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対決、狂気かるた!

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対決、狂気かるた!

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「8回戦、海京かるた会 安徳さん対イルミンスールかるた会 カレンさん。前に出て下さい」

 互いに名乗りを上げ、かるた取りが始まる。
 静かな戦いが続く。

「(さすが安徳天皇……策がなくてもこの強さ。でも、クトゥルフ神話の素晴らしさを世に知らしめる為にもボクは負けられない!)」

 空気が張り詰めた中、僅差の差でカレンが安徳を撃ち破る。

「おぬし、なかなかやるでおじゃるな。久々に真剣勝負をやることができた。この調子でさらに上を目指すのじゃな」
「ありがとうございます」

 ライバルチームのイルミンスールかるた会に負けたものの、カレンの勝利をたたえる安徳。
 見ていたエリザベートは気に入らない。

「おじゃまる子め……なにがさらに上を目指すのじゃな、よ。ものすごく気に食わないですぅ」

 安徳が会場を後にすると、そこには順番を待っていた裕輝が控えていた。

「言仁命、何か食べたい者等ありませぬか? ご用意しましょう」
「裕輝か……そうじゃのぉ、妾は葛餅を食べたい気分でおじゃるな」
「葛餅ですが。ただちにお持ちします故、席でお待ち下さい!」

 裕輝が安徳の為に葛餅を購入して、安徳の元へ行くとそこにはエリザベートがいた。

「……さらに上を目指すのじゃなぁ、ですぅ? おじゃまる子は私に負けたのですよぉ?」
「変なアダ名で呼ぶでないわ!」

 睨み合っている間に入るように裕輝が乱入する。

「えぇい誰やぁ! 言仁命にしょーもないあだ名付けよった奴はぁ! ぶん殴られたいんかぁ!!」

 エリザベートに喧嘩を売る裕輝。

「裕輝、そのような者に喧嘩を売るだけ無意味ぞ」
「そうですよね! ささ、言仁命。有名店の葛餅をお持ちしましたよ。これを食べながら、残りの試合も見ましょう」

 エリザベートに背を向けて自分の席に座る安徳。
 その隣に裕輝も腰を下ろす。

「おぉ。この葛餅は美味でおじゃるな」
「それは良かったです。冷たいまま運んできた甲斐がありました」

 葛餅を堪能しながら、会場を見るとそこには発狂したケイが体育座りでぶつぶつと呟いていた。

「10回戦、海京かるた会 美羽さん対海京かるた会 アル・アジフさん。前に出て下さい」

 アボミネーションを発動した状態で入ってくるアル・アジフ。
 恐怖空間演出に少しずつSAN値が削れていくのを感じる美羽。

「な、なに……この気配、この感じ」

 アル・アジフのアボミネーションに呑まれつつ、ゴッドスピードで札を取っていく美羽。
 大半はアル・アジフのパワードアーム改に取られていたが……。

 「あはは、ボクにかなうわけ無いんだよ!」

 そして美羽はアル・アジフの執念と狂気に負け、良雄が本物の邪神クトゥルフに見えてしまう。

「邪神、クトゥルフ! 覚悟!!」

 良雄の身体を掴んだまま、地上にダイブする美羽。


「またかよぉぉぉぉぉ!」


 再び世界樹から落ちていく良雄。

「詠み手が不在になってしまわれましたわね。戻って来るまで、わたくしが詠み手を務めましょう」

 ナコトが良雄が落としていった詠み札を集め、詠み手の席に座る。

「詠み手はナコトさんに代わりまして、第二試合 最終、11回戦は本大会唯一のシード権を得た、チューズの会 箱入 ネズミさん対海京かるた会 裕輝さんです。前に出て下さい」

 灰色の丸い耳が付いたフードをきたネズミが入って来る。

「ちゅ……ちゅー。かかかかつのはボクなんななななんですよー」

 すでにSAN値はギリギリのようだ。

「はっ最後まで行かないんとちゃうか?」

 言語不動なネズミを鼻で笑う裕輝。
 ナコトが詠みあげる歌に、視線を別の札に向けながら正しい札を取っていく裕輝。
 ネズミは簡単な心理戦でも引っかかっお手付きの連発。

「ちゅーちゅちゅう? ちゅちゅちゅちゅううううう!?」

 例えお手付きの札でも有狂成分はたっぷり混入している。
 むしろ有狂成分は始めに比べて濃密となっていた。

 耐えきれなくなったネズミは、体の穴と言う穴から涙や唾液、汗などの水分が溢れだす。

「ははっやっぱ最後までいかんかったなー。んじゃ、オレも」

 サイコロを振る裕輝。

「言仁命にしょーもないあだ名付けよった奴! ぶん殴る!!」

 裕輝はエリザベートに真っ直ぐ突っ込んで行く。
 すぐさま、エリザベートと祐輝の間にカルキノスが割って入る。

「エリザベートに仇なす奴は誰であれ、ぶっ飛ばす」
「なんなん? 邪魔するんなら、容赦しないで?」

 構える裕輝。
 カルキノスはスピードに乗せて龍飛翔突を裕輝の顎に入れる。

「おぉっと。凄まじい風やなぁ」

 のらりくらりとカルキノスの攻撃をことごとく捌いて行く裕輝。
 被害が周囲に及び出した頃、ようやく救護班に捕まり大人しくなるのだった。