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暗き森の泣き声(第1回/全2回)

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暗き森の泣き声(第1回/全2回)

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第4章 無礼な態度にご用心・・・守護者の怒り

-AM11:00-

 説得の言葉が見つからず沈黙の空気が流れていた数分後、烏山 夏樹(からすやま・なつき)が口火を切った。
「風邪ひきさん2人分の魔法草かタネをいただけるなら、それ相応の労働をいたします!」
「いきなり押しかけてきたあげくに、ただでくれなんて図々しいことなんざ言わないぜ。俺たちに出来ることがあれば何でも言ってくれ!」
 久多 隆光(くた・たかみつ)も条件と引き換えに、森に入る許可を貰うために妖精を説得しようと試みる。
「私たちは自分たちの私欲のために魔法草がほしいわけではなく、ましてやアウラネルクさんと争いにきたわけでもないんですぅ」
「病に苦しんでいる2人のために、一刻も早く薬を作ってあげたいだけなんだよ」
 私利私欲のために欲していないことをメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)セシリア・ライト(せしりあ・らいと)は、何とか伝えようと訴えるとよくやくアウラネルクが言葉を返す。
「それが真かどうか・・・どう説明する?薬を作るために必要以上に採らないと、わらわにどう正銘するのじゃ・・・」
「どうしてもアーデルハイト様とラズィーヤ様の病を治すために、魔法草かタネが必要なんですぅ」
「私からもお願いします・・・」
 説得しようとシャーロット・マウザー(しゃーろっと・まうざー)アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)も、アウラネルクへ必死に嘆願する。
「マンドラゴラの凶暴化や森が荒れてしまったのは人間のせいなんだよね・・・。元々は人が立ち入るところじゃないのも分かっているし、簡単に信用できないことも分かっているよ」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は俯きながら小さな声で言う。
「おぬしらはここが進入不可の領域と分かっていて来たのじゃな」
「たとえそうじゃなくてもただで分けてほしいとは言わないよ。だから採取する条件が何かあるなら言ってほしい!」
 俯かせていた顔を上げ、人間に心を許そうとしない妖精の姿を金色の双眸に映し、一か八かの取引を申し出た。
「ほんまに重い病で苦しんでいる人がおるんや。魔法草かタネ・・・どっちか2人分くれへんか?オレ達に出来ることやったら何でもする」
「ボクからもお願い・・・どうしても助けてあげたい人たちなんだよ」
 ルカルカに続けて、七枷 陣(ななかせ・じん)リーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)も願い出る。
「今すぐ信じてもらうのは難しいかもしれない。だけど本当に・・・危険な状態なんだよ。森に入ることができないならタネだけでも・・・」
 レオナーズ・アーズナック(れおなーず・あーずなっく)も説得に加わり、事情を説明してもなお彼女が信用する気配はない。
「どうしたら・・・密猟者じゃないって分かってくれるの」
 交渉に応じようとしない妖精に、アーミス・マーセルク(あーみす・まーせるく)は涙声で言う。
「何でそんなに人間が嫌いなんだ?密猟を行う悪い奴いるが、そんな奴ばかりじゃないぜ」
 葛葉 翔(くずのは・しょう)は彼女が人間嫌いになってしまった理由を聞こうとするが返事は返ってこなかった。
「あーもうっ、こっちも急いでるんだからタネくらい分けてくれたっていいでしょ!」
 頑なに森への侵入を拒むアウラネルクに対して、篠北 礼香(しのきた・れいか)はダンッと片足で地面を踏み鳴らして怒気を含んだ口調で言い放つ。
「何かの実験に使ったり誰かに売ったりするわけちゃうんやから、少しくらい分けてくれたってええやないか!」
 ついに苛々が爆発した桜井 雪華(さくらい・せつか)が、妖精を指差して怒鳴る。
「あぁっ!そんな風に言ってしまったら・・・。ここは冷静に説得したほうがいいですぅ」
「―・・・分かりましたよ・・・。もう少しだけ我慢します」
 喚き散らす彼女たちの怒りをメイベルが抑えた。
 メイベルは恐る恐るアウラネルクの方を見ると、妖精は鋭い眼つきでこちらを睨みつけている。
「あわわっ・・・どうしようメイベルちゃん。彼女きっともの凄く怒っているよー」
「ただでさえ他の方たちの交渉にも応じようとしてくれなかったのに、ますます説得しづらい雰囲気になってしまったようですぅ・・・」
 タネを分けてもらう望みさえ一気に薄れ、人間嫌いの妖精をどうすれば説得できのか生徒たちは悩み込んでしまった。
 しばらく間を空けてアウラネルクが静かに口を開く。
「おぬしらの中に、治療以外の目的でタネを得ようと考えている者がおるようじゃな」
「(うあっやばいな・・・ばれたか)」
 心の中を読まれた和原は目を丸くして驚き、頬に一筋の冷や汗を流す。
「俺はイルミンスールの生徒、和原 樹だ。さっき指摘されたことを正直にいうよ・・・。たしかに病気を治すのとは別に、いくつかタネを貰って栽培したいと思ってるんだ」
「わらわが渡せないといったらどうするつもりじゃ?」
「そっ・・・そうだな・・・。この場で引き換えにといったら血くらい・・・だな」
 自信がなさそうに、だんだんと和原の声は小さくなっていく。
「ならば我の血も捧げよう。200mlが限界であろうが・・・」
「若き血であれば、ここの植物たちも喜びそうじゃな」
「(―・・・本当に血をとる気なのであろうか!?)」
 半ば勢いで言った条件に対して、顔に冷や汗を浮かべてフォルクスは一歩後退る。
「カレン・・・契約者が命を落としてしまうことになってしまったら、恐らく我もこの世に生きてはいないであろう」
「―・・・ジュレール、ボクの考えていることがわかってしまったんだね」
「あぁ、もしもそういう状況になってしまったらその時は・・・」
 目を伏せて2人は覚悟の念を決める。



「どこに野生のマンドラゴラが生えてるのかな?効き目がありそうな薬草すら見つからないよ」
 魔法草が生えていないか、目を凝らしてカミュ・フローライト(かみゅ・ふろーらいと)が辺りを見回していた。
「そうだな・・・」
 調薬用のマンドラゴラを欲しがるカミュのために、赤月 速人(あかつき・はやと)も一緒に魔法草を探している。
「あれっ・・・?あんな所に沢山人がいるわよ」
「―・・・どこだ?」
 カミュが指差す方向を見てみると、大勢の生徒たちが集まっていた。
「イルミンスールの生徒だけでなく、他学校もいるようだな。あいつは誰だ・・・生徒じゃないよな」
 近くで見てみようと速人は、その集団がいる場所へ近寄る。
「少し気が強そうな雰囲気だが・・・なかなか綺麗じゃないか」
 彼の瞳に映った妖精の姿は、色白でなかなかのスタイルだった。
 美しいアウラネルクのプレゼントになりそうな花を摘み、髪飾りを作って渡すための手頃な花がないか周囲を探す。
「あの花なんか良さそうだな」
「ないなぁ・・・。―・・・てっ・・・何やっているの?」
 当初の目的を忘れてプレゼント制作をしている速人の姿を見つけ、カミュは眉を潜めてその光景を覗く。
「よし・・・完成だ!(喜んでくれた彼女の笑顔はきっと可愛いんだろうな・・・)」
 浮ついた想像をしながら白い花の冠を作り上げ、それを手に彼は不機嫌な顔をしている妖精の傍へ歩み寄る。
 速人の行く先を見てカミュは、深いため息をついた。
「何用じゃ・・・人間」
「そんなに怖い顔で睨むなよ。俺は森を荒らしに来たわけでも、ましてやお前に危害をあたえるつもりもないぜ」
 両手を上げて速人はアウラネルクに、戦意がまったくないという態度を示す。
「なんやろ・・・」
「さぁ・・・どっちにしろ交渉の妨げになりますよね」
 リーズと礼香は彼に聞こえない程度の小さな声で話す。
「薄暗い森の中に迷い込んじまって運が悪いぜと思ったら・・・。まさかこんなに美しい妖精と出会えるなんて・・・もはやこれは運命だな」
 口説き落とすためのそれらしい言葉を並べて、カルナス・レインフォード(かるなす・れいんふぉーど)が割り込んでアウラネルクへ言い寄る。
 もちろん迷い込んだというのは、近寄るための単なる口実だった。
 突然現れた来訪者たちの場をわきまえない態度によって、彼女の表情はますます険しくなっていく。
「そんな怖い顔していると美人が台無しだぜ?」
「―・・・おい、俺が先に彼女へ声をかけたんだぞ」
「こまけぇ野郎だな、後でも先でも関係ないだろ。ようは早い者勝ちだぜ!」
「邪魔だ・・・ど・い・て・ろ・よ!」
「そういうことは後にしてくれ。これ以上は交渉の妨げになる」
「美人との距離がー・・・どんどん引き離されていくぜ」
「あぁーっ、アウラネルクさぁあん!」
 ラルクは乱暴にリーズとカルナスの襟首を掴み、強制的に妖精から引き離していく。
「なんだか・・・かなりご立腹に見えるのは気のせいかな?」
「気のせいなんかじゃないぞ・・・やばいなこれは・・・」
 ルカルカの傍らでダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は、殺気に満ちた空気を感じ取り眉を潜める。
「―・・・森の進入許可じゃと?否・・・これ以上おぬしらと話すことは何もない!」
 あまりにも無礼な態度に、アウラネルクは怒りの表情を表す。


 マンドラゴラの根がアリアを掴み、養分にしようと身体を締めつけた。
「いやぁあっ、誰か助けてぇええ!」
 逃れようと必死にもがく。
「くぅっ・・・だんだん・・・力が抜けて・・・」
 徐々に生命力を吸い取られていき、アリアはぐったりとしてしまい気を失う。
「こんなに空気悪くなっちまったら、これ以上の交渉は無理そうだよな」
 ラルクはアリアを拘束してるマンドラゴラの根を銃弾を浴びせ助け出すが、銃弾をくらった魔法草は粉々に砕け散ってしまい、土に吸収されてしまう。
 地面へ落下しそうな彼女をキャッチすると、妖精の攻撃が届かなそうな草むらへそっと寝かせた。
「そのようですね。ここは強行手段にでるしかなさそうです」
 ラルクとオウガ・クローディス(おうが・くろーでぃす)は、ついに妖精と戦う覚悟を決めた。
「悪いがこれ以上、ここで時間を取られるわけにはいかない・・・そこを通らせてもらう。邪魔をするっていうなら倒させてもらおうぜ」
 強行突破に出たラルクは、アウラネルクへアーミーショットガンの銃口を向ける。
「行くぞっ、オウガ!」
 パートナーの声に頷き、オウガはラルクの傍で彼の身を守る体勢に入った。
 ダァアンッと1発の銃声が森中に響き渡る。
「何やってんだ、こいつは森を護りたいだけだぜ。しかもお嬢さん相手に、そういう乱暴な行動はいけないな」
 トリガーが引かれたのと同時に速人は妖精の前に立ち、リターニングダガーで銃弾を叩き落す。
「強引に奪おうとする態度が、妖精の怒りを買ってしまうことがまだ分からないのか!」
 エルはアウラネルクを護るように立ちはだかり、怒気を含んだ口調でラルクに向かって言い放つ。
「君たちは守護者を倒してまでこの先に進もうというのですか?マンドラゴラを引き抜かなくても、タネだけでも頂ければこのような争いをしなくても済むはずです」
 力任せに採ろうとする彼らに、譲葉 大和(ゆずりは・やまと)が怒号する。
「そんなことさせないもん!」
 ラキシス・ファナティック(らきしす・ふぁなてぃっく)が大和にパワーブレスをかけてやる。
「病気を治すために必要なんだから仕方ねぇだろう!」
 大和の攻撃を紙一重でかわしながら、正当手段だとラルクが言い返す。
「どんだけ攻撃したって、ボクが大和ちゃんたちを回復させるんだから!」
「こちらの方が明らかに回復要員が多いんですから、早いところ諦めた方が身のためですよ」
「ざけんなっ、こちとら早くマンドラゴラを届けなきゃいけないんだぜ」
「それは俺たちだって同じです。しかし・・・断られても粘って説得せずに無理やり採ろうとする態度が許せないのです!」
 ランスで銃を叩き壊そうとしたその瞬間、オウガが立ち塞がり彼の首元でピタッと止めてしまった。
「フンッ、甘いな!」
 ラルクは大和へ銃弾をくらわす。
「―・・・ぐぁっ!」
「大和ちゃん!待ってて、ボクが今すぐ治してあげるから。癒しの輝きよ・・・ヒール!」
 暖かい光が大和の傷を治癒していく。
「少しくらい採取させてくれたってぇえやないか、このケチ女め!」
 桜井 雪華(さくらい・せつか)はアウラネルクを指差し、眉を吊り上げて喚く。
「力づくで・・・もう一度、お話を聞いてもらえようにしますわ」
 ドラゴンアーツの術で力を倍化させ、シルフェノワールがアウラネルクに殴りかかる。
「小娘風情が・・・」
 守護者の氷術によって土が凍結し、足を滑らせてシルフェノワールは転倒してしまった。
「なかなかやりますわね・・・わらわだって負けませんわ!」
 体勢を立て直しランスを勢いよく振り、アウラネルクに向かって衝撃波を放つが軽く避けられてしまう。
「まだまだいきますわよー!」
 シルフェノワールは滑りそうになる足をなんとか踏み止め、果敢に立ち向かおうとする。
「いやですねーそんな考え方。何でも力づくで解決しようなんて・・・」
 ため息をついた夏樹は、雪華たちへ仕込み竹箒の鞘を抜いて刃を向けた。
「実力行使も上等手段やー!」
「そんなに重要なアイテムを護る相手を倒して感謝されたいんでしょうか。もしくはただ単に勇者なことがしたいだけなんですよね?でしたらお家でオフゲーでもしていたらどうですか」
「なっ・・・なんやてぇええ!?」
 クスクスと小バカにしたように笑う夏樹の態度に、雪華は顔真っ赤にして怒る。
「あらあら、おイタはいけませんわ。でないと・・・お仕置きの意味を込めて血を吸ってさしあげますわよ」
 再び妖精に向かって銃を撃とうとするラルクに、エカテリーナ・ゲイルズバーグ(えかてりーな・げいるずばーぐ)は跳躍して蹴りをくらわそうとする。
「残念だったな」
 あえなく彼の片腕でガードされてしまう。
「失敗かどうか、まだわかりませんわよ?」
 隙をついてラルクの懐に飛び込んできた雪華が、仕込み竹箒の刃を脇腹めがけて突き立てようとした瞬間。
 またもや刀を持つ手を彼に掴まれ、攻撃を阻止されてしまったが襲撃を防ぐために銃を地面に落としてしまった。
「もう終いか?」
「だから安心するのが早すぎるんですよ」
 ギラリと睨みつけるラルクに臆することなく、雪華は不適な笑みを浮かべる。
 ラルクの肩を掴み、エカテリーナが彼の首元に噛みつこうとしていた。
 回避方法が見つからず諦めかけたその時、オウガがラルクの盾となり彼の代わりに、エカテリーナに腕を噛まれ吸精幻夜によって徐々に精神が蝕まれていく。
「くそっ・・・すまないオウガ、今そいつから引き離してやるぜ」
「交渉に応じてくれへんから戦って無理やり奪って・・・その結果互いに恨み合う・・・そないなことを繰り返したいんか?時間があらへんから焦るのも分かる。せやけどなアウラネルクが悪い訳ちゃうやろ、今まで酷いことをしてきたヤツらと同類の仲間になりたいんか!?」
 陣は冷静な口調で言い、ラルクにエンシャントワンドを向ける。
「もっと冷静になろうよ・・・ね?」
 術から逃れようと無理やり立ち上がって、パートナーを助けようとするオウガに、リーズがカルスノウトの刃を向け静止させる。
「そちらさんこそ、よってたかってはないんじゃないんですか?」
 交渉の様子を窺っていた大草 義純(おおくさ・よしずみ)が、ラルクとオウガにあたらないように陣たちを狙って銃弾を放つ。
「何をなさるの、危ないですわね!」
 とっさにオウガから離れ、エカテリーナは草むらへ飛び退く。
 雪華は両手で頭を抱えて地面に伏せるが、無数の銃弾がすぐそこへ迫っていた。
 彼の危機を察知したエルが駆けつけ、ナイトシールドで銃弾を防いだ。
 カンカンカンッと高音を立てて、弾丸はシールドによって弾かれていく。
「やっかいなのが増えよったな」
「向こうがさらに実力行使をしようするなら、こっちだって反撃するもん!」
 陣とリーズは魔法草を強引に採ろうとする相手を、鋭い眼差しで見据えた。



「なんだかやばい状況になっているようだな」
 妖精たちから死角になる位置から状況を窺っていた緋桜 ケイ(ひおう・けい)は、ヴァーナーたちを避難させようかと考えていた。
「これからもっと戦いが酷くなるであろう・・・。今すぐ彼女たちを逃がした方がいいであろうな」
 ケイの傍らで悠久ノ カナタ(とわの・かなた)が冷静な口調で言い、パートナーの顔を見上げて行動を促す。
「俺はここで密猟者や森を徘徊しているクリーチャーを退治するために残ってるよ」
 樹たちと道の途中で別れて、妖精を説得しようとしている生徒たちを草陰から見守っていた英希がケイたちに片手を振る。
「あぁ分かった。じゃあ俺たちはヴァーナーたちを避難させに行ってくる」
 林の中から飛び出し、彼女たちの元へ駆けていく。
「あっ・・・ケイさん。アウラネルクさんとの交渉が・・・。ボクどうしたらいいか・・・」
 銀色の瞳に涙を浮かべ、ヴァーナーは今にも泣き出しそうだった。
「ここは危険だ、一旦退こう。他の人たちも早く避難してくれ!」
 交渉しにきた生徒たちを非難させようと、生徒たちへケイは大声で呼びかける。
 アルラネルクたちから離れた場所へ、生徒たちは草陰へ急ぎ逃げ込む。
「どうやら戦うしかなさそうね・・・」
 冷静な口調で言い、ルカルカはカルスノウトを構えた。
「なるべくなら争いたくなかったが仕方ないな」
 ダリルもルカルカの傍で、アウラネルクとその妖精を護る生徒たちを見据える。
「まだ分かってへんのやな」
「―・・・邪魔じゃ」
 アウラネルクはボソリと呟き陣たちを退かせ、片手を義純たちの方へ向けた。
「森よ・・・地を荒らす者へ制裁を・・・」
 つむがれたカオスワードによって、地面がグラグラと揺れ始める。
「何だ・・・?地面が・・・」
「いけない早く逃げて!」
「消し飛ぶのじゃ・・・サンドマンサンド!」
 義純が逃げるよう促すがすでに遅く、地中に亀裂が走り大爆発を起こす。
「ぐぁああーっ!」
 彼らは身体を激しく地面に叩きつけられてしまう。
「うわぁ・・・おっかないな」
「あれをまともにくらってしまったら、我らもただでは済まないであろう」
 妖精の魔力に和原とフォルクスは、驚きのあまり丸くして唖然とした。