校長室
嘆きの邂逅(最終回/全6回)
リアクション公開中!
「片付けるわよ!」 別邸でリカインと合流したシルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)が、大声を上げる。 視界に入る兵器、全てを壊す勢いで、シルフィスティは魔道銃を撃っていく。 放たれた魔力が、敵兵器の体に傷を刻んでいく。 「こっちに来んな! 仲間でも襲ってろ!」 アストライトは、ラスターブーメランを放ち、空から別邸近づくキメラの顔に深いダメージを与える。 「リカさん、早くこっちに!」 ソフィアを護衛していた強力な人造兵器を倒したリカインを、鞆絵は両腕でがっちり掴んで、仲間達のところまで下がらせる。 「バカ女はやっぱりバカ女だ」 ぶつぶつ言いながら、アストライトがヒールで無茶をしたリカインの傷を癒す。 そして、女王の盾で防御力をあげ、庇護者で仲間を庇いながらアストライトは空の敵を狙っていく。 「弾幕援護、いくわよ!」 シルフィスティは奪魂のカーマインで弾幕援護。 敵の動きが鈍ったその隙に、前衛が一体一体打ち砕いていく。 「残念ね、撃たせないわ」 シルフィスティは、後方から銃のような光条兵器で別邸を狙う光条兵器使いを発見し、スナイプ、シャープシューターで確実に頭を撃ちぬいた。 「風見、及び宮殿に残っている者は、総力で残党を一掃し宮殿前に退却だ。樹月、桐生に回復魔法をかけながら、至急宮殿前に戻れ。国頭、要救助者を連れて帰還が最優先だ。ゴライオン、この通信後に妨害電波を最大にし、離脱しろ」 神楽崎優子が窓から顔を出し、通信機と拡声器で各方面に指示を出す。 隊長、班長達が声や合図、携帯電話で伝達していく。 「アユナ、さん……」 地上と連絡をとっていていた鳳明が、セラフィーナの携帯を通じて流れてくる友人の声に、じわりと涙を浮かべる。 「うん、必ず地上で」 傷ついてぼろぼろで、体中痛くて、苦しくて仕方ないけれど。 弱弱しくも、無事だというアユナの言葉と励まし。それからファビオの命が助かったという知らせに、鳳明の体に力が蘇っていく。 「目に映る敵兵器を掃討し、地上に帰還する。だが、掃討より退却を優先しろ。以後、通信機は使用できなくなる、急ぎ宮殿前に集合だ。離宮に再封印を施す。遅れた者は地上に戻れなくなる、急げ。以上」 優子が通信を終えた途端、機関室にいるメンバーにより、妨害電波が放たれる。 機械類の敵、キメラの一部が異常行動を始める。 「皆、頑張って倒して、地上に帰ろう! 友達が待ってるからっ!」 鳳明の声に、契約者達から鬨の声が上がる。 「最後まで頑張りましょう!」 神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)が、驚きの歌で、皆の精神力を回復させる。 そして、バニッシュで敵を攻撃。 「お嬢様達を傷つけさせません!」 ミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)が、ライトブレードを叩き込んで、敵の鈍器を持つ腕を切落した。 防衛線を張っていた軍人達、そして東塔から加勢に訪れた者、ジュリオを救出し、別邸に帰還を果たした者達も加わって、暴れる敵、動かなくなった兵器を砕いていく。 「必ず帰りましょう。皆待ってますから」 有栖は、鳳明にヒールをかける。 「うん、ありがとう! もう誰一人、死んだら駄目だよ!」 声を上げて、鳳明がブライトスピアを暴れる敵兵器の胴に突き刺す。 「参ります!」 ミルフィが走り込み、その兵器の頭にライトブレードを振り下ろして破壊した。 使用人居住区に救助に向った者達が、生死の確認を終えた時にその最後の通信は届いた。 重傷者を運び、手当てを行っていた部屋に通信機を所持している武尊が駆けつける。 「ホールの敵を除けば、地下を含めこの辺りには敵はもう殆どいないはずだ。重傷者を運んで、地上から宮殿前に向ってくれ」 国頭 武尊(くにがみ・たける)が仲間達にそう指示を出す。 「オレは地下通路を使い、北側の残党を処分しながら、集合場所へ向う。合流は同時くらいになるだろ」 武尊はそう言い、武器を準備する。 「武尊さん……わかりました」 シーリルは不安気な顔をするも、雷號の体を支えて立ち上がる。 「俺は武尊と行くぞ。まだ暴れ足りねぇーしな!」 又吉も武器を手にする。 「……私も付き合おう……」 言ったのはアシャンテだ。 「無茶ばかりするんだから……。ボクも同行するよ!」 繭螺が笑みを見せる。 「じゃ、頼んだぞ!」 不敵な笑みを浮かべ合った後、4人は瓦礫を飛び越えて地下道を走り抜けていく。 「赤羽さん、帰りましょう」 「はい。ありがとうございます」 美央は朔の肩を借りて立ち上がる。 尋人は北都に、霧神は昶の肩を借りて歩き出す。 「気分が優れなくなりましたら、言ってくださいね」 クナイはジョセフを支え、皆に再びリカバリをかける。 「帰ろう!」 「皆が待っています」 侘助と火藍が先頭に立ち、周囲に警戒を払いながら、集合場所へと歩き出す。 生還し、家族や仲間、友人達と再会するために。