リアクション
加夜とルカルカ、アコが食堂で足止めをしてもらい、理子と陽一と別れた涼司。 ◇ ◇ ◇ コハクに抱かれた姿勢で窓から入って来る美羽。 角を曲がろうとした時、コハクのディテクトエビルに反応がある。 「待って。向こうには行っちゃダメだよ」 コハクに言われ、澪はそっと角の向こう側を覗いてみる。 そこには涼司を捕まえ喜んでいる澪と、傍に立っている血みどろのマリアが見えた。 「うっそー、涼司が捕まっちゃったし」 「今年の新入生は、みんなすごいね」 「そうだね」 美羽とコハクは澪たちがいる方とは別の方向へ進むことにしたのだった。 ◇ ◇ ◇ 音楽室で一息ついているセレンフィリティとセレアナ。 「んーそう言えば、最初シャンバラへ着たときに同じようなことをしたっけか」 「確か、結構な目にあってしまったけどね。それも良い思い出ってところかしら」 「うんうん。それに今年の新入生がどれだけ成長したのやら、自分達がそれを試す立場になったのだと思うと、時の流れは速いと思わざるを得ないわね」 「そうね」 会話をしつつ神の目で壁に隠れている誰かを感じ取るセレアナ。さり気無く手合図で近くに警察がいることを伝える。 「(行くであります!)」 そのままあえて会話を続けている二人に、壁抜けで壁を抜けてきた葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)がセレアナを捕まえようとしてくる。 「せっかくの奇襲の利点を、自分で無効にしてどうするの?」 吹雪の攻撃を避け、説教混じりにそう言うセレアナ。 避けられた吹雪はそのままオルガンに突っ込んで行く。 「ちょっと! この勢いは危ないじゃない!!」 「被害など気にしてはあの人たちを捕まえられないでありますよ? それに、無効じゃないであります」 「勢いがあるのは良い事かもしれないけど……そうよね。警察は最低二人以上のチーム戦だもの」 他にもどこかに隠れていると構えを解かない彼女らの前に、紫壇の砂時計でスピードを上げた瀬山 裕輝(せやま・ひろき)が現れる。 「チーム戦やとしても、共同作業だけがチーム戦と思っちゃいけんよ?」 メンタルアサルトと紫壇の砂時計であちこち動き回る裕輝。 警戒心を高めて裕輝から目を離さないようにするセレンフィリティたち。 「ちょこまか動いてるだけじゃあたしたちは捕まえられないわよ」 「ほんじゃ、動き回んないわ」 ぴたりと動き回るのを止める裕輝。 「ちょっと! ふざけてるの!?」 「ふざけてませんよーう。ホントですよーう」 「セレン、なにかあるかもしれないわ。気を付けて」 にまにましてる彼は無拍子でセレンフィリティとセレアナに、忍び蚕とクラーケン娘。を投げつけた。 スキルを封じられ、焦るセレンフィリティ。セレアナも顔には出さないが内心焦りを隠せない。 「ふふーん。スキル使用制限はあっても、アイテム使用が禁止とかされてへんしー」 「くっ」 「……(! そういえば彼女は?)」 セレアナが吹雪がいつのまにか消えている事に気付く。 目線だけで吹雪を探すも見当たらない。 「(また壁抜け!?)セレン! さっきの壁抜けの子、居ないわよ!!」 「隙アリです」 セレアナが気付くもそれは遅く、壁抜けで隙を窺っていた吹雪が背後から鉤爪に縄が付けられたモノに巻き取られ、セレンフィリティとセレアナは御用となってしまった。 |
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