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シナリオ一本分探偵

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シナリオ一本分探偵

リアクション

「さーて、次はなななさんのお友達の可愛いメイドさんの詩穂ちゃんですよー☆」
 次に現れたのは、メイドの格好をした騎沙良 詩穂(きさら・しほ)であった。
「あれ、今日は確か清掃のバイトしていたんだっけ?」
「そうそう」となななの言葉に詩穂が頷く。
「実はね、この仕事って色々な場所掃除するから色んな事目撃する事も多いんだよ?」
 ふふん、と詩穂がしたり顔をする。すると、
「う、うちに裏帳簿とか親族のドロ沼劇とかそういうのはありませんよ!?」
ボニーが慌てたような態度を見せる。
「ちょっと落ち着こうか」
「す、すいません取り乱しました……」
「そうだよボニー慌てすぎだよ。そういうの目撃するのは家政婦でしょ?」
「ああ、それならうちは関係ありませんね」
 なななの言葉にほっと一息吐くボニー。
「酷い偏見を見た気がするよボクは」
 それもこれも○子が悪い。若しくは清○。
「っと、話が逸れたね。それでこの場に来たって事は、何か目撃したって事?」
「そう、その通り!」
 詩穂が胸を張る。どーん、と効果音が着きそうなくらい張るが、胸は変わることなくぺたんである。
 悲しい事に無い胸はいくら張っても無いのである。だがそれがいい。
「それじゃ、見た事を話してくれる?」
 なななに言われ、詩穂は頷く。
「あれは詩穂が丁度スライダー付近の清掃に出た時の話かな……」
 そして、ぽつぽつと語りだした。

――スライダー付近のプールを見た時、詩穂の目に入ったのは逆立ち状態だった小暮さんだったんです。
 その時は詩穂は事件の事知らなかったから、ふざけてやっているんだと思ったんですよ。
 たまーにいるんですよ、猫神家の騒馬さんや最近見ない『ア゛ーッ!』て奇声上げる女王様の格好した芸人の真似して笑わそうとする人。
 バカですよねぇ、声上げても水の中だと聞こえないし、鼻に水入って溺れそうになっている姿のが笑えるし……うぷぷぷぷ……
 っと、話を戻しますね。バカだなーって思いながらスライダーを見に行ったら、壊れているじゃないですか。
 仕方ないから戻ると、そこにはまだ逆立ちしている小暮さんが……
 行って戻るまでそこまで時間はかかっていないけど、息を止めるには長い……いや、長すぎる!
 いくらみんなを笑わせるために頭から水中につっこんでY字開脚で待機していたとはいえ、こんなに長く水中で呼吸もなしに生き延びていられる人間はそうそう滅多にいるものじゃぁありませんっ!
 そこで私は気づいたんですよ……小暮さんは『種族:地球人』ではない……『種族:悪魔』に違いない!

「そう! 彼が名乗っていた『超魔王コグレ』の意味はつまり、地球でも有名な10万歳以上を生きる某閣下という意味なんですよッ!」
「真面目に聞いたボク達がバカだったよ!」

 熱く語る詩穂にアゾートが叫んだ。いやほんと長々と一体何の話をしているだ。
「というかいつから小暮さんがY字開脚していたことになっていたんですか……」
 疲れた様にボニーが呟く。
「では、今の推理検証たーいむ!」
 ただ一人、なななだけがマイペースであった。
「さて、それじゃ小暮君が本当に地球人じゃないかここから確認してみよう!」
 そう言ってなななが『ここをクリックしてみて!』と『小暮 秀幸(こぐれ・ひでゆき)』という文字を指さした。
「いやここから確認って一体どういう……っていうかクリックって何さ!?」
「そんなことよりこの種族の所を見てくれ、こいつをどう思う?」
「凄く……地球人です……」
 うがーと喚くアゾートを無視し、なななと詩穂の間で話が進んでいく。
「そう……クリックして貰った人にはわかると思うけど、ここだと小暮君はしっかり『種族:地球人』と書かれているよね? ということは、小暮君は地球人である事に間違いは無くなる……つまりその説は間違えているという事になるんだよ」
「そんな……詩穂の説は間違いだったの!?」
 がっくりと詩穂が膝を着き、項垂れた。
「そこまで落ち込むほど立派な説でもないよね!?」
「まぁあのコグレとかはパラレルみたいなものだからねー。同一人物じゃなくて似て非なる者、程度で考えた方がいいんじゃないかなー?」
「ねぇさっきから誰に向かって話しているのさ!?」
「え? そりゃ画面の向こう側の人達だよ?」
「そんな当たり前みたいなこと言われてもわからないから! もういい、次行こう次!」
 無理矢理アゾートが話を締めた。締められていないとかいう心無い言葉は禁止だ。