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リアクション
●無双もいいものです。
紫月唯斗(しづき・ゆいと)は確固たる意思を持ってこの授業に参加していた。
それは葦原明倫館陰陽科の予算を上げるために、それらしい所を見せるべきだろう。
しかし、頑張っているのは唯斗ただ一人で、彼のパートナーたちはただ見ているだけであった。
趣旨を勘違いしていたのか、物理攻撃でゴーレムを破壊イコール単位未修得と言う説明を聞かされすることがなくなってしまったようだ。
それでも、唯斗の相手はウッドゴーレム。実力から考えれば余裕で倒せる相手だ。
「まずは一体と」
目の前には動きを封じられ、綺麗に文字だけ削り取られたウッドゴーレムの姿があった。
「物足らないな。もっとたくさんこないかねぇ?」
唯斗がそんなことをぼやくと、
『別に、迷宮内にいる対象のゴーレムなら何体倒しても構いはしませんよ』
そう放送が流れた。
「お、本当か。それなら……」
唯斗は次のゴーレムを探しに向かう。
「あ、待ってください兄さん!」
紫月睡蓮(しづき・すいれん)は先に向かおうとする唯斗についていく。後の二人も同じようについていくのだった。
そして、2体目のウッドゴーレムは、唯斗を見つけるとすぐさま戦闘状態に入った。
「それじゃあ行きますか……」
唯斗は駆け出し、ウッドゴーレムと接触。
掌がウッドゴーレムに触れる。
「火行……焔王爆掌!」
接触した箇所からの火術。
ウッドゴーレムは木製ゆえ、火に弱い。
すぐさま燃え上がり、消し炭になってしまった。
「……のぅ、睡蓮、プラチナよ」
エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が後ろで見ている二人に声をかけた。
睡蓮とプラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)はエクスの次の言葉を待った。
「わらわ達来なくて良かったんではないか……? あやつ1人でも全然問題ないぞ」
しみじみと言った。完全に傍観者である。
「まあ、マスターが楽しんでいるのですからそれで良いのではないでしょうか」
プラチナムもエクスの意見に同意した上で、主人である唯斗を立てるのだった。
○
藤林エリス(ふじばやし・えりす)は、アッシュと急造のチームを組んだ。
流石にあのデモンストレーション見せられてチームを組まずに、強いゴーレムを引いてしまうことに危機感を覚えたのだった。
しかし、引いたゴーレムは最弱のウッドゴーレム。
「あたしの相手はウッドゴーレムか。ラッキー♪」
「俺様たちの相手はウッドゴーレムか。楽勝だなエリー!」
アッシュはエリスに勝手に渾名をつけて呼んだ。
「文字を消すなんてちまちましたことよりも、ウッドゴーレムを消し炭にするわよ! あんた、絶対足引っ張んないでよね!」
アッシュにビシッと杖を突きつけると、迷宮内へと入っていった。
「そっちこそ、足引っ張んなよ!!」
アッシュも負けじとエリスを追いかける。実力的な面で見ればエリスのほうが上なのだが、それはおいておこう。
「愛と正義と平等の名の下に! 革命的魔法少女レッドスター☆えりりんが人民の敵を粛清よ!」
相手はウッドゴーレムなので、人民の敵なのかはさておいて。
エリスは純白の魔法少女コスチュームに身を包み口上を述べた。
そして、アッシュはエリスから視線をそらしている。きっと生で見る刺激が強かったのだろう。
それからは、もはやとめられない暴走機関車のようだった。
お互いがお互い気の強い性格のせいか迷宮内に散っている、ウッドゴーレムを燃やして、機能停止させて。
さらにはエリスのシューティングスター☆彡が迷宮内にいくつものクレーターを作り上げた。
その中央には、木片へと成り下がったウッドゴーレムの末路がしっかりと残っているのが哀れだろう……。
「あんた、やるじゃない」
「エリー……いやえりりんこそな!」
エリスとアッシュの間にはどうやら友情が芽生えたようでガシッと握手をしていた。
しかし、教師陣は迷宮の修繕云々で頭を悩ませてしまうのだった……。
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