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第11章 しっかりと向き合って

 ホワイトデー大感謝祭が行われている街を、赤城 花音(あかぎ・かのん)フィリップ・ベレッタ(ふぃりっぷ・べれった)と共に、歩き回っていた。
 ウィンドーショッピングを楽しんだり、街頭で行われているパフォーマンスを楽しんだり。
 会話をしながら、散歩しているだけではあったけれど、とても楽しい時間を過ごすことが出来た。
 お昼は花音の提案でバイキング形式のレストランでとることに。
 窓際の隅の方の席を選んで、向かい合って腰かけて。
 それぞれ食べたい物をとってきて、他愛もない話をしながら食事をしていく。
 2人は、友人同士だ。
 今日、こうして遊んだことで、友人としての仲は進展していた。
 けれど――。
 花音は、そのためにフィリップを誘ったわけではなかった。
「えっと……バレンタインに渡したチョコレート……。メッセージが急な話で、混乱していたらゴメンね」
 食事を終えて、紅茶を飲みながら花音はそう切り出した。
「あ、はい。どういう意味かなと少し思いましたけれど、嬉しかったです」
 フィリップはそう答えて、笑みを見せた。
「切欠なんだと思ったら……自分でも驚くくらいに直球になって……」
 そう語りながら、花音の顔が赤らんでいく。
「は、はい……」
 フィリップが少し動揺を見せた。
 覚悟はもう決めてある。
 花音ははっきりとこう言葉を続けた。
「ボクは……フィリポが好きだよ!」
 花音の言葉に、フィリップが驚きの表情を見せた。
「……憎めない放っておけなさを……支えてあげたい……。今のボクの気持ちだよ……」
「え……っ。は、はい……」
 赤くなって戸惑っているフィリップの姿を見て、花音は淡い笑みを浮かべた。
「これは……母性本能なのかな? だからフィリポの心の支えになりたいんだ!」
「母性……えっと……あの……」
「……でも、答えは急かさないよ! ルーレンさんや、フレデリカさんのコトもあるからね」
 困っている彼にそう言って、花音は苦笑した。
「ありがとうございます。気持ちは嬉しいです。本当に」
 慌てながら、フィリップは言葉を続けていく。
「で、でも少し、考えさせてください。そう、他の方のこともありますし……」
 フィリップは軽く眉を寄せる。
 花音は息をついて、紅茶をまた一口飲んでから、話し始める。
「これは……ボクの憶測だけど……。フレデリカさんに取って、フィリポが心の支えなんだよ……多分。フィリポは親切だからね」
「……」
 フィリップは眉を寄せて考え込んでいる。
「……心当たりは自分で探してね……ボクには分からないから。だから……一つ言えるコトは……“男性として……自信を持って良い”と思うよ?
「そう、でしょうか」
 フィリップは、自信なさそうだった。
「あと、ルーレンさんのコトは、ボクも事情が飲み込めていないかな? 男装は……フィリポに気を使っているのかも知れないね。……ルーレンさんは……護る事を意識しているのだと思う」
「はい……」
 フィリップは困ったような顔で、残っていたジュースを飲んだ。
「ぐ……ごほっ、げほっ」
 が、気管に入れてしまい、激しく咳き込んだ。
 そんな彼の様子に苦笑した後、花音はこうはっきり告げる。
「ボクはしっかりと! 向き合って行くよ!」
 顔を向けたフィリップに、嬉しそうな微笑みを向ける。
「だから……これからもよろしくね♪」
 花音の笑顔につられるかのように、フィリップも笑顔を浮かべていき。
「よろしくお願いします」
 そう花音に頭をぺこりと下げたのだった。