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ゴチメイ隊が行く5 ストライカー・ブレーカー

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ゴチメイ隊が行く5 ストライカー・ブレーカー

リアクション

 

倉庫街

 
 
『ミルディ、今どこにいるんだもん?』
「ええっと、倉庫のたくさんある所だよ。メイドロボの倉庫か工場があるみたいだから、見に行くとこなんだよ」
 突然イシュタン・ルンクァークォン(いしゅたん・るんかーこん)からかかってきた電話に、ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)がのんびりと答えた。
『それよりも、大変なことになってるんだよ。今そっちに行くから、待っててほしいんだもん』
 ミルディア・ディスティンがイシュタン・ルンクァークォンと話し込んでいる間そばで待っていた緋桜 ケイ(ひおう・けい)であったが、こちらにやってくる見慣れた姿を見つけてちょっと小首をかしげた。
「ほう、さすがだな。ちゃんとここを見つけだすとは」
「何だよ、ラジオ局に遊びに行ってたんじゃなかったのか?」
 よくできましたという顔をしている悠久ノ カナタ(とわの・かなた)に、緋桜ケイが言い返す。
「ここに、わらわたちのよく知る者がいるらしいと小耳に挟んだものでな」
 したり顔で、悠久ノカナタが答えた。
「ねえねえ、大変なんだもん」
 そこへ、イシュタン・ルンクァークォンから状況を聞いたミルディア・ディスティンが、血相を変えて説明しだした。
「やってくれたな。まさかこれほどとは……」(V)
 緋桜ケイと悠久ノカナタは、出し抜かれた気がしたのか、苦々しげだ。
「ラジオまで妨害するとは、それ相応の設備があるのではないのか?」
「そこまで電波とかを利用しているんなら……」
 悠久ノカナタの言葉に、緋桜ケイが倉庫街の中央に建っている鉄塔を見あげた。
「新しいランドマークなのかな?」
 夕空にレーザー光を投げている鉄塔を見あげて、ミルディア・ディスティンが言った。
「ランドマークであれば、よい目標となろう」
「なら、ぶっ壊したらすっきりしそうだな。やるしかないか……」(V)
 悠久ノカナタと緋桜ケイが顔を見合わせて互いの意思を確認する。
「入ってみようよ」
 ミルディア・ディスティンが言うまでもなく、三人は倉庫街へと慎重に足を踏み入れていった。
「何かいる。隠れて」
 煌々と明かりのついた一つの倉庫から、小さな影がわらわらと外へ出てくるのを見て、緋桜ケイが女の子たちを後ろに下げた。
「メイドロボと、メカ小ババ様なんだもん」
「なるほど、こんな所で量産しておったとは。先のコンテストも、こ奴らのテストをかねていたのかもしれぬな」
「やるか」
 どのみち戦闘は避けられそうにない。
「ならば、しばし待て」
 悠久ノカナタが、二人から見て陰になる場所へとなぜか身を隠す。
「変身! 刮目せよ! 天に輝く紅蓮の光! 悪を打ち砕く正義の焔! 魔法少女スカーレット★カナタ、ここに見参!」
 物陰から、悠久ノカナタの大声が聞こえてきた。直後に、フリフリの魔法少女の衣装に着替え、大きな花で銀髪をツインテールにまとめた悠久ノカナタが戻ってきた。
「しー、見つかるだろうが!」
 緋桜ケイとミルディア・ディスティンが口に手をあてて静かにと言う。だが、ちょっと遅かった。
「ゴパ? ゴパゴパゴパー!」
 一体のメカ小ババ様が警戒音を発する。それに反応した他のメカ小ババ様やメイドロボたちがわらわらと集まってきた。
「ははははは、見つかってしまったのであればしかたがない。すべて浄化するまでのこと!」
「誰のせいだ、誰の!」
 高笑いする悠久ノカナタを尻目にかけながら、緋桜ケイが天のいかづちを放った。
 
    ★    ★    ★
 
「ここはどこだにゃ……。迷子にゃ……」
 やっとのことでペットのわたげうさぎを捕まえたシス・ブラッドフィールド(しす・ぶらっどふぃーるど)は、倉庫の裏手で途方に暮れていた。
「きっと、舎弟たちも心配してるにゃろうにゃあ〜。お腹もすいたにゃあ」
 ふうっと溜め息をついていると、物陰で何か小さな者が動いた。
「にゃっ!?」
 思わず、本能的に身を伏せて、じりじりとシス・ブラッドフィールドがにじり寄っていく。
「もらったにゃあ!」
 お尻を振ってからばっと勢いよく飛びかかると、渾身の猫パンチの一撃をくらわせる。
 がちゃんと、弾き飛ばされたメカ小ババ様が、倉庫の壁にあたって動かなくなった。
「うにゃあ、こいつだったかにゃ!」
 獲物の正体がメカ小ババ様だと気づくと、シス・ブラッドフィールドはわたげうさぎを噛みつかんで、一目散に逃げだした。また悠久ノカナタに包帯でグルグル巻きにされるのだけはごめんだ。
 直後に、メカ小ババ様が自爆する。
「逃げるにゃあ」
 逃げだすシス・ブラッドフィールドだったが、続々と集まってくるメカ小ババ様たちに、あっけなく追い詰められてしまった。
 メイドロボたちも迫り、前列のメカ小ババ様たちがティザーガンを構えて大きな口を開く。
 まさに絶体絶命と思われた瞬間、メカ小ババ様たちの隊列が乱れた。
「ちー!」
「お、お前たち、来てくれたのかにゃ」
 感動するシス・ブラッドフィールドに対して、メカ小ババ様たちを蹴散らした七匹のデビルゆるスターたちが親指を立ててポーズをとった。
 とはいえ、せっかく行方不明のシス・ブラッドフィールドの後を追って駆けつけてくれたデビルゆるスターたちには悪いが、彼らが来たからと言って状況が一変するはずもない。
 だが……。
 レーザー光が空間を薙いだ。背の高いメイドロボたちが胴を真っ二つにされて爆発する。フランツ・シューベルトのパワードーレーザーの攻撃をかいくぐり、ラルク・クローディスがメカ小ババ様を蹴散らして、デビルゆるスターたちを拾ってシス・ブラッドフィールドの許に集めた。すぐ後ろから、ルミナスジャベリンを前に掲げ持ったパワードスーツ姿のレイチェル・ロートランドが続く。
「今だ!」
 レイチェル・ロートランドが合流したところで、ラルク・クローディスが叫んだ。レイチェル・ロートランドのファイアプロテクトが、ラルク・クローディスたちをつつみ込む。
「あちちやで!」
 大久保泰輔のファイアストームが、シス・ブラッドフィールドたちを中心として周囲へと広がった。讃岐院顕仁が火術で炎をコントロールして、ファイアストームの中心にいる者たちを守る。
「まったく、メカ小ババ様を追ってきたら、自然と人が集まるわ、もうドンパチ始めてやがるわ。目立つし、気が早いってんだよ。――こいつらを頼むぜ」
 シス・ブラッドフィールドたちをレイチェル・ロートランドに預けると、ラルク・クローディスが新たに集まってきた敵にむかっていった。