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四季の彩り・春~桜色に包まれて~

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四季の彩り・春~桜色に包まれて~

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 第15章 彼等の、これから。

     〜1〜

 夜が明け、朝。
 アクアは蒼空学園に一晩泊まり、小鳥の鳴き声が聞こえる中でぼーっとしていた。
 彼女の手には1枚の紙があり、そこには、何やらあみだくじのようなものが書かれていた。どの学校に正式に所属するのか――
 候補として考えていた全ての学校に滞在の理由があり、どこへ行っても、自分は先に進めるような気がする。
 携帯電話を出し、アクアは幾つかボタンを押して耳に当てた。
「あ、ミリアですか? 今日のアルバイトですが……はい、はい。そうですね……」
 そして。
「はい。……これからもよろしくお願いします」
 そう言って、電話を切った。
「…………?」
 色々と誘ってくれた皆にも、それぞれ話をしなければいけない。そんな事を考えて淡々と帰る支度をしながら、アクアは何か忘れているような気がして1人、手を止める。
(何でしょう……。何か、魚の小骨がひっかかったような気分です。昨日、何か……)
 昨日、1日の間に何があったのかもう1度思い出してみる。お弁当を作って公園で待ち合わせて、それで――
「……あ」
 再び携帯電話を出し、風祭 隼人(かざまつり・はやと)の番号にかけてみる。以前、見舞いの報告をする為に番号は貰っている。
『……アクア? どうした?』
 電話に出た隼人は、まだ少し眠そうだ。
「いえ……あれから、貴方の兄はどうなったのかと思いまして」
 パートナー達に埋められてから、風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)がどうなったのか何も聞いていないしファーシーも何も言っていなかった。何となく、忘れられて埋まったままのような気がしたのだ。
『ああ、あれから掘り返して一緒に帰ったから大丈夫だぜ。日常だって言ったろ?』
 だが、返ってきた返事は非常に安心出来るものだった。
「そうですか……」
『何か用があるなら、後で掛けなおさせるけど……』
「い、いえ、いいです。特に用事はありませんから!」
『……?』
 慌てて、アクアは電話を切った。新たなゴーストにでもなられたらたまらないと思ったが――とりあえず生きているなら、それでいいのだ。