リアクション
同時刻 ???
どこかの空間で、歌菜は一人立ちつくしていた。
いったいどれだけこうしていたのかはわかららない。
だが、他に誰かがいるわけでも、その誰かが入ってくるような出入り口も見当たらないのだから。
しかし、その状況にも変化が訪れた。
「……!」
今まで歌菜しかいなかったこの空間に、こころが現れたのだ。
「歌菜さん。ようやく会えたわね」
「こころさん!?」
「みんな、あなたのことを待っているわ」
「……!?」
こころが話しかけてきたことに驚きはない。
無口なように見えて、その実、彼女は意外と話好きだ。
けれど、いつもは念話でしか話さない彼女が、この空間では口を開いて声を出しているのが妙におかしくて。
歌菜はついクスリと笑っていた。
「ふふ……ごめんなさい。来てくれたの? 私の為に」
「ええ」
「迎えにきたわ。みんなが、待っているから」
するとこころは軽く手をかざす。
一瞬、彼女の手が暖かな光を放ったかと思うと、歌菜を待つ様々な人々の想いが溢れ出す。
「みんな……羽純くん……!」
そして歌菜は、こころに差し出された手を取った。