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リアクション
「黒毛猪のボスが現れた!?」
普通の黒毛猪を狩る気で集まっていた生徒達が森の奥にいたので、真人は緊急事態を報せ、早く逃げるように促したのだが――生徒達はボス猪に立ち向かう気だった。
「それなら……他のみんなが被害に合わないうちに、人数の多いボクたちがここでボスを止めようよ。せっかく、罠も途中まで作ったんだし」
「そうですね。このまま放っておけば、せっかくのカレー作りが邪魔されてしまうかもしれませんしね」
赤城 花音(あかぎ・かのん)と、パートナーのリュート・アコーディア(りゅーと・あこーでぃあ)は料理班や周囲を被害から守るべく、途中まで掘っていた落とし穴の掘削作業に再び乗り出した。
「ふむ……まぁ、せっかく爆薬も用意したし穴底に仕掛ける杭まで作ったのだからな」
「みんなのカレーを守るために、頑張ります!」
毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)と、パートナーのプリムローズ・アレックス(ぷりむろーず・あれっくす)も、花音たちに協力して落とし穴を作りだした。
そして、周りにいた生徒達もぞくぞくと落とし穴作りを再開する。
実はここにいる生徒達は、花音が猪狩りへ出かける前に協力をお願いした生徒が集まっていた。全員、学校や所属はバラバラだが、猪狩りで落とし穴を作ろうとしていたという共通点を持っている。
「それじゃ、毒島さん。準備できたから、お願い♪」
「あぁ、わかった。少し離れていてくれ」
花音は、持参した圧縮窒素のボンベを浅く掘った地面に埋めると、その上に大佐は自作の爆薬を仕掛けた。
そして――
ボンッ!
「うむ。上手くいったな」
大佐が満足そうに頷く。
「あ、やったぁ♪ 成功したみたい!」
花音は、爆発が起きた地点の土を触り、笑みを浮かべた。
実は――圧縮窒素ボンベを地面に埋めたのは、地中で圧縮空気を爆発させるコトによって、土に空気を含ませて地面の軟化を図る作戦だったのだ。少々危険な作戦ではあったが、どうやら成功したようだ。
「それじゃ。土もやわらかくなったところで、シャンバラ教導団仕込みの穴掘技術を見せてやるにょろ。マジぱねぇにょろよ?」
「お嬢。あまり派手に動きすぎて、ギリースーツを作り直す羽目にならねぇようにな」
花音の呼びかけに応じて集まったゾリア・グリンウォーター(ぞりあ・ぐりんうぉーたー)と、パートナーのロビン・グッドフェロー(ろびん・ぐっどふぇろー)は、軍人らしい機敏な動きで穴掘りに取り掛かった。教導団の生徒にとって、穴掘りは塹壕作成で鍛えられているので朝飯前だ。
「よしっ、俺らも負けてられねぇな! 行くぜ、二人とも!!」
「了解どすぅ〜」
「ふむ。穴掘りなど、何年ぶりかのぉ?」
天御柱学院から集まった御剣 紫音(みつるぎ・しおん)。そして、パートナーの綾小路 風花(あやのこうじ・ふうか)とアルス・ノトリア(あるす・のとりあ)の二人も、花音の呼びかけで集まった生徒で、三人とも積極的に罠作りに取り掛かる。
生徒達が協力しあって掘っていく落とし穴は、次第に深さ二メートルを越える巨大なものとなっていった。
しかし、ボス猪を罠にかけるためには、まだまだこんな深さじゃ足りない――誰もがそう思い、一心不乱に穴を掘り続けた。
だが――
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオ……!!
生徒達の耳に、ボス猪だと思われる咆哮が森の奥から聞こえてくる。
「どうやら、近くまで来ているみたいだな……」
鳴き声の聞こえてきた方角等から、紫音はボス猪が近づいてきていることを悟る。
「でも、このままじゃ絶対に落とし穴は成功しない……どうすればいいんだよ!?」
その場にいた生徒は、悩み始めた。
『あと少し、ほんの少しでいいから時間があれば……』
全員がそう思った瞬間――
「それなら、俺が罠作りの時間を稼ぐ」
生徒達の中から、パワードスーツに身を包んだ三船 敬一(みふね・けいいち)が一歩前にでた。
「俺がボス猪を足止めしてくるから、お前達は罠作りに専念してくれ。まぁ、死ぬ気はサラサラないから安心しろ。無理しない程度にやってくる」
そう言って、ボス猪しがいると予想される方角へ歩き出す敬一。
「ちょっと、待てっ! だったら俺も一緒に戦うぜぇ……って、ふぼはぁ!?」
「そぉい! 人手が足りなくなっちゃうから、大人しくしておきなさい!」
パワードスーツの活躍する場面だと思い、自分もついて行こうと飛び出しかけた月谷 要(つきたに・かなめ)は、パートナーの霧島 悠美香(きりしま・ゆみか)が持つ『高級芋ケンピ』の入った袋で冷静にツッコまれてしまった。そして……芋ケンピで大人しくなってしまった。
すると、そこへ――
「あのぉ、すみません。もしよければ、そのパワードスーツで手伝って欲しいことがあるんですが」
「少しでいいから、手を貸してくれんかのぉ?」
要のパワードスーツに目をつけて話しかけてきたのは、マクシベリス・ゴードレー(まくしべりす・ごーどれー)と、パートナーのフラメル・セルフォニア(ふらめる・せるふぉにあ)だった。
「手伝って欲しいことぉ? 何を手伝えば良いんだ?」
芋ケンピを頬張りながら、要は目を輝かせた。
「実はですね、アノ岩を――」
どうやら、落とし穴意外にも何か罠が作られるようだった。
「っと、さっそくお出ましか!」
ボス猪の登場を待ち構えていた敬一は、その圧倒的な迫力に少しだけ武者震いを感じた。
他の生徒達と戦ってきたのだろうか、所々に傷などはあるものの――明らかに凶暴そうで力強い風格。
それでも、敬一は退こうとはしなかった。
「おら、かかってこい!」
敬一は挑発するかのように、切り倒しておいた一本の木をボス猪に投げつける。
すると――
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
ボス猪はその体躯にものを言わせ、投擲された木などに構わず突進を繰り出す。
「うぉっ!?」
予想以上の速さに驚きつつも、敬一は突進をかわす。
だが、ボス猪は敬一を逃がそうとはせず、再び突進を仕掛けてきた。
「くそっ……しつこい奴だなぁおりゃああああ!」
敬一はパワードスーツの力をフルに活用し、咄嗟に近くにあった岩を持ち上げる。
「くらえっ!」
突っ込んでくるボス猪に対し、敬一は岩石を盾のようにしながら自分もタックルを繰り出す。
だが――
「ぐはっ!? マジかよ!」
予想していた以上にボス猪の突進は強力で、頑強な牙によって岩石は粉々に砕かれ、敬一はそのままの勢いで吹っ飛ばされてしまった。
「これは……手ごわい相手だな」
そう言いつつも、敬一は上手いこと立ち回って相当な時間を稼いでいく。
そして、しばらくすると――
「罠の準備ができました!」
騎馬に乗ってやってきたリュート・アコーディアが、敬一に罠の完成を報せてきた。
「よしっ、それじゃあ俺はここら辺で退かせてもらうぜ!」
敬一が撤退するのと同時に、空飛ぶ箒に乗ったプリムローズ・アレックスがやってきて、ボス猪に向かって雷術を放ち注意を惹く。
「さぁ、猪さん。次は、こっちですよ!」
挑発の言葉を受けたボス猪の狙いは、リュートとプリムローズへと移った。
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
「そろそろですね……」
ボス猪の突進をかわしながら駆けるリュート。
その背後からは、プリムローズの雷術によって追い立てられるボス猪がいた。
そして――
「はっ!」
リュートは、落とし穴の仕掛けてあるポイントで愛馬ごと大きく跳躍して罠をかわす。
コレに続いて、異変を察知したボス猪も大きく跳躍した。
だが――
「今だ、お嬢! この距離なら射角修正はいらねえ。やっちまいな!」
「逃がさないにょろよ!」
ボス猪の跳躍と同時に、ギリースーツに身を包んで隠れていたロビンの合図で、ゾリアの狙撃が炸裂する。
ブォオォッ!?
ゾリアの放った弾丸は、ボス猪が負った傷を正確に撃ち抜く。
この狙撃によってバランスを崩したボス猪は、そしてそのまま――深々と掘られた落とし穴の中へと飲み込まれていった。
「今だっ!!」
ボス猪が落とし穴に落ちた瞬間、隠れていた生徒達が一斉に襲い掛かる。
「フンッ!!」
毒島大佐はバトルアックスによる一撃を、ボス猪の眉間に叩き込み――
「イイイィィィヤッッハアアアァァァァ!! 美味しいカレーの具材になってもらうぜイノシs……ボブァ!」
「少しは落ち着きなさい! そぉい!」
悠美香からツッコミを入れられつつも、要のパワードスーツによる強力な一撃が炸裂した。
ブォオオオオオオ!!
ボス猪の怒りの咆哮が響く。
「まだまだぁあああ!」
要がボス猪に全力の一撃をを叩き込もうと飛び掛る。
だが、その瞬間――
「何っ!?」
要は、信じられない光景を目にした。
「嘘だろっ!?」
落とし穴にはまっていたはずのボス猪が、いきなり穴から飛び出してきたのだ。
その跳躍は、まるでバネの力でも利用したかのように高く、一瞬にしてボス猪は落とし穴から脱出してしまった。
「なんという跳躍力だ!?」
大佐も、信じられない光景を見た気分になっていた。
実は――猪の跳躍力というものは凄まじく、自分の身体の二倍はある高さまで跳ぶことができるのだ。
なので、こんかい掘られた落とし穴の深さは――最低でも六メートル以上なければ、ボス猪はおろか、普通の黒毛猪すら捕まえることはできなかったのだ。
更に――
「くっ……穴底に仕掛けた杭が折れているのか!?」
大佐が仕掛けた杭は、ボス猪を串刺しにするどころか、その毛皮の厚さと重みに耐えかねて折れてしまっていた。
だが――落とし穴を抜けたからといって、ボス猪が有利になった訳ではない。
「さぁ、ここから先……どうします?」
ボス猪が着地したその先には――マクシベリスが立ちはだかった。
いや……正確には、マクシベリスの背後に控える岩石の群れ。
実は、この多量の岩石はマクシベリスが要に依頼して運んでもらったものだった。
運んだ要は何使うのかわかっていなかったが、もしもの事態を想定したマクシベリスはボス猪の進路を阻むために岩石で壁を作ったのだ。
「さぁ、どうします? 後ろには落とし穴、左右には生徒達が控えていますし、前には岩石の壁しかありません。果たして、この状況を突破できますか?」
一手も二手も先を読んだマクシベリスの策に、ボス猪はついにその脚を止めてしまった。
だが……追い詰められたボス猪が取った行動は――
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
雄たけびと共に、集められた岩に向かって突進することだった。
「やはり、そう来ますか!」
突進をギリギリでかわしたマクシベリス。
そのままボス猪は、頑丈な牙で岩を粉々に砕き道を切り開く。
そして巨獣は、新たにできた道を全力で駆けていき、生徒達の前から姿を消した。
「自慢の身体の丈夫さと突進力で事態を切り抜けましたか……ですが、今の突進はあまりにも無茶すぎる。ただでは済んでいないはずです」
走り去った先を見据え、静かに呟くマクシベリス。
そんな彼の策は――見事に成功していた。
ボス猪が罠を脱してやってきたのは、川の畔だった。巨獣は、戦いの疲れを癒すかのように川の水を飲み始める。
だが――
「美由子、今だ!」
「了解、お兄ちゃん!」
背後の森から、酒杜 陽一(さかもり・よういち)と、小型飛空艇に乗ったパートナーの酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)が現れた。
「と、ゆーわけで! コレなんかどう!?」
ボス猪に戦闘態勢を取る暇を与えず、すかさず由美子が攻撃を仕掛ける。
ブォオッ……!
由美子の奇襲によって背後を取られたボス猪は、逃げ場を失った。
だがボス猪もここでやられる訳にはいかない。巨獣は、迷うことなく川の中へと入っていく。
その瞬間――
「よくやった、由美子! 後は任せろ!」
川の中へと逃げ込んだボス猪に、陽一は巨獣用ライフルを向けた。
実は、二人はボス猪を水場の奥へ誘いこむために作戦を練っていたのだが……撤退してくる生徒達から聞いたボス猪の進路は、湖や沼には向かっていなかった。
しかし、その進路の先に川があることを知っていた二人は、ここで決着をつけようとして身を潜めていたのだった。
そして今。水中にボス猪を誘いこめた二人は、勝ちを確信していた。
「くらえ!!」
陽一が巨獣用ライフルの引き金を引くが、弾は厚い毛皮に阻まれてしまう。
だが、それでもボス猪を水中に止めておくには絶好の攻撃となった。このままボス猪を水中に追い込めば……溺れて仕留めることができる。陽一はそう考えていた。
しかし――ここで、由美子が一つ気づく。
「ね、ねぇ……お兄ちゃん?」
「なんだ? どうした」
「猪って……泳げるの?」
「え?」
ふと、由美子の言葉で冷静になった陽一は、攻撃の手を止めボス猪に注目してみた。
すると――
「お……泳いでる!?」
なんと、ボス猪は意外なことにしっかりと川の中を泳いで進んでいた。
実は――猪は泳ぎが得意な獣で、日本の四国地方では島と島の間の海を、猪が犬掻きの要領で泳いで渡る姿が度々目撃されている。
だが、そのことを知らない二人は驚くばかりだった。
「お、お兄ちゃん! 攻撃しなくちゃ!!」
「あぁ! わかってる!」
何度も巨獣用ライフルで攻撃を仕掛ける陽一。
だが、彼の攻撃もむなしく――
「くっ……逃したか!」
ボス猪は、とうとう川を渡りきってしまったのだった。
「ふふふ、待ってたわぁ。ボス猪ちゃん♪」
「これは……本当に通常の黒毛猪より強そうだな」
「ったく、カレー用の猪は揃ったって言うのに、どうして俺がこんなことを……」
ボス猪が川を泳ぎきったところで、その目の前に現れたのは――師王 アスカ(しおう・あすか)と、パートナーのルーツ・アトマイス(るーつ・あとまいす)と蒼灯 鴉(そうひ・からす)だった。
「それでは、体毛が濡れているとはいえ……これはどうだ?」
最初に仕掛けたのは、ルーツだった。
『サイコキネシス』によって浮かせた枯葉をボス猪目掛けて放ち、すかさず枯葉に火をつける。
獣が火を恐れるという特性を生かした攻撃に、一瞬だけボス猪に隙ができた。
その隙を逃さず、ルーツはボス猪の脚に氷術を放つ。体毛が濡れていたので、効果は高い。
「それじゃ、次は私の番よぉ」
不適な笑みを浮かべ駆け出したアスカは『鬼神力』によって強化した脚力で、ボス猪の眼前へと跳びあがった。
そして――
「コレでどうかしらぁ?」
『シャープシューター』のスキルで命中率を高めたアスカは、灼骨のカーマインによる一撃で、ボス猪の目を潰した。
「鴉、後はよろしく〜」
着地したアスカが振り返ると――
「あぁ……帰りてー」
ブツブツと文句を呟きながらも、鴉が『鬼神力』によって巨大な鬼の姿へと変わっていた。
「おらっ! さっさとクタバレ!!」
ボス猪とも渡り合えるほど巨大化した鴉は、目を潰されて怯んでいた巨獣に暁の剣で上段斬りを放つ。
すると――
ブォオオオッ!?
鴉の一撃に苦悶の咆哮をあげるボス猪。顔面からは鮮血が噴出す。
「トドメだっ!」
早く勝負を決めてしまいたい鴉は、ボス猪を焼き尽くすべく『爆炎波』を放った。
だが――
「うぉ!? 何だコレっ!」
「ちょ、何やってるのよもぉ!?」
『爆炎波』がボス猪の身体を飲み込んだ瞬間、その巨体からイキナリ真っ白な煙が立ちこめ、鴉やアスカたちの視界を奪った。
「これは……水蒸気だろうな。濡れた体毛に残っていた大量の水が一気に蒸発したのだろう」
視界を奪われても冷静に状況を判断するルーツ。
だが、その隙をボス猪が逃すわけがなかった。
ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
起死回生の突進を繰り出したボス猪は、鴉の横をすり抜けて駆けていく。
「しまった!?」
大量の水蒸気によって視界を奪われていた鴉は、ボス猪をその場から取り逃がしてしまった。
「もう〜本当に逃がしちゃったのぉ!?」
アスカがボス猪の行方を捜そうと辺りを見回す。
すると――
「あ、いたわぁ――って、あらぁ?」
アスカは、川原を勢い良く駆けていくボス猪の進行方向に、誰かが立ちはだかっているのを見た。
その人物は――
「うっしゃあ! 気合いいれていくぜ!!」
豪腕を唸らせてボス猪を待つラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)だった。
「悪りぃな。この先……っていうか、下流の川原には料理班が待機してるんだわ」
ラルクは吸っていたタバコを携帯灰皿に詰め込むと、紫煙を口から思いっきり吐き出した。
それと同時に――彼の上腕筋が隆起する。
「お前に恨みはねぇけどよ……俺の拳でぶっ潰してやる!」
駆け出した勢いで突進を繰り出してくるボス猪。
それに対し、ラルクは真正面からボス猪に飛び掛った。
「ウラァアアアア!!」
フルスイングされた拳と、ボス猪の強固な額がぶつかる。
「チッ……硬てぇな!」
様々な戦いを経て満身創痍とはいえ、ボス猪はまだ立ち続けている。
「こっからは、本気でいくぜっ!!」
ラルクは飛び上がった勢いで、ボス猪の鼻上に着地すると――
「おっしゃあああああ!!」
『ヒロイックアサルト』によって強化された鬼の豪腕で、再び目の前の額を殴り飛ばした。
「まだまだぁあ!!」
ラルクの攻撃によってボス猪の動きが一瞬だけ止まる。その隙を逃がす理由はなく――
「うらうらうらぁ!! ラッシュしまくってやるぜ!」
『鳳凰の拳』による強烈な連続攻撃がボス猪を襲う。
そして、ついに――
ブォオオオオオオオオオオッ……!
搾り出すような鳴き声と共に、その場へ崩れ落ちるボス猪。
「やるな、お前。万全の状態だったら……確実に俺の負けだったぜ?」
ラルクがタバコに火をつけた瞬間、数々の戦いを経て、ついに本日三体目となる黒毛猪が確保されたのだった。
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