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第4章 キミに似合うドレス

「ブライダルフェアの時のウエディングドレスも滅茶苦茶綺麗だったけれど……」
 エル・ウィンド(える・うぃんど)は、ブライダルショップを渡り歩いていた。
 恋人であり、先日指輪を送って、結婚の約束をしたホイップ・ノーンを想いながら。
 本当はデートしたかったのだが、彼女は今日、用事があるということで、会うことは出来なかった。
 バレンタインの準備をしているのかもしれないと、密かに思いながら、エルは店を回っていく。
「純白は、一度着たとはいえ、欠かせないか……?」
 見ているのは、主にウエディングドレスだ。
 彼女には、どんなドレスが似合うだろうかと、ホイップの姿を思い浮かべながらショーウインドー眺めていると……。
「!!!!」
 すっごい好みのドレスを発見してしまった。
 ド派手で、キンキラキン!
 自分の普段着より10倍くらい眩しいドレスだ!!
「お揃いのタキシードもオーダーメイドして……って、いやいやいや」
 エルは首をぶんぶん左右に振る。
 自分を睨むホイップの姿が脳裏に浮かんでいた。
 2人でピッカピカも悪くないと思うんだけどなー。
 うおっ、まぶしっとか言われるかもしれないけど!
 一応彼女に相談してみようかなと思いつつ、その金ピカドレスを扱っている店に、入ってみることにした。
「ボクの婚約者なんだけど……この娘に似合うドレスって、どんなのかな?」
 エルは、店員の女性に、ホイップの写真を見せて尋ねた。
「とても可愛らしい方ですね」
「うん」
 店員の言葉に、エルは強く頷く。
「そうですね……こちらの、ドレスなんていかがでしょうか」
 勧められたのは、パステルピンクの姫ドレスだった。
「他のお色ですと、クリアブルーのドレスもお勧めですわ」
 どちらも、ゴージャスというよりは可愛らしいドレスだ。
「うん、どっちも似合いそうだなあ……。けど、あれも捨てがたいんだっ」
 エルが指差したのは、ショーウインドーに飾られている例の、金ピカドレスだ。
「あちらは結婚式の規模にもよりますわ。盛大に行うのでしたら、おすすめいたしますし、新婦様にお似合いになるよう、お仕立てすることもできますわ」
「し、新婦かあ……」
 ウエディングドレスを着て、自分の隣に立つホイップの姿を思い浮かべ、エルは幸せそうな笑みを浮かべる。
「よし、カタログもらえるかな? 彼女と一緒に検討してみるからさ」
「はい、お持ち下さいませ」

 店員からウエディングドレスのカタログを受け取ると、エルはその店を後にした。
 カタログは後程手紙を添えて、ホイップに送る予定だ。
「いい匂いがするなー。チョコ饅頭か?」
 匂いの方に目を向けると、菓子屋の前でチョコ饅頭の試食販売が行われていた。
「さて、次の店いくか」
 ちょっと興味はあったけれど、エルはそちらには行かずに、次のブライダルショップを目指すことにした。
 バレンタインには、最愛の彼女から、もらえるかもしれないから。
 それまで、チョコレートは食べないでおこうと思った。