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パラミタ・ビューティー・コンテスト2

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パラミタ・ビューティー・コンテスト2

リアクション

 

アキラ・セイルーン

 
 
『それではさっそく始めましょう。エントリーナンバー1番。アキラ・セイルーンさんです』
「しょ、初っぱなからかあ!?」
 いきなり名前を呼ばれて、アキラ・セイルーンがしゅるるる〜っと縮んだ。いきなりちぎのたくらみ発動である。
「うっ……、あっ……」
 なんだか、動きがぎくしゃくしてぎこちない、ここに来て緊張で身体が固まってしまったようだ。
「何をやっておる。さあ、行ってこい。あっ、待つのじゃ、肝心な物が……。アキラ、新しい※※じゃあ!!」
 何かに気づいたルシェイメア・フローズンが、ゲート横でアキラ・セイルーンに何かを被せた。
「ゆけえ!」
 トンと背中を押されて、アキラ・セイルーンがゲートから飛び出す。
 三度笠を深く被って顔を隠しながら、アキラ・セイルーンがステージに現れた。スポットライトを浴びて、いきなりフリーズする。
「頑張るのだぁ〜」
 裏から、ルシェイメア・フローズンが小声で応援した。その声に背中を押されて、アキラ・セイルーンが動きだす。
 すたたたたたたと、いかにも渡世人風の足運びで道中合羽を軽く靡かせながら花道を駆けていく。
 着物に股引き、足袋にわらじを履いて、手には手甲、腰には刀と、なかなかに衣装は凝っている。
 そのまま、花道の突端まで走り抜けると、アキラ・セイルーンが三度笠を掴んだ手に力を込めた。そのまま、バッと被っていた三度笠を外す。その下から現れたのは巨大な目玉だ。
「名乗るほどの者じゃぁございやせん。あっしは、風のむくまま気のむくまま、自由気ままにあたりを漂う、ただの根無し目玉でございやさぁ」
 旅役者風に見得を切って、アキラ・セイルーンがポーズをとった。風術にあおられて縞々の道中合羽がパタパタとはためく。
 そしてクルリと振り返ると、ステージにむかってまた摺り足で素早く花道を駆け戻っていった。
 ステージに戻ると、客席の方をクルリとむきなおって一礼する。
「それでは、おさらば!」
 そう叫ぶと、アキラ・セイルーンが高々と三度笠を放り投げた。その三度笠から噴き出すかのように大量の桜の花弁が空中に舞う。薄紅色の花吹雪に、観客たちの目が釘づけになった。
 ハッと気がついて人々が再びステージに目を戻すと、すでにアキラ・セイルーンの姿はステージ上から消え去っていた。
「ひーん、ルーシェ、怖かったよ〜」
 楽屋に戻って光学迷彩を解いたアキラ・セイルーンは、半べそでルシェイメア・フローズンにだきつくとその胸に顔を埋めた。なんだか、ちぎのたくらみのせいで、完全に幼児化している。
『アキラ・セイルーンさんでした。審査員のお二人、いかがでしたでしょうか目玉ショタは』
 アキラ・セイルーンの出番が終わったので、シャレード・ムーンが審査員たちに感想を求めた。
『非常にこだわりのある衣装でしたが、なんだか間違った方向へ突っ走って行ってしまったようですわ』
 残念な人だったと、エリシア・ボックが容赦のない感想を述べた。
『その通りぃ、実に残念だぁ。だがぁ、そこがいい♪』
 不動煙は、なんだか気に入ったようである。
「ふむ、初っぱなからあんな出し物とは、実にいい度胸だ」
 観客席で、なんだか大洞剛太郎も変な方向で感心している。
「うむ。楽しい出し物であるな。皆も喜んでいるようだ」
 コア・ハーティオンも楽しんだようだ。
 だが、どちらかというと審査員のように観客も賛否両論というところだろう。
「あーん、気持ち悪かったですわ」
 目玉は生理的に嫌だったらしく、ユーリカ・アスゲージが非不未予異無亡病近遠にだきついていた。
「確かに。花吹雪はみごとであったが、あの目玉は……」
「ええ、目玉以外はよい動きでございましたのに……」
 イグナ・スプリントとアルティア・シールアムも、なんともどう判断していいのやら困っているようであった。