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リアクション
【11】
その頃、”ワタシ”は崩壊した大神殿の地下にいた。
クルセイダーに介抱され、祥子から受けた傷の手当をしていた。傷は右肩を砕き、脇腹まで臓器を傷付けて伸びていた。
普通の人間なら絶命しているダメージだったが、彼は健在だった。それどころか、血まみれながらも傷は治り始めていた。
その脅威の回復力は、彼の身体に刺青のように刻まれた”救済の聖域”の魔法陣の加護によるものだ。
「クイーン様は無事デスカ……?」
「はっ、空中戦艦で安全な海域まで抜けたとのことです」
クルセイダーが報告した。
「ナンバーゼロの件ですが、脳に撃ち込んだ電極に停止信号を送っていますが、反応はありません」
「力を与えすぎたのが仇となりマシタネ……次は力を抑えて、知恵のあるものを創りマショウ。とは言え、マズはゼロを止めなくては……」
メルキオールは”時の聖堂”に行くよう指示を出した。
「あそこにテンプルムから届いた時空転移装置の試作品がありマス。それでゼロを別の時空に……この都市の戦力でゼロを倒すことは不可能デショウカラ……」
「巨大ロボ……」
天泣は都市の上にそびえ立つグランガクインを見ていた。
「そうか、そうでした……僕は」
天泣の記憶が蘇った。そして置かれている状況もだんだんと把握出来た。
「そうだ、僕には使命が。時空転移装置を破壊しなければ……」
「わーい! お祭り! ……っていつまでもガキのフリなんてしてられっかよぉ!!」
ラヴィは超国家神法被を地面に投げつけた。
「うーん、あれ? なんだっけ……?」
リーリヤは思い出したのか思い出してないのか、曖昧な感じで虚空を見つめた。
普段のことも大して覚えてないので、記憶が戻ったところで大して変わらなかった。
「ラヴィ、あなたも記憶が戻ったのですね。リーリは……よくわかりませんが」
「ああ。行くんだろ、天ちゃん」
「!」
「何だかわかんないけど、リーリちゃんも手伝うね」
3人は第6地区の入口に向かった。
入口では、何やら神官が集まって、教会地区の重要なデータや装置を回収する算段をしている。
ラヴィとリーリは目配せして、彼らに近付いた。
「うわーん! さっき買ってもらった大事な国家神様のグッズが人波に飲まれて無くなっちゃったよ!」
「……子ども?」
「えーんえーん!」
「泣かないで……探してあげるから」
そこにリーリも来た。
「神官さん〜! さっきの混乱でお尻触られちゃった! セクハラから私を守って〜」
そう言って、抱きついて胸を押し付けた。
「……はう! な、なんてことだ! けしからん! まったくもってけしからん!」
神官は彼女の豊満な胸を凝視しながら、セクハラ犯への怒りを露にした。
「わかりました。一緒にその卑劣漢を捕まえにいきましょう」
まんまと2人に連れ出され、神官はいなくなった。
「……よし!」
天泣は第6地区に入った。
その少しあと、アルクラント・ジェニアス(あるくらんと・じぇにあす)とエメリアーヌ・エメラルダ(えめりあーぬ・えめらるだ)がそこに来た。
「警備はいないようだな」
アルクはこめかみに手を当て、テレパシーを送ってきたルカルカに意識を向けた。
「時空転移装置の場所はわかったか?」
『こっちで情報を確認してる。第6地区にあるのは間違いないんだけど……あ、待って。今、ナインポートに避難してきたメルキオールが』
「め、メルキオール?」
『え、えええと……説明がややこしくなるからあとでね。ただ重要情報よ、装置は”時の神殿”にあるみたい』
「……わかった」
2人は第6地区に入った。
「……ねぇアルク」
エメリーは言った。
「どうした?」
「今更ながらに思うんだけど、ここって本当に未来なのかしら?」「?」「違和感があるのよね、誰もここが”未来であること”を疑わないってことに」
「……どうだろうな。まぁ目的を果たせばわかることさ」
「……そうね、ごめんなさい。こんな時に余計なこと……」
「いいよ。それに何があってもこの”お守り”が守ってくれるさ」
それはアルクにとって一番大切なパートナーから貰ったお守り……紅と蒼の護り。
パラミタに来て出会った仲間達と共に作り上げたお守り……アル君人形ストラップと、クレセントアミュレット。
「これらがあって私が未来に……私たちが行くべき場所にたどり着けない道理はない。戦いの役には立たない物ばかり持っていたのにも意味があるはずだ。時空転移装置までたどり着けるよ、きっと。確信できる」
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