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夢見月のアクアマリン

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夢見月のアクアマリン

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〜真実3〜


 階段の上、宝玉の間の円の形にくりぬかれた床の中心に大きな宝石が座していた。

 アクアマリン

 セイレーンの護る宝。
 これを巡って人間達は争いを起こしたと聞いていた。
「それもきっと嘘なのね」
 ジゼルは転送装置のロック解除の為のもうひとつの石板の仕掛けが何かの力に抑えられて動かないのに気付いて、アクアマリンを睨みつけた。
 程なくして、アクアマリンの中に三つの人影が現れた。
『ジゼル、待っていましたよ』
『おお! その娘達、素晴らしい器だわ』
『早く魂の移し替えを行おうではないか』
「……三賢者様、皆を無事に帰す気はないのね」
『ジゼル、聞き分けるのです』
『おまえは元々我々セイレーンの一族ではないか。
 モンスターであるお前は地上人と同じようには生きられないのだよ』
「……っ」
「ジゼルさんの気持ちを弄ぶな!!」
「その野望、打ち砕くヨ!」
 姫星は幻槍モノケロスを構えると、バシリスと共にアクアマリンに向かって連撃を繰り出し一気に攻めたてる。
 しかし、すぐにそれは弾かれ、二人は階段の下へと落ちて行った。
「姫星! バシリス!!
 ……なんてことを!!」
 アクアマリンを見つめるジゼルの瞳に憎悪が宿っていた。
『ジゼル、あの者たちは我々セイレーンとは違う――』
「私の友達だわ!!」
 ジゼルはアクアマリンに向かって一歩また一歩踏み出していく。
 彼女の後ろに居るフレンディスらもジゼルの意思を受け取って刀を構えにじりよっていた
 その瞬間だった。
『……もういい、おまえは用済みだ』
「うっ!!」
 人が崩れ落ちる音に、驚いて振り向くと、ルカルカが苦しそうに息を荒げて地面に倒れ込んで行く。
「ルカ!?」
 ジゼルはルカルカの元へ走り、抱きかかえるがルカルカの顔は蒼白で息はどんどん細くなっていく。
「どうしたのルカ!!」
『その娘、気に入ったわ。
 この中でも特に強く……なによりそして美しい、私の器に相応しい存在』
「……やめて!! もうやめて!!」
 ジゼルの叫びも空しく、朱鷺とベルクが同じ様に床に崩れていく。
「朱鷺! ベルク!」
「ジゼル……大丈夫だ、落ち着いて……」
 朱鷺はジゼルに伝えようとした言葉は言い終わる前に、小さくかすれて行く。
 三人の肉体からは精神が切り離されようとしているのだ
「うあああああ」
 ジゼルがアクアマリンに向かって渾身の絶唱を浴びせようと立ち上がった時だった。
「やめろ!!」
 歌を止めたのは和輝だった。彼の後ろからアニスと真人が走ってくる。
「ジゼル、歌っちゃだめだよ!
 アクアマリンを壊しちゃいけないの!!」
「止めないで二人とも、このままじゃ皆が――」
「ジゼル、君が死ぬんでしまうんです!!」