校長室
嘆きの邂逅(最終回/全6回)
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「南側が、静かね……。本陣を移動したようね」 ソフィアは後方で、斬られた腕の治療を終えた後付近の光条兵器使いを呼びかけて集め、戦いに加わらせていた。 人造兵器達は言葉は喋らないが、ソフィアの命令は理解できるようであり、彼女の指示通り別邸の破壊を主目的に攻撃をしていく。 痛みを感じない兵器達は、体の一部が破壊されても突撃をし、仲間が討たれても動じることがない。霍乱もされはしない。 キメラは人を見つけては降下し、襲い掛かっている。味方であるはずの光条兵器使いにも。 同士討ちに眉を顰めるも、特に対処はせずに、ソフィアは厳しい目を周囲に向けていく。 アレナが攻撃するより前。優勢であることを確認後に、ソフィアは体内からオレンジ色の玉を取り出して……砕いた。 それから彼女は、4体の兵器に前後左右を護らせて、自分自身は指揮に徹していた。 「リカさん! 駄目です」 鞆絵の制止を振り切り、リカインはソフィアの元に駆け込んでいく。 「退いて」 静かに一度だけ言う。 「……退く必要なんてないわ」 ソフィアがファイアストームを放つ。近づこうとした者達が炎に包まれる。 強靭な精神力でリカインは耐え、更にソフィアの元に踏み込んでいく。 ソフィアは青白い顔をしていた。かなり疲労しているようだった……意識があるのが不思議なくらいの状態に見える。 「退かないのならばやるしかない」 例え、誰かの友だとしても。 6騎士も、パートナーとなった円もこの場にはいない。 リカインは人造人間の隙間からドラゴンアーツをソフィアに放った。 ソフィアは魔法でダメージを最小限に抑えながらも、よろめいて膝を地につく。 「ねえ、どうして戦うの? 何が目的?」 ズィーベンが応戦しながら、ソフィアに問う。 「6首長家を越える統治をするためよ」 ソフィアが答えたその時、空飛ぶ箒で飛行し、光学迷彩で姿を見えにくくしていたナナが、ソフィアの元に下降する。 ズィーベンが光術を放ち、ソフィア目を閉じたその瞬間に、ナナは刀をソフィアに振り下ろす。 ソフィアは危険を察知し、身をそらして直撃を避ける。 ナナの剣はソフィアの背を斬り裂いた。 次の瞬間、ソフィアの放った火術にナナは体を焼かれる。続いてソフィアをガードしている人造兵器達に殴り飛ばされた。 すぐに、ズィーベンが駆け寄って、ナナを治療する。 突如、銃弾がソフィアを護る人造人間に浴びせられる。 「これ以上、犠牲者を出させない……!」 ベルフラマントで姿を隠し、バーストダッシュで接近した美羽だった。 「貴方のことも、尊敬していました。敬愛していた方が愛していた方、ですから」 ニーナ・ノイマン(にーな・のいまん)の悲しげな声が響く。矢で光条兵器使いを倒し、突破をして駆けてくる。 「邪魔よ!」 リカインは人造人間に拳を叩き込んで、破壊していく。 「止めていただきます」 ナナは捨て身で踏み込み、ソフィアを護る敵を等活地獄で討ち滅ぼしていく。 「無駄な抵抗は止めなさい! 私を倒したって何も変わりはしないのよ!」 ソフィアがサンダーブラストを放つ。 「残念、です……」 雷を受けた直後、ニーナは巨大な突撃槍の形をした光条兵器を取り出すと、皆が崩した一角から槍を突き出しソフィアの胸――心臓を貫いた。