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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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 エッシェンバッハ派 秘密格納庫付近 某所

 格納庫を後にしたスミス。
 彼はエッシェンバッハ派の中でも限られた人物。
 自分、そしてエッシェンバッハ派の頭目であるエッシェンバッハ。
 その二人しか立ち入れない区画を訪れていた。
 
 既にその場には一人の男が待ち受けている。
 壮年の男――エッシェンバッハだ。
 
「お待たせ致しました。我が主」
「気にするな。それよりも――」
 
 言葉を交わす二人。
 そのすぐ前には奇妙なオブジェを思わせる何かが屹立していた。
 
 奇妙な文様が描かれた銀板が複数組み合わせられ、それを無数のコンピュータとケーブルが包んだようなタワー状の何か。
 それを言葉で言い表すなら、そうとしか言いようがなかった。
 
「流石に二度目のクロックアップは負荷が大きかったようです」
「構わん、無事に“ステューデント”が完成したのだ」
「ええ。当初の予定にはなかった“シュピンネ”の分を急遽追加した時は少々心配しましたが、無事完成したようで安心しました」
「“キンダー”の方はどうなっている?」
「そちらも問題ございません。本日はそちらも併せてお見せしようと思いまして」
 
 そう言うと、スミスは更に奥へと進む。
 進んだ先。
 金網状のフェンスという形状のシャッターが両サイドへとスライドして開いた先には何機ものイコンが佇立している。
 そのイコンの形は今まで彼等が運用してきたものと変わらない。
 即ち、グリューヴルムヒェン・シリーズの量産機たちである。
 しかし、今までの機体と違うのはその色だ。 
 濃緑色であった今までの機体とは違い、ここに佇立するのは鮮やかな銀色の機体。
 
「素晴らしい。これが“ステューデント”を搭載した新型機――シルベルタイプか」
「はい。そしてこれら、および彼等が――」
 
 主であるエッシェンバッハの態度に対し、満足げに一礼するスミス。
 そして彼はシルベルタイプが立ち並ぶ、更にその奥を手で示した。
 
 秘密格納庫の奥、その更に奥、そしてまた更に奥。
 まさに最奥と言うべき場所に佇んでいたのは、“ユーバツィア”、“フリューゲル”、“ドンナー”、“ヴルカーン”、“フェルゼン”、“ヴェレ”、“シュピンネ”。
 都合七機のグリューヴルムヒェン・シリーズはそのどれもが金色に輝く機体であった。
 そして、各機体の前にはそれぞれ一組の少年少女が立っている。
 
「おお。見事である。スミス」
「ご覧ください、我が主。あれが二度目のクロックアップによって生み出された“ステューデント”およびシルベルタイプと並ぶ新型――」
 七機と七組を手で示し、その後、優雅に一礼するスミス。
 
「――ゴルトタイプ、ならびにそのパイロットたる“キンダー”にございます」


【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性 完
 To be continued.