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【第四章】〜真実1〜


 出口に向かった者達とは別に城内に未だ残っている者たちが居た。
 ひとつはジゼルを探すものたち。
 だがそれとは別の者たち、別の目的を持つ者が居た。
「うーん、俺のトレジャーセンスによると、この辺りなんだけどなぁ」
 ガランとした部屋の中には、ヴァイス・アイトラー(う゛ぁいす・あいとらー)の声が響いていた。
「テレパシーの話しで大体の事情はわかった。
 だがやはりヴァイスを騙そうとした事は許せん!」
 部屋の中心にどっしりとあぐらをかいて座るのはセリカ・エストレア(せりか・えすとれあ)だ。
「セリカ、まだ言ってるの?
 だからさーそんなに腹立つんなら、連中からお宝か何かかっぱおうって言ったじゃない?
 それで痛み分けだよ、な?」
「そうは言ってもだな。
 事情を詳しく聞かされていなかったあの女はともかく、三賢者という連中は許せん!
 仲間まで騙し、罪の無いものの命を奪おうなど言語道断! これ以上の悪行があるか! 己のやった事を後悔させてやる!」
「ふー……やれやれ。
 ん? 誰かきた」
 部屋に入ってきたのは佐野 和輝(さの・かずき)アニス・パラス(あにす・ぱらす)、そして御凪 真人(みなぎ・まこと)だ。
「やあ! あんた達もお宝探し?」
「俺達は人探しだ」
「アニスは悪い奴を探しにきたんだよ」
「むっ……それはまさか三賢者という奴では!?」
「そうそう! なんかすっごい悪い人達みたいだしアニスの陰陽術でどか〜んってやっつけちゃおうと思って」
「おまえ……中々見込みがあるな」
「でしょー?」
 アニスとセリカが意気投合する中、ヴァイスは首をかしげながらそれを見て居る。
「うーんと……俺のパートナーとあんたのパートナーは何を話してるのかな?」
「……人の感情に敏感なアニスにジゼルが“悪い人”ではない聞いていたから、事情があると思ってそれを探っていたんだ。
 しかしテレパシーの情報で黒幕がいるのが分かったからな。
 それを探し出そうって訳で歩き回っていた」
「俺も同じですよ。
 事件の根幹を探ろうとディテクトエビルで反応が有る方を探がしていたら彼等と合流したって訳です」
「成程……ってまた誰かきた」
「ここどこでしょうねーあげはこんなひろいおうちはじめてですー」
 とぼけた顔を上げながら部屋に入ってきたのは北條 あげは(ほうじょう・あげは)ケイ・ピースァ(けい・ぴーすぁ)だ。
 ここにきたのは別の目的……と言う訳ではなくただの迷子だった。
「ひろいですねーだんすおどれそうですねー」
「うー……ひろいー……」
「……あの子たちは何を話してるのかな?」
「すまん、俺にもさっぱり……」
「つーか何してんのかな」
「多分……」
「踊ってるんじゃないでしょうか……」
 ヴァイスと和輝、真人が息の合った溜息を入った時だった。
「……あげはー……」
「ケイさんなにかみつけたんですー? ちゃんと教えてあげてイイコですー」
 ケイがゴロゴロと転がる地面は寄木細工のように作られていたのだが、そのうちの幾つかがパズルのように動く事に気が付いたのだ。
「あの子達大丈夫かな」
「放っといていいんじゃないか」
「パズルたのしいですーこことここをくっつけてー…」
 あげはがその部分で暫く遊んでいた暫く後だった。

 ガコン!!
 
 突然何かと何かがはまりあったような音が部屋に響くと、部屋が地震のように左右に揺れ出し、寄木細工の床の組み合わせが
自動で組み上がるパズルのように動いて行く。
「うわ! なんだこれ!!」
「アニス!」
 和輝は離れて居たアニスを抱き寄せて暫くの間床に伏せて居た。 
 
 暫くして揺れが収まると、部屋の中心に穴が出来、部屋の下へと続く階段が現れたのだった。
「わー……あげはこわしちゃったんでしょうかー」
「いや、大発見の大収穫だよ」
「これは凄いですね、恐らく天文学的な確立であるかどうかの偶然です」
「びっくりしたよー。こわしたかと思ったけど大丈夫ーマイペンライですねー」
「うんうん、偉いえらい!!」
 ヴァイスと真人に褒められて気をよくしたのか、あげはは満面の笑みで笑っている。
 入ってきた時とは様変わりしたすっかり新しい床を、ケイは何も起こらなかったかのように転がり続けていた。