空京

校長室

終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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【2】残るはお前だグラヒトリ! 2 

 グラヒトリの電力回路に異常。
 これによりグラヒトリのイコンの残骸を繋ぎ合わせる行動は十分に機能はできない状態に。
「この状況、押し切れば勝てる。以前の様には行かないぞ、グラヒトリ!」
「ええ。今の私達には絆の力がある! だからこそ次は負けないっ!」
 ハデスとハーティオンの間をソーサルナイトIIが駆け抜ける。
 涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)クレア・ワイズマン(くれあ・わいずまん)の目にはかなり小さくなったグラヒトリが映っている。
『この間の雑魚が、何度やっても結果は変わらんぞ!!』
「それは今からわかることだ!」
 アウトレンジからウィッチクラフトキャノンで残骸を削っていくソーサルナイII。
 落ちていく残骸を、グラヒトリは集めることが出来ない。
『ならば今度はショートさせてくれるわ!』
 肩部に付けられた装置に電力を溜めるグラヒトリ。
 そして次の瞬間、エレクトロンショックが放たれる。

「二度も同じ技が効くと思うな!」
 空間が歪み、エレクトロンショックがあらぬ方向へ向かって拡散する。
 グラヒトリの攻撃はG.C.S(重力制御装置)によって無効化された。
『貴様も邪魔立てするか! 漆黒の!』
「ほう、覚えてもらって光栄だな。……借りを返しにきた」
 ゴスホーク、そして柊 真司(ひいらぎ・しんじ)はあくまで冷静にそう告げた。
「味方機、どちらも異常なし。他イコンにも動きあり。
 コンディション、これ以上ないくらいです」
 ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)が現在の状況を簡潔にまとめ真司に伝えた。
「なら、あの程度の相手に負けることもないな」
『図に乗るなよ、小兵が!!』
 エレクトロンボルトが怒り狂って突進する。
 その隙を見た富永 佐那(とみなが・さな)ソフィア・ヴァトゥーツィナ(そふぃあ・う゛ぁとぅーつぃな)ユノーナ・ザヴィエートを発進させる。
「この程度で逆上とは、情けなくなりましたね」
 愚鈍に直進するグラヒトリの側面から急襲する。
 だが、エレクトロンボルトはニヤリと笑った。
『二流はそちらだ。この程度の挑発に乗ると思ったか?』
 グラヒトリがユノーナの方へと向き直る。罠だ。
「それはこちらも同じことだ。空京を守る正義の猟犬……我らを敵に回したことを後悔させてやる!」
 エレクトロンボルトのヒネた性格……。
 前回の作戦でそれを身にしみて感じた三人もまた罠を仕掛けていた。
 涼介のキャノンがグラヒトリの背後へとぶち当たる。
『ふん、そんな攻撃どうということはな――』
「塵も積もればなんとやら、だ」
 涼介だけでなく真司も攻撃に加わる。
 動力部が近くにある背後からの攻撃。これにはいくら残骸を装甲にしているグラヒトリも対応せざるを得ない。
『いい加減に――』
「するのはあなたですよっ!」
 今度はソフィアがグラヒトリの頭上を取り、ブレードビットを射出して攻撃する。
 息もつかせぬ連携攻撃をしつつ、三人は徐々に間合いを詰めて行く。
『こんのっ!! そこの二機、いつまでも我の邪魔をするな!』
 グラヒトリの腹部が開口し、音が聞こえる。

 バチバチ、バチバチバチ……

 前の戦い、広範囲の地面を焦土と化した恐るべき兵器“エレクトロン砲”。
 その照準は、ベアド・ハーティオンとエクス・カリバーンの二機。
「そうはいきませんっ!」
 ソフィアがユノーナ・ザヴィエートのブースターを吹かして、グラヒトリの腹部へと急行する。
『もう遅いわ!』
「ソフィーチカ! このままじゃ巻き込まれてしまいます! 冷静になって!」
「でも、私はっ」
 佐那の抑止の言葉、だがソフィアは止まる事が出来ない。
「……ビームランスを突き刺した後、直に右に避けて下さいっ」
 佐那も覚悟を決めた。ソフィアは佐那の言葉に頷き、直進。
 そして発射寸前のグラヒトリの腹部にある発射口へとビームランスを突き刺す。
 即座にウィンドシールドを展開し、右手に避ける。
『ぐぅ、照準が……!?』
 照準は逸れたまま聞いたこともない様な超轟音を伴ってエレクトロン砲が発射された。
「ぐぅっ」
「きゃああ!!」
 ユノーナ・ザヴィエートの機体がガクガクと揺れる。
 数秒後、ベアド・ハーティオンとエクス・カリバーンが墜落を始める。
「だ、だめでしたか……」
『そ、んなことはないぞ。どうにか、我等は消し炭にならなくて済んだ。……この天才学者を救ってくれたこと、感謝してやろう。フハハハハッ!』
『同じくコア・ハーティオンも感謝している。なあに、すぐ戻ってくるさ』
「……はいっ!」
 ソフィアはドクターハデスとハーティオンを救ったのだ。