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リアクション
●油断は禁物です。
授業の単位を落としてたまるか〜! という意思の元、土方伊織(ひじかた・いおり)とパートナーたちは授業に参加していた。
引いたゴーレムはウッドゴーレムだ。
実力的には余裕の相手だが伊織が油断することは無いようで、必死にどうやって倒そうかと策を巡らせている。
そんな様子をサーベディヴィエール(さー・べでぃう゛ぃえーる)は微笑ましそうに見守っている。しかし思うところは、実戦形式の授業だからこそイルミンスールには実力者がいるのだろうということだ。
「最速でクリアして、皆の者をアッと言わせてやるのじゃ!」
サティナ・ウインドリィ(さてぃな・ういんどりぃ)が考えている伊織に提案する。
タイムアタックをするには確かに、効果的な引きだ。
「そこのふたりー! すっごくわくわくするなーですぅ……。と言うか最速でクリアとか、無茶ですからー!!」
涙目になりながら、伊織はパートナーたちに抗議をする。
「宜しいではないですか、お嬢様。私が前衛でゴーレムの攻撃を耐え、お嬢様とサティナ様で倒すという方向なら何も問題はございませんよ?」
改めてベディヴィエールが提案する。
「むむぅ。確かにそれが一番ですぅ……。じゃあその作戦でいくのです!」
伊織の号令を伴って、3人は迷宮内へと入っていく。
そして、余りの実力差に、ウッドゴーレムは瞬殺されてしまい、なんだかんだと伊織たちはいいタイムで迷宮を抜け出したのだった。
○
セシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー)は戦慄していた。自分のくじ運の無さにだが。
そしてグラハム・エイブラムス(ぐらはむ・えいぶらむす)や禁書『フォークナー文書』(きんしょ・ふぉーくなーぶんしょ)も口々にセシルに対して苦言呈している。
目の前にいるミスリルゴーレムの威圧感に飲まれてしまいそうだった。
デモンストレーションを行った二人は善戦をしているようだったが、あれはそれなりに実力を付けたからできたことなのだろうと言うことがわかる。
使える魔法は使い、効果のほどを確認したがやはりほとんど効果が見受けられなかった。
「セシル相手は相当固いぜ。じっくり行こうや」
グラハムがそういって、宥めるが時間は一時間しかないのだ。だからこそ焦ってしまう部分もある。
それでも、グラハムがミスリルゴーレムの気を引き、フォークナー文書が魔法を使う。
しかしほとんどダメージが通っているようには見受けられない。
「魔術はやっぱり殆ど効果がなさそうですね……それなら……。二人ともちょっと来てくださる?」
セシルはミスリルゴーレムの攻撃をすんでのところで避けながらも攻撃している二人を呼ぶ。
二人は一気に距離をとり、セシルの下へ。
「関節を狙ってみましょう」
「じゃあ、俺はいつも通りゴーレムの気を引くぜ。しかし、デカい割に早いのは反則だろう……」
そうグラハムはぼやく。
セシルの作戦は、二足歩行をするゴーレムを人間に見立て、人間の一番負荷のかかる関節部分を狙って、自滅させると言う作戦だ。
そして、セシルたちは、手分けをしてミスリルゴーレムに相対する。
もしそれが、ミスリルゴーレム以外のゴーレムなら成功していただろう。しかし、セシルたちはミスリルゴーレムの魔法耐性を見誤った。
まず、フォークナー文書のSPが切れる。そして、次にセシルのSPも尽きた。
なし崩し的に、グラハムが倒れ、セシル、フォークナー文書と次々戦闘不能になってしまったのだった。
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