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四季の彩り・雪消月~せいんとばれんたいん~

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四季の彩り・雪消月~せいんとばれんたいん~
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リアクション

 間章 パーティーまで、もう少し。

「ん〜、変な所はないですよね〜」
 鏡の前で、神代 明日香(かみしろ・あすか)は服装の最終チェックをしていた。
 2月14日。空京では豪華なパーティーが開かれるということで、いつものメイド服ではなく今日はドレスで着飾って。
 もちろん、メイド服自体も正装ではあるのだが。
 ベアトップのワンピースドレスに、慎みのある体形に合わせて胸元には大き目のコサージュ。おしゃれである。決して、ずり落ち防止などではない。
「よし、完璧ですね〜」
 満足そうに頷いて、最後にアウィケンナの宝笏をガーターベルトに取り付ける。
 普通、パーティーに武器は持ち込まない。にも関わらずこのパーティー、宣伝文の下にわざわざ『楽しい場所なんだから武器とか持ってきちゃダメだぞっ♪』と書いてある。
 これは何か裏があるのでは、と、明日香は武器をこっそり持ち込む事にしたのだ。
 部屋を出ると、そこでは神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)エイム・ブラッドベリー(えいむ・ぶらっどべりー)が待っていた。“バレンタインはチョコレートを食べる日”と認識しているエイムは、ドレス姿で出かける明日香に付いていくと美味しいものが食べられる、と思っているらしい。明日香にもよく解らない理論である。
 ついてくる気満々のエイムに邪魔されないように、と夕菜をパーティーに誘ったのは着替える前。
 今日、明日香が一緒に居たいのは、パーティーでいちゃいちゃしたいのはエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)で。だから、エイムの謎行動に巻き込まれるわけにはいかないのだ。
『夕菜ちゃんは今日暇ですよね? エイムちゃんの事、お願いします〜』
 他意も悪意も無くそう言ったら、『バレンタインですが予定ないです』と、請けてくれて助かった。何か引っかかる返答だった気がしたけど、そんなに大したことでもないだろう。
 パーティー用のドレスを着た夕菜は明日香を見ると笑いかけて、裾をちょっと摘んで外へ誘う。夕菜は、頼まれて嫌と言える性格ではない。エイムの事は頼まれたが、面倒を見切れるかどうかは別である。
 ドレスには気合が入っていた。パーティーであるのならば正装で有るべきだと思っているからだ。
「行きましょう明日香さん。エリザベートさんが待っていますよ」
 そして、彼女達は出発した。