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いけないご主人様・お嬢様をねじ伏せろ!

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第二章 大地にそびえるイコン喫茶 3

 そうして、なんだかんだでイコン喫茶も軌道に乗ってきた頃。
 機械の駆動音を響かせながら、明らかに怪しいクマの着ぐるみを着た巨大ゆる族(?)が三人、イコン喫茶に来店した。
 ……どう見てもPOAの着ぐるみイコンです。本当にありがとうございました。
 当然のごとく店内に緊張が走り、総員が神経を尖らせる。

 が。

 彼らもまた、入店早々、ストマックアサルトの洗礼を受けた。
「ぶっ!?」
 一人が驚いて、というか吹き出して操縦を誤り、バランスを崩して残りの二人にぶつかり、突き飛ばしつつその場に倒れる。

 突き飛ばされたうちの一人は、そのまま真っ正面にいたEジェットさんに抱きつくような格好になった。
 その瞬間、Eジェットさんの無表情な目がギラリと光り、着ぐるみイコンを突き離すと、ちくわサーベルを抜き放っていきなり横っ腹をぶん殴った。
「ど、どうしたEジェットさん!?」
「あれじゃないかな。女王の加護による自動セクハラ迎撃機能!」
 エヴァルトとファニがそんな会話をしていると、殴られた着ぐるみイコンの脇腹のポケット(?)から、潰れた……ええと、つまりGのつくアレが転がり落ちた。
「Eジェットさんはこれをロックオンしていたのね!」
 まあ、害虫を持ち込むのは飲食店に対する嫌がらせの王道であるし、害虫駆除を本来の目的としたEジェットさんがそれに反応したのは当然であるといえよう。

 もう一人はというと、こちらはちょっとだけ操縦技術が上だったのか、倒れないようにどうにかこうにかバランスをとり……歌舞伎役者のように片足跳びでそのまま厨房の方へと向かっていってしまう。
 もちろん、このどこからどう見ても怪しい乱入者を、厨房の主・エクスが許すはずがない。
「邪魔だ貴様ァー!!」
 その包丁を一切止めぬまま、右足でハイキックをぶちかます。
 強烈な一撃をもらった乱入者は今度はのけぞった姿勢のまま片足跳びで戻っていき、すでに倒れていた二人の仲間と折り重なるようにしてようやく倒れた。
 ちょっとどころか実に見事な操縦技術である。コテコテのギャグ的な意味で。

 ともあれ。
 Gのつくアレを持ち込もうとしていることが判明した時点で、この連中は「ご主人様」ではない。
「ここは場末の酒場ではない。我々が執事やメイドであるように、お客様には紳士淑女であって頂きたいものだからな……そうしていただけない方には退店していただくより他にない」
 一同を代表してハーティオンが断固とした態度でそう告げると、着ぐるみ集団は見事に逆ギレを起こした。
「上等だ! 表出ろ表!!」
 その言葉に反応したのがドラゴランダーである。
 彼ははなからこの仕事には乗り気ではなく、「万一荒事が起きたら起こせ」とだけ言い残して眠っていたのだ。
(ほう、ようやく我の出番のようだな!!)

 かくして、POAの着ぐるみイコン軍団は、ドラゴ・ハーティオン……というか、主にノリノリのドラゴランダーによってフルボッコにされ、這々の体で逃げ帰ったのであった。
 ありがとう! 蒼空勇者、いや今回は「勇者執事」ドラゴ・ハーティオン!!

「……っていうかさ〜。すでに正体バレバレだったんだし、戦う前に着ぐるみ脱げばよかったのにね〜?」
 おっとラブさん。ここでそのツッコミは無粋ですよ。