天御柱学院

リアクション

3

　さて、出発前にコントラクターたちのイコンは整備を受けていた。
　整備をしているのは【整備のリーダー】長谷川　真琴（はせがわ・まこと）率いる整備班と、【アサノファクトリー店主】朝野　未沙（あさの・みさ）率いる浅野家三姉妹である。
「ねえねえ、戦闘中に演奏しちゃう？」
　未沙がそう尋ねると、フレイが答えた。
「んーベースともう一人のギターが今回いないし、あと女性ヴォーカルのグリムゲーテ・ブラックワンス（ぐりむげーて・ぶらっくわんす）さんが音楽祭のみ、あと赤城の方の花音さんとキーボードの富永　佐那（とみなが・さな）さんも戦闘には参加しないですね。でも、キーボードのルカルカさんと、コンマスの姫宮　和希（ひめみや・かずき）さん、ドラムの鷹村　真一郎（たかむら・しんいちろう）さんが戦闘に参加するので、あと、ヴォーカルの私が参加しますし、一応演奏はできますね。ベートーヴェンの歓喜の歌をバックに戦闘するつもりなので、打ち込みでコーラスとオーケストラを作成する予定ですけど……あと、ミレリアにも歌ってもらう予定です」
「そっか。ミレリアさんの乗るイコンは？」
「えっと、彼女の戦闘パターンが白兵戦なので、イーグリットの予定です」
「了解。イコンの修理と補給用に改装済みのトラックＡＦＴ−０８１を用意するから、戦場でダメージ受けたり弾薬がなくなったときは遠慮なく使ってね」
「わかりました」
「未羅ちゃん、未那ちゃん、ということでよろしくね」
「はいなの」
「はいですぅ」
　朝野　未羅（あさの・みら）と朝野　未那（あさの・みな）が返事をする。
「ちなみに、トラックの運転は未那がするですぅ」
「未羅は未沙おねえちゃんと一緒に整備・修理担当なの」
「そっか、よろしくね、未羅ちゃん、未那ちゃん」
　アポロンがそう言うと朝野姉妹は
「よろしくおねがいします」
　と答えた。
「とりあえず会場を戦場にすることが無くなってよかったですね。クリスチーナ、スパナをとってください。少しバランスが狂ってます」
「了解」
　真琴のパートナーのクリスチーナ・アーヴィン（くりすちーな・あーう゛ぃん）が元気な声で応答する。
「なあ、真琴、整備が終わったらコンサート見に行こうぜ。整備班の連中でさ。こんな機会滅多にないし、あたいらが整備したイコンでどう演奏するのか気になるじゃん？」
「そうですね」
「じゃ、決まりね。あとで整備科長に許可をもらってくる。それでだ、ちょっと時間を作れるようにするから、真琴はツナギや制服じゃなくて少しおしゃれな服を着てくること」
「そんな……恥ずかしいです」
「なにいってんの、せっかく磨けば光るのにもったいないったらありゃしないよ」
「そうですよ、リーダー」
「そうそう」
　クリスチーナの言葉に整備班の男どもも賛同する。
　彼らは真琴の隠れファンだ。
「あらあら……まあまあ……」
　真琴は整備科の中では女神扱いされるくらいで、彼女を慕う整備の人間は少なくない。
「それはともかく、野郎ども、整備を続けるぞ！」
「おー！」
「クリスチーナさん、あたしたちは女ですよ」
　未沙がツッコミを入れる。
「ああ、そういやそうだった。男も女もがんばるぞ！」
「はい」
　そうして整備は続く。