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リアクション
02:第一次防衛ライン1 東
「こちら【クラッシャー】。敵は数だけ考えてもこちらの倍の二個小隊いる。じっとしてたら撃たれる、フットワークでかく乱していこうぜ! とくに【カムパネルラ】、コームラントはそちらだけだ。しっかり頼むぜ、オルフェ」
重力に逆らうツンツンとした茶髪と同じ色の瞳を持ちバカっぽいが優しそうな雨月 晴人(うづき・はると)が【アルファ小隊】のリーダーとして仲間に声をかける。
「オルフェ、大丈夫、ハルトなら守ってくれるよ」
赤のロングウェーブと青の瞳を持つつり目の美少女で晴人のパートナーアンジェラ・クラウディ(あんじぇら・くらうでぃ)がオルフェことオルフェリア・クインレイナー(おるふぇりあ・くいんれいなー)にそう無線を入れる。
「はい! 頑張ります!!」
オルフェリアはロングウェーブの銀髪と青い瞳を持つはかなげな美少女である。
『司令部よりイコン各機へ。敵の随伴飛行歩兵はレーダーに映らないが機体に設置されたサーモグラフィーで探知することはできる。十分に活用して欲しい』
『了解!』
司令部からの通信が無線を満たした。
「オルフェ、レーダーに感有り。右前方距離500、正面距離1900」
黒髪を後ろで束ね、同じ色の瞳を持つ痩身で顔立ちが端正な『ブラックボックス』 アンノーン(ぶらっくぼっくす・あんのーん)
「こちら【カムパネルラ】右と正面から敵が来ています。接触時間は右のほうが早いですがどうしますか?」
「こちら【クラッシャー】。こちらでも確認した。右から叩く。各機、付いて来い」
「【ファング】了解」
TACネーム【ファング】に乗るのは綺雲 菜織(あやくも・なおり)と有栖川 美幸(ありすがわ・みゆき)である。
「【スプリング】了解」
和泉 直哉(いずみ・なおや)はショートの茶髪と赤色の瞳を持つ精悍で強そうな少年である。そのパートナーで妹の和泉 結奈(いずみ・ゆいな)はロングの茶髪と青い瞳を持ちかわいくてはかなげな少女である。
「【ナッパー】了解」
黒のセミロングと青色の瞳をした色っぽくてかっこいい朝霧 朧(あさぎり・おぼろ)とロングの銀髪と赤の瞳を持ち色っぽくて目つきが優しい五十鈴 那沙美(いすず・なさみ)が答える。
東側の防衛戦力はこれだけだ。
コームラントの移動力に合わせてやや遅い速度でイーグリットたちは移動する。
右正面の敵と対峙する。まずはセオリー通りオルフェのコームラントからの援護射撃が飛ぶ。
「いっけえええええええ」
それは幸運にもシュメッターリング一機のマシンガンを破壊する。
「よし、ライフルを乱射しつつ突撃!」
その間もコームラントの援護は続く。
「フォ〜ホホホホ! 気合入ってきた」
アンジェラが叫ぶ。
「何!?」
美幸がビクっとする。
「びっくりさせちまったか? 相棒は調子が出るといつもこうさ!」
「そうですか……」
釈然としないながらも美幸がそう頷く。
菜織の【ファング】たちが敵機の上空に位置どる。
随伴飛行歩兵の位置を目視でチェック。……いない。熱源センサーにも反応なし。
「応えよ! ファング!」
自身の精神感応と共にファング、美幸との三位一体を信じて「【剣魂一擲】!」
上空から最大速度で降下し、シュヴァルツ・フリーゲにサーベルを振るう。
またもアンジェラが
「ぶっ刺すどお〜!」
と叫ぶ。
そしてシュヴァルツ・フリーゲにビームサーベルをなぎ払う。
「ジェネレーターに……っけー!」
直哉はジェネレーターを狙撃する。
その攻撃は死角からの一撃。敵は高エネルギー体の接近を感知するが動けずそのままジェネレーターに直撃して高度を落とし始める。
【ナッパー】はバルカンで牽制して距離を縮めビームサーベルの間合いに入ったらマシンガンを狙う。
「朝霧、行けたぞ!」
「よし、離脱だ、那沙美!」
そう言うと朧はスロットル全開で敵後方に抜けていく。
他のイーグリットもそれを追いかけて後方に抜けて方向転換する。
当然敵もこちらを向くがマシンガンの射程には少し足りない。
「オルフェ!」
「はい!」
【カムパネルラ】の大型ビームキャノンが敵の中心部を貫く。
敵は散開して避けるがさらに固まっている部分にビームキャノンが降り注ぐ。
こうして編隊を組んでいた敵は完全にばらばらになりそこにビームライフルが降り注ぐ。
いつの間にかイーグリットは再び敵上空に位置どっていた。
反撃のマシンガンが飛ぶが【アルファ小隊】の面々は高機動でそれを回避しながら接近しており、すでに3体に減っている敵の攻撃は効果的なダメージを与えることができなかった。
「騎兵隊登場ー」
ショートの黒髪と青い瞳を持つ貧乏そうでかわいい男の子高峯 秋(たかみね・しゅう)がコームラントに乗ってやってくる。パートナーは金のロングウェーブと緑色の瞳を持ちはかなげで育ちがよさそうな女の子エルノ・リンドホルム(えるの・りんどほるむ)だ。
「神村 理緒(かみむら・りお)もいるよ」
黒のロングヘアと同じ色の瞳を持ち、胸が小さい美少女と
「不破 修夜(ふわ・しゅうや)もよろしく頼む」
黒いボサボサの髪と同じ色の瞳を持ちつり目だが目つきが優しい男性のコンビだ。イーグリットに載っている。
「ありがたい。残りは三機だ。そっちのいる方向から攻撃できるか?」
「大丈夫」
「任せて」
コームラントから二本のビームの束がクロスされる。
一機のシュメッターリングが十字砲火を受けてコクピット部分を破壊し撃墜される。
その隙に理緒がビームサーベルを抜刀の体制から敵胴部に斬りつける。それでシュメッターリングが撃墜される。
「あとはシュヴァルツ・フリーゲだけだな」
直哉がそう言ってトドメを刺すためにイーグリットが集まる。
サーベルが突き刺さった確かな手応えを感じてアンジェラが叫ぶ。
「タピオカパン!」
「なあ、直哉、感じないか?」
晴人の言葉に直哉は「何がだ?」と問い返す。
「敵を倒すのが楽になった感じがしないか? 空母の時より演習の時より……」
「レベルアップしたんじゃないか? 俺たち。個人としても連携の取り方にしても」
「って、武器壊したシュメッターリングはどうした!?」
「こちら【カムパネルラ】。武器を壊したシュメッターリングが戦線を抜けて天沼矛に侵入しました」
「やられた! こちら【ファング】。後を追えるか?」
「無理です。すでに乗り捨てられた形跡が見えます。それよりも左正面が距離200です。すでにエンゲージ間近です」
「コームラント、牽制射撃!」
春人が叫ぶ!
その指示に従ってコームラント二機から牽制射撃が行われる。無論この距離では届くはずもないが敵は警戒してスピードを緩める。
「菜織様、このままでは正面衝突になりそうです」
「そうだな美幸。どうする隊長。正面衝突は避けたほうがいいと思うが?」
「だからってどーしたらいいんだよ、【ファング】?」
「【ファング】と【クラッシャー】が囮になって【ナッパー】と【スプリング】が後ろを取るのはどうだろう?」
「却下だ。各個撃破の餌だ。囮になるのはいいとしてその後ろからビームライフルを撃ってもらうのがいいだろうな。員数外の二機は射撃で牽制。それがいいだろうな」
「いいえ、ここは相対距離を開けるべきね。こちらが相手をしなければ敵はそのまま天沼矛に向かうはず。後方を狙うか、敵が侵入したあとにイコンを破壊したほうが楽に倒せると思うわ」
理緒がそう言うと晴人がこう答えた。
「天沼矛に侵入させるわけには行かないが、後ろを取るってのはありだな。全機急速上昇。このまま敵をやり過ごす」
『了解!』
その指示に従ってイコンが上昇を行うと鏖殺寺院のイコンはそのまま彼らを相手にせず通過していった。
「どいたどいた!」
そんな一行の無線に大声が響いた。
「朧、高高度から味方機が急降下中。これは、イレイン・ハースト(いれいん・はーすと)の機体です」
那沙美がパートナーにそう告げる。
「兄さん、このままだとあの機体と敵は衝突コースだよ」
結奈がそう告げる。
イレインは薄茶色のショートヘアと緑色の瞳を持ち精悍で強そうな、ボーイッシュな少女だ。
「こちらイレイン・ハーストだ。鏖殺寺院のイコンにダイブズームアタックを仕掛ける。もしよければ諸君もその高度から落下して敵に攻撃をかけて欲しい」
「単騎でなんて無茶しやがる。こちら【アルファ1】。そちらの行動に従う」
晴人はそう答えると、機体の上昇をやめて降下を始めた。自由落下+バーニアの出力である。瞬間的に戦闘機並みの速度が出るが、体にGはかからない。契約者となったときに強化されたから、体がGを感じないのだ。
コームラントも急速に落下して上空から敵に砲撃を浴びせる。
散開して回避されるが要は足止め。目的は果たした。
それからもなんどか射撃を繰り返し敵機が回避する様を冷静に眺める。
イーグリットがコームラントの下に出ると射撃は止め、イレイン機と同調する速度で敵の死角となる上部からの急降下アタックを仕掛ける。
まずライフルを発射。しかしライフルは移動間射撃では精密な照準はつけられない。当然命中するはずもないが敵を牽制する役にはたった。
そして近づくとバルカンを発射。敵機もバルカンを打ってくるがお互いに正面装甲同士のため大したダメージは発生しない。
そこから、6機のイーグリットは3機ずつに分かれシュメッターリング2機を集中して狙う。
すれ違いざまにビームサーベルを振りおろす。三分割されたシュメッターリングは爆発を起こし海に沈んでいく。
それからイーグリットはそのまま降下を続けて水面ギリギリでほぼ直角に水平飛行に移行する。
「イレイン、内部にGはないけど機体が軋んでいるよ」
イレインのパートナーで、薄茶色の髪をオールバックにして緑色の瞳を持ち、精悍で強そうな少女近衛 涼子(このえ・りょうこ)が機体の様子をそう告げる。
「機体の方が脆いのか……」
イレインはそう呟く。
そしてそこからさらにバーニアを全開にして急上昇をかけ、今度は下からの一撃を狙う。
だが、敵も機体の向きを真下にしてこちらに正面を向けるとマシンガンを打ってくる。
そこにコームラントからの支援射撃。
「背中が見え見えですよ〜」
オルフェが微笑む。
無防備な背中を狙われシュメッターリング2機がジェネレーターに直撃を受けて爆発する。
残り一機になったシュヴァルツ・フリーゲは上下のイコンの射程圏からバーニアをフル開放して逃れると、急上昇を回避した。バルカンとマシンガンを連射しながら【カムパネルラ】に接近すると、急停止してゼロ距離からマシンガンを放つ。
「きゃああああああああああああ」
「うわああああああああああああ」
衝撃にオルフェとアンノーンが悲鳴をあげる。
「【カムパネルラ】、脱出装置を!」
菜織が叫ぶ。
アンノーンは冷静にその指示に従って脱出装置のパネルを叩き割るとボタンを押した。
コクピットブロックが射出されて落下傘が開く。同時に救難信号が発信される。
「オルフェリア様!!」
天沼矛内部の二次防衛戦で戦っていたオルフェリアのパートナーミリオン・アインカノック(みりおん・あいんかのっく)が叫ぶ。
パートナーの危機を直感的に察知したようだった。
一本三編の白髪と赤い目の育ちがよさそうな美少年ミリオンは、<精神感応>で叫ぶ。
(オルフェリア様! オルフェリア様! ご無事ですか!?)
直ぐに反応があった。
(大丈夫です。怪我もなく何とか生きてます。ミリオンはそのままそこで戦いを続けてください)
(しかし!?)
(ここはイコンが飛び交う戦場です。それに、オルフェは今海の上です。ミリオンにできることはありません)
(それは……しかし)
(大丈夫です。それよりミリオン、敵兵がさらに何人かそちらに侵入しました。そちらの戦いは一層厳しくなるものと思われます。生き残ってくださいね)
(無論です。しかしオルフェリア様は……)
(戦闘が終わるほうが私が救助されるより早いと思います。繰り返します、ミリオンはその場で戦い続けてください)
(……っく。承知しました。ご無事で)
(はい……)
そしてミリオンは叫んだ。
「侵入者が増えたぞ! 迎撃体制を取れ!!」
そして小次郎に進言する。
「戦部様、天沼矛を防衛している他の部署の兵士も呼ぶべきです。戦力の補充を」
「了解だ!」
そして小次郎は携帯で本部に連絡を入れる。
「エレベーターへの移送作業をしている兵士から一部回してくれるそうだ。援軍が来るぞ、なんとか持ちこたえろ」
『応!』
そしてシュヴァルツ・フリーゲは【カムパネルラ】を沈めた代償として一斉射撃を受けてコクピットブロックごと消滅した。
「【クラッシャー】より各機へ。当機は【カムパネルラ】を救助する。幸い東方面の敵は全て排除した。数の少ない北方面の援軍に行ってくれ」
『了解!』
コクピットブロックのハッチが開いた。目の前にはイーグリット。
「オルフェ、助けに来たぞ。スマンな、守ってやれなくて」
晴人がそう外部スピーカーで喋る。
(ありがとうございます)
<精神感応>で、オルフェリアの声が伝わってくる。
(そのままそこで待機していてくれ。イーグリットで格納庫まで運ぶ)
(了解しました)
そしてオルフェリアは第二次防衛ラインに参戦した。
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