校長室
平行世界からの贈り物
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神月 摩耶(こうづき・まや)はリリンキッシュ・ヴィルチュア(りりんきっしゅ・びるちゅあ)を引き連れ、クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)はアンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)を引き連れ共に誘いを受けた上映会に参加した。 ■■■ 百合園女学院、シャワールーム。 「……んー」 運動した後の摩耶が熱いシャワーで汗を流していた。 ふと 「……もしかして……」 背後に馴染みの気配を感じてシャワーを止めた摩耶は振り向こうとしたが、 「……摩耶」 耳元で自分の名前を囁かれ振り向く事が出来なかった。 「クリムちゃん……どうして……ここに? 他の場所が空いてるのに……」 摩耶は身体を震わせ、おどおどと後ろにいるクリームヒルトに言った。現実と違い引っ込み思案な性格である。 「摩耶がいるのはここだろう?」 耳元で囁くクリームヒルトは即答し、シャワーを流す。ここのクリームヒルトは口調も外見も凛々しい男装の麗人である。 「クリムちゃん?」 何をされるのかいつもの事で分かっている臆病な摩耶は恐る恐る訊ねる。 「……答えなくても分かっている事だろう。な?」 クリームヒルトは身体を密着させ、摩耶の豊満な胸を抱き締める。根本は現実と同じ模様。 「……で、でも、こんなトコじゃ駄目だよ……他の人もいるから……クリム……あぁぁ」 摩耶はクリームヒルトの感触に顔を赤くしながら訴えるも首筋に這うクリームヒルトのキスに思わず声を上げる。こちらも性格の根は現実と同じだ。 「嫌だと意地を張っても身体は素直だな……可愛いじゃないか、摩耶」 クリームヒルトは妖艶に笑み、細い指で摩耶の身体をなぞる。 そして、摩耶はクリームヒルトによって散々触れられキスをされ弄ばれる。 「……あぁぁん、だ、だめ、クリムちゃぁぁん」 最初はわずかに言葉で抵抗していたのに今でただ喘ぎ声を上げるばかり。音消しのはずのシャワーも何も意味を成さない。 「……クリムちゃん……クリムちゃん」 摩耶はひたすらクリームヒルトの名を呼び、求める。 「摩耶」 クリームヒルトは摩耶が求めるまま弄ぶ。 最後はすっかりクリームヒルトに力を抜き取られ、 「……クリム……ちゃん」 摩耶は息も絶え絶えにぐったりとしていた。 「あぁ可愛い摩耶、大丈夫かい」 クリームヒルトはシャワーを止めてから摩耶の腰を抱いて隣の更衣室に向かった。 更衣室。 「……あれはアンネ様、ふふ、恐らくクリム様と摩耶様の睦言を覗いておられるのですねぇ」 所用で席を外していたリリンキッシュが戻って来たらアンネリースが何やらシャワールームを気にしていた。リリンキッシュにはすぐにその理由が分かった。 「……そうですわ、お寂しいでしょうからお相手して差し上げましょうか♪」 食い入るように見ているアンネリースにリリンキッシュは艶やかな笑みを浮かべるなり足音を消し静かにアンネリースに近付いた。 「あぁ、クリム様、摩耶様……わ、わたくしも……♪」 アンネリースは摩耶とクリームヒルトの様子をドキドキと興奮しながら覗き見していた。どことなく小動物のような雰囲気が漂っている。 その時、 「アンネ様♪」 名前を呼ばれると同時にアンネリースは背中に重みを感じ、振り向いた。 「……リリン様」 非情に大人しいアンネリースはリリンキッシュを追い払う事が出来ず、 「わたくしがお寂しいアンネ様のお相手をして差し上げますわ」 リリンキッシュの甘ったるい囁きを耳に入れ、首筋に唇を這わされ、豊満な胸や太ももの内側に伸びた手を許してしまう。 「いけませんわ……わたくしには……クリム様が」 リリンキッシュに触れられる間、アンネリースが必死に主がいる事を訴えるも 「ふふ、心配ありませんわ。今は見ていませんもの」 リリンキッシュは聞き入れず、アンネリースの肌という肌に指を滑らせていく。こちらのリリンキッシュは現実の摩耶以上に好色で現実以上に豊満な胸強調する大胆アレンジの黒ロリ衣装を着用している。 「他の誰かに見られてしまいま、あ、ああ、ひぃぃ……♪」 リリンキッシュに触れられる度にアンネリースの声からは抵抗の言葉が無くなると同時に身体から力が抜け、虚ろな瞳にはリリンキッシュだけを映している。現実と同じくムッツリなので言葉とは裏腹に嫌がる様子は無かった。 「アンネ様、お寂しい気持ちはもう消えましたでしょう?」 リリンキッシュは甘ったるい感じで笑む。 その時、シャワールームから二人の主が現れるのだった。 「おやおや、こちらもかい」 クリームヒルトは自分達の従者の状況に妖しく口元が歪む。 「是非とも混ぜてくれ♪」 クリームが発するのは参加表明以外無い。 「歓迎ですわ。四人で目一杯楽しみましょうねぇ、摩耶様ぁ」 リリンキッシュは艶やかに笑みを湛え主である摩耶に絡みつく。 「ちょっと……リリンちゃんも歓迎なんて……駄目だよ……あぁぁぁん♪」 摩耶は拒むもリリンキッシュに優しく触れられ、拒む言葉は消え喘ぐばかりでその身をすっかりこの場の空気に委ねてしまう。 「今日のアンネはどんな味か楽しませて貰おうかな」 クリームヒルトはほっそりとした指先でアンネリースの唇をなぞり、その指を自分の口に含んだ後、不敵な笑みを湛えてから今度は、アンネリースの首筋からまず頂く。 「……あぁぁん……クリムさまぁぁん」 アンネリースはクリームヒルトが触れる度、火照った身体をくねらせ、妖しい声を上げるのだった。 こうして四人で散々楽しんでいた。 ■■■ 鑑賞後。 「いつもと違う感じが面白かったね♪」 摩耶は団子を食べながらにこにこと感想を述べた。 「平行世界のあたしって、凛々しいし、摩耶もしおらしくて、味があって大満足だわぁ♪」 クリームヒルトは自画自賛したりと大満足。 「此方のリリン様も、アレ程積極的だと嬉しいのですが」 アンネリースはリリンキッシュに流し目を送りながら言った。 「……その、アンネ様」 リリンキッシュは、アンネリースの視線に気付くも言葉は出なかった。 「……平行世界からの贈り物、か一体送り主は誰なんだろう」 「また妙なものが届けられたものですね。映像で何か分かるといいのですが」 誘いを受けたエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)とエオリア・リュケイオン(えおりあ・りゅけいおん)は送り主を気にしながら流れる映像を見た。 ■■■ 怒号、激しい銃撃、魔法が飛び交うパラミタにあるどこかの町中。 物陰から様子を窺う四つの影。 「あぁ、私のせいで無実な人まで」 涙を浮かべる女性は自分を誘い出そうと住民達を痛めつける悪党達を見ていた。 「彼らの相手は俺達がするから彼女を頼んでもいいかい?」 教導団の国軍軍服を着込んだ少尉のエースがポニーテールを揺らして背後にいる同僚の女性に言った。 「えぇ、任せて。貴方達が奴らの相手している間に保護団体の所まで連れて行く。住人も貴方に任せていいわね?」 同僚はエースの頼みを引き受け、女性を連れて行く事に。 女性がいるにも関わらず、エースは現実のように花を渡したりもしないし植物偏愛も全く無い。ただ、女性の同僚とは同士という感じだ。 「いいよ。無関係の民間人に乱暴を働くのを見て見ぬふりは出来ないから」 生真面目な騎士道軍人であるエースにとって無関係な民間人が巻き込まれるのは許し難い事だ。 同僚と別れた後、 「エース、援護は任せて下さい」 エースの女性副官のエオリアはエースのサポートをするべく銃を構えていた。こちらでは性別以外は現実と同じ。 「あぁ、頼むよ」 エースは頼りになる副官に後ろを任せた。 この後、エース達は無事住人を守り抜き、女性は届けられた。 シャンバラ教導団、執務室。 「以上、無事に要人の引き渡しは上手く行きました」 エースが鋭峰に報告をし終えた。 「そうか。よくやってくれた」 鋭峰は報告を聞いた後、淡々とした口調で褒めた。 「いえ、皆のおかげです」 エースは平時と変わらぬ口調で答えるも内心は嬉しかったり。 突然、常に作動している監視装置とは違う視線を感じる三人。 「……」 しかし、この場にいる三人は気配を感じるも大袈裟にしたくないため指摘しない。 いつまでも引き止めてはいけないと 「……調査中の事案について後ほど報告を頼む」 鋭峰はエース達も自分と同じ物を感じたと察知し、エース達に調査を依頼する。鋭峰自身も後ほどするが、エース達の手際を見てみたいと考えているようであった。 「……了解しました」 「では、後ほど」 エースとエオリアは恭しく一礼してから退室した。妙な視線を連れて。 廊下。 「エオリア」 退出してすぐエースは隣のエオリアに声をかけた。 「……」 エオリアは頭を左右に振った。実は、退室と同時にピーピングビーを放ち周りを警戒して変な数値など出てないか銃型HC弐式・Nでそっと確認したが異常は無かった。 しかし、視線は感じる。 「……(視線は感じれど姿は見えず、か)」 エースはどうするべきかと思考を巡らす。 その時、 「……エース」 エオリアが指し示した。丁度、カメラ目線。 撮影者が姿を現したようだが、現実からではカメラ越しとなり姿は不明。 「君は何者なんだい?」 エースはカメラ越しに正体を問いただす。 「……撮影者? 俺達を撮ってどうするつもりなんだい?」 と、エース。答えは得られたようだが、なぜか撮影者の音声は無い。 撮影者がおもむろに一枚の封筒を差し出した。 「……手紙、ですか。団長宛ですね」 エオリアが手紙を受け取り、宛名を確認した。当然、差出人は無記名。 「すぐに渡しておくよ」 エースは追求はせず、即引き受けた。なぜなら手紙に答えが書かれていると悟ったから。 エース達は執務室に向かった。 ■■■ 鑑賞後。 「……明らかに撮影者と交流していましたね」 「……撮影者の姿は不明なままだけどね」 エオリアとエースは自分達の姿よりも現れた撮影者について話していた。 「……あの様子ですと、予め手紙を用意していたようですね」 付近にいた舞花がエース達の会話に加わった。 「確かにそうですね。それに手紙の内容もエースが訊ねた撮影する理由も分からないままです」 舞花の意見に賛同するもまだ腑に落ちない事があるエオリア。 「……宛名の事から重要事項だと考えるのが妥当だね。撮影の理由と何か関連があるのかもしれない。とにかく、調査結果を待つしかないね」 エースが見えた情報から推測するも結局は調査結果待ち。 とりあえずエース達、舞花は鑑賞に戻った。 別の席には調査を終えたミリアとスノゥが翠達といた。 「ここまで見ての事だけど、撮影された人が気付くと姿を現して事情を話したりしているみたいね。伝言を残させてあげたり」 「そうですねぇ。先ほどの映像はそれと違う感じですよ〜」 ミリアとスノゥはここまでちらちらと気配を感じさせた撮影者について話した。 「あの手紙は送り主が書いた物ね。字がカードやリストと同じだったから」 「ですねぇ。手紙の中身が気になりますよ〜。あそこに今分からない答えがあるはずですぅ」 ミリアとスノゥはエースが撮影者から受け取った手紙が気になり、確認出来ない事が残念そうだった。