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機晶姫と夜明けの双想曲 第2話~囚われの大音楽堂~

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機晶姫と夜明けの双想曲 第2話~囚われの大音楽堂~

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■特9連合、出動せよ!
 ――ニコーレ大音楽堂が大地の檻に閉じ込められてから数十分。
 実行犯である機晶姫、クルスシェイドの捜索、及び大音楽堂内に囚われたままであるパラミタ大音楽祭参加者たちの救助はクルスシェイドの監視という形で抑制されており、状況は悪化の一途を辿っていた。
 そんな中、この状況を打破するべくエレーネ・クーペリア(えれーね・くーぺりあ)を陣頭指揮とした特殊9課の面々と、連携を取る形で共に行動する有志の契約者たちが現場に到着。クルスシェイドたちに気取られないよう、大音楽堂近辺の死角となる場所にて最後の打ち合わせをしていた。
「……それでは手はず通り、私たちは二班に分かれて行動することにします。片方は大音楽堂に急行し、クルスシェイドたちの監視をうまく掻い潜りながら大音楽堂内の要救助者たちを救助、及び近辺に潜んでいるであろうクルスシェイドを探しだし確保するチーム。
 もう片方はフレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)たちから提供された情報や、斎賀 昌毅(さいが・まさき)阿頼耶 那由他(あらや・なゆた)の両名が以前の捜査中に入手した、ヴィゼルが目星を付けていたという古王国時代のテロリスト“夜明けを目指す者”の拠点……今では遺跡となっているそれのひとつ、クルスシェイドたちのアジトを強制捜査によって制圧し、誘拐されたままになっている機工士4名を可及的速やかに救出するチームです。希望するチームはありますか?」
 エレーネが特殊9課候補生たち、そして有志の契約者たちにそう問いかけると、最初にチーム希望を切り出したのはルカルカ・ルー(るかるか・るー)だった。
「私とダリルは大音楽堂のほうに行くわ。エレーネはどうする?」
「私もこちらに残り、陣頭指揮を取ろうと思います。監視が効いている状態では一般の救助隊も下手に動けない状況なので、そちらの方もまとめなくてはなりません」
 エレーネにもやるべき仕事があるようだ。とはいえ、同じチームとして行動するのには変わりないため、ルカルカはエレーネへお互いの健闘を約束しながら、作戦行動の準備に入る。
 他の契約者たちもそれぞれ、思い思いのチームへ入り、準備を進めていく。その準備の間、エレーネが現在の状況を簡易的に説明し始めていった。
「現在の状況ですが先ほども言った通り、クルスシェイドたちの監視が効いている状態のため一般の救助隊などが大音楽堂内の要救助者たちを救助できない状況にあります。そして声明によって要求されている機晶合体用のパーツとクルスをここへ持ってこい、と言われていることからクルスシェイド本人はこの大音楽堂近辺に潜伏しているものと思われます。
 クルスシェイド側の戦力は、アームズタイプと称した全身鎧の機晶姫、そしてクルスシェイドに与する契約者たちのみと予想されます。もし彼らと遭遇した場合、話し合いが不可能と判断したらすぐさま確保をお願いします。逃げ足だけは速いようなので、気を付けてください」
 確保手段等は問いません、と付け加えるエレーネ。そして、肝心の大音楽堂内部とは何とか連絡は通じているらしい。そして、別班がクルスの護衛の方にも向かっているとのことだった。
「――大音楽堂の方ですが、どうやら何名かの契約者や特殊9課候補生がいるみたいで、内部の避難活動を担当してくれているようです。避難経路を確保すればなんとか救助はできるかもしれませんね。
 クルスの方も護衛の人たちが向かっていますが、どうするかはクルス本人の意思を確認してみないことには何とも言えません。……いい方向に転がってくれればいいのですが」
 エレーネにしては珍しい言葉である。やはり、それなりにクルスの心配をしているのだろうか。
 説明を終えると、各チームの準備も無事に完了したようだ。それを確認したエレーネはすぐに全員へ号令をかける。
「準備完了のようですね。それでは――特殊9課と有志契約者たちの連携チーム・特9連合……各自、行動を開始してください。各員の健闘を祈ります」
 その言葉は、淡々としながらも静かな熱意が篭っていた。