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〜真実2〜


 一方その頃、ヴァイス達は開けた階段を降りて行く最中だった。
「あの子達、あそこに置いてきて良かったのかなー」
 アニスは心配しているが、床を転がっているあげはとケイを運ぶには骨が折れそうだったので、仕方無く置いてきた。
「しかしこのいかにもな秘密の部屋。一体何なんでしょう」
 真人がヴァイスに話し掛けた時だった。暗闇にぬっと現れた顔に、真人は思わず息を止めてしまう。
「興味ありますねぇ」
「うわあ!!」
 ヴァイス達の真後ろから現れたのはエッツェル・アザトースだ。
「び、びっくりさせないでよー」
「ふふふ、すみません」
「ここが秘密の部屋かぁ」
「すごいねー」
「きゃあ!!」
 今度はアニスの後ろから御宮 裕樹(おみや・ゆうき)久遠 青夜(くおん・せいや)が現れたので、アニスも悲鳴を上げてしまった。
「何か暗いし心臓に悪いなぁ……
 セリカ、早いとこお宝探して出よう」
「お宝ってこんなのー?」
 階段から飛び降りて地面に降り立っていた青夜が、和輝が火を灯している間に早速埃を被った手記のようなものを拾ってくる。
「一体何が書いてあるのやら……」
 エッツェルは青夜の持ってきた手記を手に取ると、埃をふうっと吹き飛ばした。
「……セイレーン……計画……
 これは興味深いタイトルですねぇ」
 エッツェルはページをぱらぱらとめくって行く。
「じゃーこっちは?」
 裕樹がこれまた偶然手に取った小さな本のタイトルをヴァイスは埃を払って目を凝らして見る。
「こっちのは誰かの日記だね」
「この紙からみてかなり古いものだろうな」
 暫くの間、彼等はそれらを読みふけっていた。




「ジゼル!!」
 振り返ると、両脇を大助と夢悠に支えられえた雅羅が立っていた。彼女達と合流していたルカルカ・ルーや双葉みもり、そして東 朱鷺らも一緒だ。
 ジゼルは進んでいた階段を一段降りると、雅羅に対峙する。
「雅羅……」
「追いつかないかと思った」
「……うん」
 雅羅は、息を吸い込むとジゼルの目を見て口を開く。
「ねぇジゼル。あなたは”厄災神(カラミティ)”ではないのね」
「……ごめん」
 嘘をついた。
 彼女にとって最も残酷な形で。
 下げた頭を上げる事は出来ない。
 嫌われて、呆れられて、それ以上にもう会いたいとさえ思われないかもしれない。
 ジゼルの中に渦巻いていた感情を、雅羅の一言は消し去ってしまった。

「……良かった」

「え?」
「こんな体質、こんな思い大事な友達に背負って欲しくないもの」
 強がるように笑顔を見せる雅羅に、ジゼルは涙が出そうになって唇をかみしめる。
 今はその時じゃない。
「……雅羅、全部蹴りを付けてくるから。
 そしたら、雅羅に皆にちゃんと謝りたい……それから助けてくれて有難うって伝えたい」
「うん」
「だから待ってて」
「待ってるよ」
「ジゼル様、私も信じています
 だからきっと……」
「ありがとうみもり」
 ルカルカや朱鷺と共に階段を上って行くジゼルを精いっぱいの笑顔で見送ると、雅羅の頭を両脇からぐしゃぐしゃ撫でられる。
「くすぐったいよ」

――この娘を好きになって良かった。 

 本来ならライバルであるはずなのに。
 大助と夢悠は、顔を見合わせて困ったように微笑み合っていた。