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リアクション
★ ★ ★
「セラ、リア、無事ですか?」
なんとか近くの木にしがみついて難を逃れたルイ・フリードが、パートナーたちの無事を確認した。
「な、なんとか。まったく、誰だよ、こんなとこで戦おうなんて言ったのは」
リア・リムにかかえられてかろうじて宙に浮いていたシュリュズベリィ著・セラエノ断章がルイ・フリードに文句を言った。
「そこ、誰かいるのですか?」
手分けして迷子を捜しに来た一条アリーセが、彼らを見つけて声をかけた。
★ ★ ★
「くそ、これじゃ全員脱出は無理じゃないか」
大量に流れ込んできた雲に辟易しながら、ココ・カンパーニュが叫んだ。アルディミアク・ミトゥナのウィングシールドなど、魔法や飛行能力を持つ者はとりあえずは飛べるが、それではとても空京までは戻れない。なんとかして、ベースキャンプまで戻れればいいのだが。
「へーい、そこの彼女、俺の飛空艇に乗っていかないかーい」
思いもしない声をかけられて、ココ・カンパーニュたちは目を見張った。
中型の飛空艇が、スラスターフレームの上に着地する。その中から、国頭武尊がどや顔でココ・カンパーニュたちに声をかけていた。
地下倉庫にあった古い中型飛空艇を、そのままパクってトンずらしてきたのである。
「乗車賃は、女の子は脱ぎたてのパンツ一枚でいいぜ。男はこのままここで死……」
「いやあ、ありがとう!」
ココ・カンパーニュが国頭武尊に飛びついて、パンツではなく、パンチを支払った。顔面にココ・カンパーニュの拳がクリーンヒットして、国頭武尊が言葉と意識を失う。
「何だって、うんうん、ただで乗せてくれるって。その上、この飛空艇はゴチメイ隊に寄付するって?」
倒れかかるのを捕まえて、ココ・カンパーニュがいかにも国頭武尊と会話している振りをした。
「やあ、太っ腹じゃあないかあ」
バンバンと、ココ・カンパーニュが動かなくなっている国頭武尊を叩く……というよりは殴る。手を放すと、ごとんと国頭武尊が床に転がった。
「ほら、一応、駄賃だけは払ってやる」
そう言うと、ココ・カンパーニュが、チラリとスカートをめくって見せた。だが、すでに気絶している国頭武尊が、それを脳内保存できるわけもない。
「みんな、これに乗れ!」
ココ・カンパーニュの言葉で、他の者が急いで飛空艇に乗り込んだ。
「反対側のスラスターに回りますね」
足許に転がっている国頭武尊の代わりに操縦席に着いたアルディミアク・ミトゥナが言った。
★ ★ ★
「ふう、なんとか脱出できたぜ」
ぼろぼろになった小型飛空艇をなんとか動かしながら、雲海の上に浮上させて雪国ベアが言った。
見れば、雲海の上に、次々に人影が現れる。
「島はどこかしら?」
厚い雲海の雲を見下ろして、『空中庭園』ソラが言った。
「うーん、エンジンは弱くはしたけれど、つけっぱなしで脱出したから、もう遠くに行っちゃったんじゃないでしょうか」
「そんなあ」
再び七不思議に戻ってしまった彷徨える島のことを思って、『空中庭園』ソラはほうっと溜め息をついた。
後日……
『ニュースをお知らせいたします』
完全に元通りになった空京の通信情報網に、シャレード・ムーンのラジオの声が響いた。
『依然、浮遊島は見つかっておらず、当局は危機は完全に去ったものと発表しております。また、今回のサイバーテロは、浮遊島を空京にぶつける大規模な攻撃と連動していたとするむきもありますが、西シャンバラ政府は公式の見解として、たまさか自然災害とテロが重なっただけというものを発表しており、一部の市民から情報の隠蔽ではないかと……』
「結局、エリュシオンだけで手一杯だから、他にも脅威があるとは認めたくなかったんだよね」
「それでいいのでしょうか」
小鳥遊美羽と一緒に空京の通りを歩きながら、コハク・ソーロッドは納得できないという顔だった。
「だって、表に出ない事件とかたーくさんあるもの。敵なんて、無数にいるわよ。だから、いたずらに不安をかきたてたくないんだよ」
言いつつも、納得はしていない小鳥遊美羽ではあった。せっかく、空京を救った英雄としてゴチメイ隊を持ちあげて今までの破壊活動をチャラにしてあげようと思っていたのだが、それもうやむやのうちになかったことにされてしまっている。
「でも、味方はもっとたくさんいるよ。そのうち……」
「そのうち?」
「まあ、いいや」
そう言って、小鳥遊美羽は聞き返してきたコハク・ソーロッドにそっと笑って見せた。
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Last
担当マスターより
▼担当マスター
篠崎砂美
▼マスターコメント
やっと、一区切りつきました。
とりあえず、長々とやっていたジェイドの作戦はこれで終わりです。えっ? 何かいろいろまた出てきているって? 多分気のせいです。多分……。
今回、結構ボリュームが……。本当は休日ガイド前にあげる予定だったのですが、少しずれ込みました。というか、年末進行……。死なない程度に頑張ります。
まあ、今回、本来なら空中戦主体の予定だったんですが、結局地上戦主体になっちゃいました。
とにかく変更が多かったシリーズでもあります。
最終的に、ゴチメイたちはどちらかというと巻き込まれた感が強く、なるべくPC主体にもっていっているため、出番はかなり少なくなっていますね。まあ、どちらかというとこのエピソードはオプシディアンたちのエピソードなので。
ゴチメイ隊が行くはまだ続けるつもりですが、タイトルどうしようかなあ。まあ、番号外すという手もありますが。続くとしたら、アルディミアク・ミトゥナの話になりそうですが、こちらも、いったん作った予定がいろいろあって白紙に戻ったので、どうするかというところですね。
しばらくは、単独エピソードになるかもしれません。
残念ながら彷徨う島はどっか行っちゃいましたが、そのうち、また新たな七不思議が現れることでしょう。
では、そのときまた……。
P.S.キャラ名の入れ違いを修正。