パートナーがいらっしゃるのにナンパはいけませんわよ」
(「お互い本気になるにしてもパートナーの目があっては無理ですわ」)
 とフィリッパはエースを軽くあしらっておく。
「おまえなー……わかった。小遣いやるから好きなもん買ってこい」
「ありがと、エース」
 クラマは瞳を輝かせるとイコンのフィギュアを買いにかけていった。
「あら、可愛らしい」
 メイベルがそう言ってクラマをみつめる。
「お兄ちゃん、写真撮って〜」
 そこにシャーロットがおねだりをする。
「おーけーおーけー。じゃあ、そこに並んでおくれ、お嬢さん方」
 出店の壁際に並ぶ4人。
「はい、笑って笑ってー。いいねー、綺麗だねー。じゃ、いくよ。チーズ」
「ありがとうございますわ」
 フィリッパがそう言うと、エースは
「いいっていいって。それより後で現像して贈るから住所教えてよ」
 と言ってくる。
「さすがにそれはメイベル様の許可なしには……」
「住所教えちゃっていいですよ、フィリッパ」
「そうですか。では……」
 エースに住所を教えるフィリッパ。
「ところで、あそこに面白そうな店があるけど行かないかい?」
 クラマが帰ってきてからエースはメイベルたちを誘う。
 そこにはメイド喫茶という看板とメイドに扮した女性たちがいたのであった。
「いらっしゃいませ、ご主人様、お嬢様。せっかくじゃし、ゆっくりしていくと良いのじゃよ」
 誘われるままについていくと、黒髪の前髪ぱっつんロングの綺麗な髪と青い瞳で、大人びている少女が出迎えてくれた。
 それはヴィオーラ・加賀宮(う゛ぃおーら・かがみや)であった。
「だからあの時の殲滅戦のことが……」
 ふと喫茶店の奥から声が聞こえてくる。それは黒い髪を後ろで束ね赤い瞳のバカっぽいが美少年な月夜見 望(つきよみ・のぞむ)であった。
「仕方が無いよ戦争なんだから……。それよりもほら、このケーキ美味しいよ」
 ロングの赤髪と同じ色の瞳を持つ色っぽいが胸が小さいちっぱい仲間募集中の天原 神無(あまはら・かんな)が励ますように言う。
「望は覚悟が足りんのじゃ」
 白い髪を後ろで束ねた赤い瞳でつり目の、顔立ちが端正な須佐之 櫛名田姫(すさの・くしなだひめ)が一蹴する。
「ちょっと、そこの貴方がた、来たからには何か頼んでもらってもいいかしら?」
 乳白金のロングウェーブを持ち金色の瞳の胸が小さい美少女アンジェラ・アーベントロート(あんじぇら・あーべんとろーと)は高飛車な調子でそう言うと櫛名田姫が「じゃあ、アイスコーヒー三つ」と注文する。
「わかったわ。アイスコーヒーね。まってなさい」
 アンジェラが去ると、望は
「ここってツンデレ喫茶だったか?」
 と不思議がる。
「さあ、メイド喫茶のはずだけど」
 神無がそう答える。
「おそらくあの娘はツンデレ役なのじゃろう」
 櫛名田姫はそう言ってお冷をすする。
 そうこうしているうちにエースのところにも小さな店員がオーダーを取りに来る。
 アンジェラに無理やりメイド服を着せられた男の娘。好物ですmogmog。その名も魔道書『緋色の書』。しかし誤字だらけで役に立たないためアンジェラからはよく『誤字の書』と言われている。人間時の名前もアンジェラがつけたものでグラナート・アーベントロート(ぐらなーと・あーべんとろーと)という。
 赤い髪を後ろで束ねて金色の瞳を持ち小柄でかわいいどう主張しても男の娘である。
「あの、オーダーは?」
「ええっと、フィリッパさん?」
「そうですわね。アイスティーを人数分いただけます? さすがにこの暑さでは熱いお茶を飲むきにはなれませんわ」
「はい。アイスティーですね。少々お待ちください」
 グラナートはそういってテーブルの隙間をすり抜けていく。
「そこな少女。コーラを二つ」
「かしこまりましたご主人様、お嬢様。ゆっくりとしちょれ」
 ヴィオーラがそう言うと杵島 一哉(きしま・かずや)は満足そうに頷いた。
 一哉は焦茶色の髪を後ろで束ねた茶色の瞳を持つ地味でごく普通の少年である。
「うーん。イコンの演習がよく見える。いいなー。触ってみたいなあー」
「教団にもパワードスーツがあるじゃないですか?」
 銀髪ロングの青い瞳、知的で顔立ちが端正な少女アリヤ・ユースト(ありや・ゆーすと) がそう告げると、一哉は
「あれとはまた規模が違いますよー」
 とあまり効果がないことに、しょうがないと苦笑。

 そしてメイド喫茶の外では蓬生 結(よもぎ・ゆい)がフランクフルトの店を出していた。結は薄茶のショートに茶色の瞳、小柄で育ちがよさそうな少女である。
 学生の出店なので、食堂の職員とも相談して、業務用フランクフルトの仕入れや鉄板の貸し出しを依頼。生焼けを防ぐためにも焼く前には茹でておく用意周到さ。只者ではない。
「私は肉料理が得意ではありませんので、横で飲み物の販売を担当します」
 とはパートナーのイハ・サジャラニルヴァータ(いは・さじゃらにるう゛ぁーた)の弁。といっても氷水で冷やしたペットボトルを売るだけだが。
 イハは黒髪ロングの赤色の瞳で、はかなげで髪がキレイな少女だ。
「俺様、好調、絶好調!」
 薄茶色のポニーテールに赤い瞳、童顔で顔に傷のある野乃樹 藤花(ののぎ・とうか) がフランクフルトと飲み物を手に大声で叫ぶ。
 そして物語は花音Sideに移る。