First Previous |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
Next Last
リアクション
ブルックス・アマング(ぶるっくす・あまんぐ)は楽士隊を囲もうとする歩兵の敵を、周りと連携しながら潰していた。
「ファイアーストーム!」
ブルックスが唱え終わるのと同時に、炎の嵐が敵を包む。
そして、炎に焼かれ敵の足が止まっている間に追撃の魔法を唱え始めた。
(……私はリュー兄やシーナや他の歌い手さん達のような歌に力を持った人じゃないから、頑張って戦う)
「サンダーブラスト!」
ブルックスが叫ぶとそれに呼応するかのように、空から数多の雷が降り注ぐ。
いかづちの嵐を直撃した敵はその場で痙攣し、倒れこんだ。
ブルックスはそれを確認するやいな、休む間もなく魔法を唱え始めた。
(その姿をフランさんに見てもらいたいな)
小柄な身体で敵に劣ることなく、魔法を駆使して必死に戦うブルックスの姿を見て。
密かながら指揮をするフランも、実は力を貰っていたのだった。
――――――――――
叶 白竜(よう・ぱいろん)は息を潜め、スコープ越しに戦場を見つめていた。
白竜が探すのは遊撃隊のリーダー格である大介。それは、真っ先に大介を押さえておきたいからだった。
そして、しばらく探していたところ、遮蔽物からはみ出た焦げ茶の頭を発見した。
「……頭部はダメだな。腕を狙うぞ」
白竜は口の中でそう呟くと、狙いを大介のスナイパーライフルを持つ手に移動する。
そして、タイミングを計り、引き金を引き絞った。
遮蔽物から少しはみ出た大介の腕に、それは一直線の軌道を描き飛来。
大介の腕が撃ちぬかれ、血が吹き出た。
「……ッ!?」
不意に、大介と目が合った。
肉眼では捉えられないほど離れているはず。なのに、大介は迷いなく狙撃銃を白竜に向ける。
そして、スコープを全く見ずに、片手でろくに構えも取らずに、大介は引き金を引いた。
大介の腕が反動で勢い良く跳ねる。
普通なら当たるはずの無茶苦茶な狙撃。しかし、白竜が感じたのは身に降りかかろうとしている危険だった。
銃弾が白竜の額に飛来する。
白竜は無理やり首を横に振り、その銃弾を避けた。
「……大丈夫か? 叶」
その様子を見て心配そうに声をかけたのはパートナーの世 羅儀(せい・らぎ)だ。
白竜はついさっきまで命の危険と直面していたというのに、その冷静沈着な様子の顔を崩さなかった。
「ああ、少しひやっとしたがな。それよりも、煤原大介は?」
「……いないみたいだね。ここにいたら僕達も狙われる。場所を変えよう」
羅儀の提案に、白竜は小さく頷く。
それを見た羅儀は念動球を空中で操作し、ダミーとして活用。
その間に、向こうにこちらの動きを悟られないよう、慎重に遮蔽物に沿って移動を始めた。
First Previous |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
Next Last