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学生たちの休日15+……ウソです14+です。

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イルミンスールにて



「手配つきました」
 大神 御嶽(おおがみ・うたき)が、落ち合わせ場所で待っていた散楽の翁の所にやってきた。エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)に頼んで、飛空艇を借りてきたのだ。
 その言葉通り、じきに鳥の形をした優雅な大型飛空艇が降下してくる。
「お待たせしました。御搭乗ください」
 大型飛空艇のコックピットから、アラザルク・ミトゥナが呼びかけた。パイロットとして、駆り出されたのだろうか。
「御同行してもよろしいでしょうか、カン・ゼ卿」
 飛空艇にすでに乗っていたアルディミアク・ミトゥナ(あるでぃみあく・みとぅな)が、散楽の翁に言った。
「散楽の翁でいいですよ。何か、理由がありますか?」
 アルディミアク・ミトゥナに散楽の翁が訊ねた。
「アラザルクのことなのですが……」
 アルディミアク・ミトゥナが、散楽の翁に、アラザルク・ミトゥナの復活のときのことを説明した。現在のアラザルク・ミトゥナの体組織は、アストラルミストから再構成したものだ。
「この子たちと同じということですか」
 散楽の翁が、アマオト・アオイらに引率されてきたメイちゃんコンちゃんランちゃんたちを一瞥して言った。
「ならば、一緒に定着させましょう。それに、よく知る者に手伝ってもらった方が、はかどりますしね」
 5000年前のことを思い出して、散楽の翁が言った。当時カン・ゼと名乗っていた散楽の翁は、の巣にあった銀砂を元にして、アストラルミストなどの開発をしていたのだ。同時期、十二星華の計画にも関与しており、正直、当時のアルディミアク・ミトゥナとアラザルク・ミトゥナとも顔を合わせたことがある。
「ありがとうございます」
 散楽の翁に一礼すると、アルディミアク・ミトゥナがアラザルク・ミトゥナのサブパイロットをするためにコックピットへとむかった。

    ★    ★    ★

「それじゃ、頑張ってきてくださいですら〜」
 見送りに徹したキネコ・マネー(きねこ・まねー)が、大神御嶽たちにむかって挙げた手をクイクイッと振った。
「あなたは、一緒に行かないのですか?」
 胡散臭そうに、アリアス・ジェイリル(ありあす・じぇいりる)が訊ねる。
「めんどくさいことは、御主人に任せるものですら」
 しれっと、キネコ・マネーが答えた。
 それを聞いて、天城 紗理華(あまぎ・さりか)がアリアス・ジェイリルとともにやれやれと肩をすくめる。
「まあ、留守の方はこっちでしっかりと守るから。安心して行ってらっしゃい。しっかりとケンちゃんを復活させて戻ってくるのよ」
「もちろんです。こちらは、任せましたよ」
 天城紗理華に言われて、大神御嶽がしっかりとうなずいた。
 目的はケンちゃんの復活だが、同じく力を取り戻そうとしているイレイザー・スポーンの方も心配だ。
 最終的な敵の目的は世界樹と同化して、コーラルネットワークを浸食支配することらしい。それによって、世界樹を全て崩壊させ、パラミタ大陸をささえる要素の一つを破壊して、そのままパラミタを滅ぼそうというものだ。
 だが、弱体化しすぎた今の状態ではそれは不可能だろう。現在よりも力のある状態でも、大司書パー・ラミーとエリザベート・ワルプルギス校長の結界に阻まれて、世界樹の中に入っても何もできなかったくらいだ。とはいえ、油断してはならないということで、天城紗理華たちが残って世界樹イルミンスールの守りをかためている。さすがに、イレイザー・スポーン一匹程度は脅威ではないはずだが、また誰かに寄生して悪さをする可能性もある。
 問題は、むしろ、鷽の巣へとイレイザー・スポーンがむかうことであった。体組織となり得る銀砂を吸収すれば、予想外の力を得るかもしれない。
 ただ、それに関しては、長年イレイザー・スポーンに憑依されていたコウジン・メレを中心として、ショワン・ポリュムニアたちが、鷽の巣にむかう者たちに注意を払っている。
「テンクから連絡が入りました。鷽の巣がある島で待機中だそうです」
 鷽の巣がある島をテンコ・タレイアたちと共に調査していたテンク・ウラニアからの連絡を受けて、タイオン・ムネメが言った。現在、鷽の巣がある島はポータラカの消滅による気流の変化によって移動中であるが、位置情報はこれで随時確認できるはずだ。
「全員搭乗しました」
 リクゴウ・カリオペが、タイモ・クレイオシンロン・エウテルペパイフ・エラトなどの顔を確認して散楽の翁に報告した。残るチュチュエ・テルプシコラタンサ・メルポメネは、鷽の巣で待っている。
「では、急ぎましょう」
 散楽の翁の言葉に、アラザルク・ミトゥナが大型飛空艇を発進させた。
 しばらく進むと、大型飛空艇の上にドンと何かが乗っかった。
「すんませーん、便乗するぜ」
 ジャイアントピヨの上から、アキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)が大型飛空艇の中へむかって呼びかけた。
「まったく、アキラはしょうがないネ」
 一緒にジャイアント・ビヨに乗っていたアリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)がすまないという感じで言ったが、顔は全然すまなそうではない。
「どもー」
 ついでに便乗したネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)と共に、アキラ・セイルーンたちが大型飛空艇に下りてくる。
「俺たちも、いろいろと手伝いたいので、一緒に連れていってくれ。で、その、イレイザー・スポーンってどういう奴なのか説明を……」
 アキラ・セイルーンが、遠慮なく散楽の翁たちに聞き始めた。
「いろいろと、ネー……」
 どうせろくでもないことを考えているんだろうと、アリス・ドロワーズがアキラ・セイルーンのことを半目で軽く見つめた。にこにこしているのが、実に怪しい。

    ★    ★    ★

「これを運転すればいいんですね。任せてください。困っている人がいれば助けるのが正義の味方。まして、それがココさんたちであるならば、なおさらです」
 ゴチメイたちの持っている中型飛空艇に乗り込んだ風森 巽(かぜもり・たつみ)が、ドンと胸を叩いた。
「おう、頼むよ。なんだか知らないけど、二人して鷽の巣に行くとかなんとか。まったく、最近、つきあいが悪いんだからもう……」
 ココ・カンパーニュ(ここ・かんぱーにゅ)が、そう言って頭を掻いた。
 実際には、アルディミアク・ミトゥナが、さすがに邪魔をすることを諦めて、気をきかせてくれているだけなのではあるが。
「それに、メイちゃんたちも助けてあげたいですからね。さあ、みんな、乗ってください」
 相変わらず、ゴチメイたちには敬語で風森巽が言った。だんだんと、口調が板についてきてしまっているのが少し悲しい。
シルバージョンも来い!」
 風森巽が、愛用の自立バイクを呼んだ。呼ばれたバイクがひとりでに走ってきて、カーゴ部分に入る。ただ、その荷台に何者かが絡みついていたことに気づく者はいなかった。
「みんな乗り込みましたあ」
 チャイ・セイロン(ちゃい・せいろん)が、ココ・カンパーニュたちに告げた。さすがに、ジャワ・ディンブラ(じゃわ・でぃんぶら)はドラゴンの姿でついてくるようだ。
「さあ、出すのよ」
 リン・ダージ(りん・だーじ)が、風森巽の後頭部に銃を突きつけながら命令した。
「ええと、ココさん、なんとかしてください」
 反撃していいものやら、風森巽が冷や汗を垂らしながら、ココ・カンパーニュに助けを求めた。
「本気じゃないから」
 まあまあと、ココ・カンパーニュが軽く笑う。
「ええ、ここで殺したら、飛空艇が汚れます」
 ペコ・フラワリー(ぺこ・ふらわりー)の言葉に、マサラ・アッサム(まさら・あっさむ)がうんうんとうなずいた。
「と、とにかく、出発します」
 これ以上何かされてはたまらないと、風森巽があわてて飛空艇を発進させた。