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テロリスト強襲!? 学園の危機!!

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テロリスト強襲!? 学園の危機!!

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第三幕:トラップ&ストップ

 セシルたちの活躍? により校舎内が騒がしくなっていた頃。
 分校の地下、セキュリティルームへ続く道を進む者たちがいた。
 柊 真司(ひいらぎ・しんじ)ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)そしてアレーティア・クレイス(あれーてぃあ・くれいす)リーラ・タイルヒュン(りーら・たいるひゅん)だ。
 彼らはテロリストから身を隠しつつセキュリティルームを目指していた。
「人が少ないですね」
 ヴェルリアの疑問に柊が答えた。
「たしかに……何かおかしいな」
 周囲に人の気配はない。しかしだからといって油断はできない。
 いつ何が起きるか分からないのが現実というものだ。

 警戒しながら歩くこと数分、誰とも遭遇することなく目的地であるセキュリティルームに着いた。
 だがそこには先客の姿があった。ルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)だ。
 彼女たちは柊たちを視界におさめると手を振った。
 その様子を見てリーラが言った。
「どうやら味方のようね」
 ルカルカは柊たちに近づくと問いかけた。
「やあ。君たちも同じかな?」
 言いながらセキュリティルームと書かれたプレートを軽く叩く。
 そうじゃ、とアレーティアが前に出ると会釈した。
 軽く自己紹介を済ました後、ルカルカに促されるように皆でセキュリティルームに入室した。中には校舎の映像が映し出された画面がいくつもあった。そのうちの一つに落とし穴に落ちるテロリストの姿があり――
「あれは痛そうだ」
 映像を見てダリルが苦笑する。
 それにしても、と言葉を続けた。
「おかしいな。見張りがいないどころか中に誰もいない」
「そうですよね。こういうところって重要な拠点でしょうし……」
 ダリルとヴェルリアに同意するように柊も口を開いた。
「ここまで来る間にも人がいなかったな」
「あ、奇遇だね。ルーたちもそうだよ」
 ルカルカと柊の視線が交差する。
 まずい、と思った時には遅かった。
 入口の扉が閉まり、オートロックがかかったのだ。
 それだけではない。直後に電源が落ちて部屋が真っ暗になり、非常灯が点いた。
 誰かが言った。
「やられた……これは罠だね」
 しばらくしてルカルカにグレアムからテレパシーによる情報が伝わった。
 『罠あり注意』のお知らせを受けたルカルカは暗闇の中でつぶやく。
「おそいよー」



幕間:捕まった人々

 分校の中心、校舎に囲まれる形で建設された体育館の中にテロリストに捕まった生徒と教員たちの姿があった。
 その中には雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)尾瀬 皆無(おせ・かいむ)の姿もある。
 しばらくして勇平とウイシア、アリアの三人がテロリストに引きつられてきた。
「怪我はない?」
 雅羅が三人に近づくと彼らの身を案じた。
「俺は大丈夫です」
「私もよ」
 無事を伝える勇平とウイシア。
 そしてアリアは――
「もう……お嫁にいけない……」
 一言で周囲の動きが止まった。
 生徒も教員も、テロリストたちも動きを止めた。
 そして彼らを連れてきた男に幾人もの視線が突き刺さった。
「俺は何もしてないぞ!?」
 その慌て様を見て雅羅はでしょうね、と呟くとアリアに優しく問いかけ事情を聞き出した。その話を聞いて安心したのだろう。
 この場にいた誰もがため息を吐いた。
「まったく人騒がせだねえ」
 尾瀬が神妙な面持ちで呟く。
 そんな彼らの一挙手一投足を見ている者がいた。斎賀 昌毅(さいが・まさき)だ。
 しばらくして、斎賀はふいに立ち上がると近くにいたテロリストの一人に耳打ちをした。
 声が小さくて何を話しているのか雅羅たちにはわからない。
「何を話しているのでしょう?」
 ウイシアが疑問を口にするが答えられる人はいなかった。
 話が終わったのか、斎賀は雅羅たちを見回すと叫んだ。
「せっかくだから俺はこいつらの味方をするぜ!」
 その一言に皆が皆、唖然とした表情で彼がテロリストに連れていかれるのを見送る。
「いったい何を考えているのでしょうね?」
 ウイシアの疑問に尾瀬が答えた。
「何も考えてないんじゃん?」

                                 ■

 図書室に身を隠していた逢見 繭(ほうみ・まゆ)は辺りの様子をうかがっていた。
「隠れてるだけじゃ事態は改善されないわよね」
 彼女は決断すると、まずは自分と同じような仲間がいないか探すべく図書室の扉に手をかける。
 しかし彼女が開ける前に扉が開かれた。驚く彼女の目の前には温和そうな笑みを浮かべた青年が立っていた。
 レイヴ・リンクス(れいう゛・りんくす)だ。
「あなたはテロリストの仲間には見えませんね」
「見えてたらどうなってたの?」
 レイヴは躊躇なく答えた。
「撃ちます」
「あなたの目が正常で良かったわ」
「そんなことよりここに怪しい機械かそれに類する何かがありませんでした?」
 逢見は振り返り図書室を見回すがそれらしい物は見当たらない。
「見てないわ。あなたは何を探してるの?」
「携帯電話通じないでしょう? 妨害している機械か何かがあるんじゃないかと探しているんです。良ければ一緒に探しませんか?」
「喜んで。いつまでも隠れてるわけにはいかないものね」
 レイヴは気を引き締めると先を進み始めた。
 その様子を見て逢見が聞く。
「どこにあるか見当はついてるの?」
「いいえ、全然です。ただ……」
 レイヴは微笑みながら――
「想詠さんたちには考えがあるようで……たしか科学室に向かうと言ってましたから、とりあえず僕たちも科学室に向かってみようかと」

                                 ■

 特別教室が並んでいる校舎一階、科学室で想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)が通信妨害をしている機器を探していた。しかし――
「こっちにもないわ」
「おかしいなあ。あると思ったんだけど……」
 目的の物を探して一刻ほど、隣の化学教室にも探しに行ってみたがそれらしき物は見当たらなかった。見逃しはないかともう一度探していると科学室に足を踏み入れる者たちがいた。レイヴと逢見だ。
「調子はいかがですか?」
「全然見つからないんだよ」
 夢悠がお手上げという様に両手を天井に伸ばして答えた。
「こっちは見なかったの?」
 逢見が部屋の端にある扉をガチャガチャと鳴らす。
 カギがかかっているようだ。
「ちょっとどいてください」
 レイヴは言うと扉の前に立ち、鍵の部分に向けて銃を向けると躊躇なく数発撃ち込んだ。
 軽い発砲音が室内に鳴り響いた。
「うわあ……」
 皆が一様に苦い顔をする。
「変な顔をしてどうしたんですか?」
「う、うん。なんでもないよ。行こうか!」
 夢悠は皆の背中を押すように声を上げると扉の先に進む。
 隣にあったのは科学準備室だ。教員用のため一般開放はされていなかったようだ。
 部屋の中央。机の上に無骨な機器が鈍い音を発していた。明らかに異質である。
「これっぽいわね」
 瑠兎子は言うと高周波ブレードを構えた。
 起動し、刀身の震動が徐々に細かくなっていく。
 慣らしというように机の端の方にブレードを当てると紙を切るようにスパッと切れた。
「ちょっと……調べもしないでいきなりは……」
 逢見が口を挟むが遅かった。
「えいやっ!」
 掛け声とともに機器を割断する。
 どうよ、と言わんばかりにその場でブレードを一振り。
 目の前には何の反応もしない機械だったものが残った。
「電波は通じる?」
「通じたよ。ついでに社守さんたちから連絡。地下のセキュリティルームに閉じ込められてる人がいるっぽいから助けに行ってくれって」
「雅羅ちゃんは!?」
 瑠兎子は言うと夢悠に詰め寄った。
「他の人が向かってるから……役割分担?」
 彼の一言に瑠兎子は嘆きにも近い叫び声を上げた。