空京

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終焉の絆 第二回

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終焉の絆 第二回
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ネフェルティティ女王をあやせ! 1

巨大な嵐を起こすもの ティフォン(あらしをおこすもの・てぃふぉん)を前にして、
ぐずりはじめる、赤ちゃんのネフェルティティ・シュヴァーラ(ねふぇるてぃてぃ・しゅう゛ぁーら)

2人の代王、セレスティアーナ・アジュア(せれすてぃあーな・あじゅあ)
高根沢 理子(たかねざわ・りこ)は、
その様子におろおろする。

「どうして泣きそうなのだ、ネフェルティティ!」
「どうすればいいのかしら!?」

「一体何を考えていらっしゃるんですか?
ある意味一番安全な場所ではありますが、女王が怖がっていますよ」

そこに、六本木 優希(ろっぽんぎ・ゆうき)が現れ、ツッコミを入れる。

「なんで?」
「どうしてだ?」
「理子さんとセレスティアーナさん……」
優希はこめかみに手を当て、頭痛をこらえる。
「もっと、赤ちゃんの気持ちになって考えてみてください」
とてもではないが、この2人にネフェルティティ女王を任せることはできない。
優希は、そう、改めて認識したのであった。

「女王陛下がこのようなお姿に……」
ミラベル・オブライエン(みらべる・おぶらいえん)が進み出て、ネフェルティティを優しく抱き上げる。
「あー?」
ミラベルは、ネフェルティティに、にっこり微笑み、穏やかに言う。
「ご安心くださいませね、女王陛下。
わたくしたちが、必ずお守りいたしますわ」

「優希様、わたくし、いくつか、
シャンバラに古くから伝わる子守歌を知っております。
お教えしますので、一緒に歌ってくださいますか?」
「なるほど、古王国時代の子守歌を聞けば、
きっとネフェルティティ女王も安心してくださるはずですね」
優希はうなずく。
ミラベルは光の翼を持つヴァルキリーで、ネフェルティティとは同族である。
きっと、懐かしい子守歌を知っているに違いない。

ミラベルは、大きく息を吸って、歌を歌い始める。
(本職の方とは比べるべくもありませんが、
大切なのは真心を込めるということですわ)

ネフェルティティが痛くないように、
鎧を外して、抱っこした優希が、
一緒に歌を歌い始める。

ネフェルティティは、不思議そうにしていたが、
先ほどよりは幾分落ち着いてきたようだった。

「子守歌だと!? 歌なら、オレの出番だぜ!
イケメン歌手の吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)様が、
ネフェルティティ女王を満足させてやるぜ!」
【C級四天王】の吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)は、
舎弟を連れて、上永吉 蓮子(かみながよし・れんこ)とともに現れる。

「野郎ども! 行くぜ!
竜司が幸せの歌を歌い、
舎弟たちがそれに合わせてコーラスする。

「オレは誰だー誰だー」(トロール!)

「オレはイケメンーイケメンー」(サイコー!)

「イケメン四天王だー」(イカス!)

しかし、竜司の主観は、一般的な認識とはズレがある。
その、あまりにもな歌声を聞き、ネフェルティティは再びぐずりはじめた。

「う……ふえ、ふえふえっ……」
「どうしたんだい!?
ほーら、いないないばあー!」
蓮子が泣きそうになるネフェルティティをあやそうと必死になる。

「ううっ、ひぐっ、ひぐっ……
あああああああああああああああん!」
「なんでだろうねえ、いったい」

「このままでは、女王が音痴になってしまうよ」
クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)が現れて言った。

「なに!?
てめえ、オレの歌声に文句あるのかよ!?」
「いや、幼少のころに高音と低音の声をバランスよく聞かないと、
音痴になることがあるらしいんだ」
クリストファーが解説する。

(もしかして、それで……!?)
その場にいた者が、一斉に竜司を見る。
「なんだ?
オレがイケメンだからってそんなに見られると照れるぜ、ぐへへ」
しかし、竜司は見当違いなことを言っていた。

「俺たちがコーラスをするから、一緒に歌ってよ。
俺が低音パートで相棒が高音パートだけど、
より低音の声も聞けた方がいいだろ?」
クリストファーは、クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)と一緒に、
薔薇の学舎で勉強している声楽を披露しようというのだった。
「そうだね、ボクはボーイソプラノで、
相棒はテノールだけど、
より低い男性の声、バスやバリトン、
もっと高い女性のソプラノなんかもあるとコーラスに奥行きが出ると思うんだ」
クリスティーはうなずいた。
「なるほど、なるべくみんなで楽しい雰囲気を盛り上げた方がいいからな!
よし、一緒に歌おうぜ!」
竜司もうなずいた。
「じゃあ、私も歌うよ。
女の声も聞かせた方がいいんだろ?」
蓮子もネフェルティティを抱きながら、一緒に参加することにした。

低音の竜司に対し、
クリストファーとクリスティーがバランスの良い声で、歌を歌う。

竜司の舎弟のほか、
優希やミラベル、蓮子たちもいるので、
コーラスはにぎやかなものになる。


「う……だー」
ネフェルティティは機嫌を直していった。

ディーヴァの震える魂や熱狂を使って、
クリストファーとクリスティーは、
ネフェルティティが飽きないように工夫する。
(これで、はしゃいで身体を動かせば、ぐっすり眠れるんじゃないかな)
クリスティーはそのようなことも考えて、クリストファーと示し合わせていたのだった。

「きゃっきゃっ!」
ネフェルティティははしゃいで手足をバタバタさせ、
笑い始めたのだった。

「おお、いいぞいいぞ!」
「これで結界が守られるわ!」
セレスティアーナと理子がうなずく。

しかし、そこに、
【エロいヤルガード】こと、南臣 光一郎(みなみおみ・こういちろう)が現れる。

「ここは、シャンバラで唯一、
【エロいヤルガード】の称号を持つ、
俺様がネフェルティティ女王に情操教育を行ってやらないとな!」

パートナーのオットー・ハーマン(おっとー・はーまん)のことを、
光一郎が指し示す。
「鯉といえば、鯉のぼり!
端午の節句は男の子のお祭りだが、細かいことは気にしなくていいよな」
「それがし魚河岸鯉である……はずはなく、
ええい、ドラゴニュートであると言っておろうに」

「今後のシャンバラを背負う、立派なふじょしになってもらうため、
早くから目覚めてもらわないとな。
さあ、あの2人はどう見える? 薔薇的な意味で!」
「って、それがしの話を聞いていないな、光一郎!
あと、その『ふじょし』とは一般的な用法と異なる文字の言葉ではないのか!?」
クリストファーとクリスティーのことを指し示す光一郎に、
オットーがツッコミを入れる。
「それに、すべての言葉の文末に『薔薇的な意味で』とつけることで、
『それらしく』変換されるということを英才教育するんだというのは、
まだ言葉を解さない女王陛下に対して意味がないのでは?
それとも、言語を習得する前段階での刷りこみを行うことで、
より、無意識化での『変換』を望んでいるということか!?」

そんなやりとりの中。

「おっとお!?
巨大な棒状の物体が、シャンバラ宮殿に闖入(ちんにゅう)してきたぞ! 薔薇的な意味で!」
「こここ、光一郎、もしやシャンバラ宮殿総受けなどど言いたいのではなかろうな!?」
光一郎とオットーが叫ぶ。

そこには、巨大なガラガラの扮装をした、
ワレーメッワ・ドラゴンウォーター(われーめっく・どらごんうぉーたー)の姿があった。

「赤ちゃんをあやすために、
私自身が巨大なガラガラとなって推参したわよぉ!」
ワレーメッワは、そのまま、その場でブルブルと痙攣し始めた。

「さあ、この安らぎのサウンドとグッドバイブレーションで、
まどろみの彼方へ誘われてしまわれなさぁい♪」

「さあ、この安らぎのサウンドとグッドバイブレーションで、
まどろみの彼方へ誘われてしまわれなさいな! 薔薇的な意味で!」

「えっえっ、ふえっ……
うわあああああああああああああああああああああああっ!」
ネフェルティティは当然のことながら、泣き始めた。

「やっぱり泣いちゃったじゃねえか!
きもいんだよ!」
長尾 沙織(ながお・さおり)が、ワレーメッワをひっつかむと、
思いっきり振り回した。
「ちょっとまって関節はそっちには曲がらな……アッー!」

「あんたも卑猥すぎるんだよ!
赤ちゃんの前で余計なことばっか言ってるんじゃない!」
「……アッー!」
沙織の振り回したガラガラ型ワレーメッワにより、光一郎もぶっ飛ばされた。
「うなぎも赤ちゃんには早い!」
「そ、それがしは関係ないー!?」
【魔法少女浜名うなぎ】こと、オットーもぶっ飛ばされる。

「エロ本は18歳になってから!
BLは部屋を明るくしてPC画面から離れて、ヘッドホンで聞かないとな!」
沙織が謎の標語を口にして、ネフェルティティに悪影響(?)を与えそうな存在を、
外に捨てたのであった。


「うわあああああああああああああああああん!
ああああああああああああああああああああん!」

「まったく、あんなものをお見せしてしまって、ごめんなさいね」
祥子・リーブラ(さちこ・りーぶら)が、
教育上よろしくないものから、
泣きじゃくるネフェルティティを守るべく、
優しく抱き上げ、自分の胸で視界をふさぐ。
「大丈夫。こわい人はいませんよ。もう大丈夫……」
泣いているネフェルティティを落ち着かせるように、祥子が穏やかに言う。
「あう、ひぐっ……ううっ……」
ネフェルティティが、ものほしそうな顔で、
祥子を見上げる。

「もしかして、おっぱいがほしいのですか?
……ここは、女官を育成する百合園女学院の教師として、
一肌脱がないといけないようですね!」
祥子は決意して言った。

「これから、ネフェルティティ女王におっぱいをあげます!
母乳は出ないけど、おしゃぶりをくわえた時みたいに効果があるかもしれないから!!」

「さすが、母さま!
立派な心がけですわ!」
同人誌 静かな秘め事(どうじんし・しずかなひめごと)が拍手する。

「ということで、男どもは回れ右!」
祥子は上着をはだけて、胸を露出させると、
ネフェルティティにおっぱいを吸わせ始めた。

「う……?
ああああああああああん!」

「どうしたのですか、ネフェルティティ女王!?
やはり、おっぱいがでないから!?」

おっぱいを吸っても出ないので、
ネフェルティティは落胆してまたぐずりはじめたのであった。

「では、ここは、百合園の校長である静香校長の出番ですね!」
静かな秘め事が、桜井 静香(さくらい・しずか)に迫る。

「ええっ! 無理だよ!
僕もおっぱいでないし、そ、それに……」
「恥ずかしがっている場合ですか?
百合園女学院校長たるもの、ここで脱がなくてどうします?」
「なんで脱がなきゃいけないの!?」

(ベツニオトコノコガアカチャンニ
オッパイヲアゲテルシーンガミタイカライッテルワケジャナイデスワヨ
ホントデスヨ)

「今、心の声が聞こえた気がするんだけど!」

「さあ、静香校長!
早く! ネフェルティティ女王が泣いていますよ!」
「わー、やめて、服をひっぱらないで!
おっぱいでないから、そんなことしても、
ネフェルティティ女王がよけいに泣いちゃうよ!」
静かな秘め事に迫られて、静香も涙目であった。