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リアクション
【16】
「先ほどのようには行きません……!」
グランガクインは再びナンバーゼロの前に立った。
メインパイロットはアルマだ。
ゼロの吐き出すメギドファイアを、出力全開のPTAフィールドで耐える。
「フィールド限界まであと20秒!」
「ぐ、くぅ……!!」
「フィールド限界まであと10!」
リオは唇を噛んだ。
「アルマくん、頑張れ……!」
そう言って、自分のコクピットに触れたその時、モニターに座席表が表示された。自分とそしてアルマのコクピットのところが青く点滅し”魂結(たまむすび)”の文字が現れた。
「な、なんだこれ……?」
リオのコクピットがアクティブ状態になり、グランガクインの操作が可能になった。
「復座システム……? 同時になんて……そんなことが可能なの?」
「システム的には不可能なはずだ」
雅香とダリルは戸惑った。
「それは”これまで”の話だ」
大文字博士は言う。
「人と機械だけではない。人と人をも”結ぶ”技。これこそがタマムスビドライブの最大発動。ばらばらだった魂がひとつの目標に向かってひとつになる時、魂の力はその真価を発揮する。グランガクインは”絶対最強”となるのだ!!」
「……勇作さんらしいわ」
雅香は微笑む。
雅香にはわかった。このシステムで何を博士が成そうとしているのか。今はここに数えるほどのパイロットしかいない。けどもし、ここに全天学生がいたとしたら。学校が一丸となって動かす魂のイコン。それはきっととてつもない力を生み出すだろう。
「こうなったら2人も3人もまとめて面倒みてあげるわ。バックアップはお姉さんに任せて思う存分やっちゃいなさい! 三十路パワーをナメんじゃないわよっ!!」
『了解っ!!』
リオとアルマは真っ直ぐにナンバーゼロを見据えた。
「誰かを守る想いがある限り、私のフィールドは絶対に! 無敵です!」
アルマの瞳に炎が宿る。
「未来へボク達を送り出した大文字博士、諦めずにグランガクインを整備し続けてきたこの世界の大文字博士、海京を取り戻す為に協力してくれた特務隊やレジスタンスの皆……今ここにいる皆だけじゃない……過去から、未来から、沢山の想いを託されて、グランガクインは戦ってるんだ! その想いはお前なんかに負けないっ!!」
リオの目に炎が宿る。
『PTAフィールド、反転!! PTAジェイルハウス!!』
フィールドを反転させ、自分を守る壁ではなく、敵を囲む壁を創り出した。
「グガアァッ!!」
壁で跳ね返った熱線が、自身の身体を焼いた。
「熱烈な歓迎のお返しをさせてもらおう!!」
ここで、レンがコクピットが<魂結>された。
アルマ、リオ、そしてグランガクイン、他の誰かの魂が流れ込んできて、レンは胸の奥がカッと熱くなるのを感じた。
サングラスの奥の瞳は、メラメラと熱く激しく炎が燃えている。
「今度の一撃はひと味違うぞ、ナンバーゼロ! 必殺のォ! ミサイルフィンガー!!!」
フィールドの檻の中に指先だけを突っ込み、ミサイルフィンガーを発射した。
檻の中で無数の大爆発が起こった。
「この魂の力……次に繋げる!!」
「……来たか」
煉のコクピットに<魂結>の表示。
彼は軽く息を吸い込み深呼吸。そして開いた目には溢れんばかりの炎が宿った。
「ガァァクインブゥゥゥスタァァァァッ!!!」
全身全霊。腹の底から、喉が裂けるほどに声を上げて、煉は叫んだ。
マイクがダメになりそうなほどの声量に、司令部のみんなも思わず耳を塞いだ。
「うおおおおおおおおおおおおっ!!」
流出する機晶タキオンエネルギーをオーラの如く纏い、グランガクインは飛んだ。全長200メートルの巨体で、風のように舞い上がった。
「グラァァァンッブレェェェドゥッ!!」
テンガクハートから引き抜いたグランブレードを天に向かって振り上げる。
「必ィ殺ッッ!! ガクイン十文字斬りィィ!!!」
落下とともに縦に一閃、着地とともに横に一閃。
「斬ッッ!!」
ゼロの首の付け根と、切断された尻尾から紫の煙が噴き出た。
(……ふう、意外と悪くはないなこんなノリも……)
煉は小さく笑った。
「……ようやく回ってきたぜ、ミュウ!」
「姫やん、アレをやるぜ!」
続いて、ミュウと和希のコクピットが<魂結>された。
雪崩れ込む魂の本流に触発され、2人の瞳から炎が勢いよく噴き上がった。
「ひとついいことを教えてやるぜ、ナンバーゼロ。人間ってのは、大好きな人と一緒にいる時こそ最高に輝けるんだ。姫やんと一緒なら、私は何だってできる!」
ミュウはそう言って和希を見た。
和希は微笑む。
「そうだ。奇跡は俺たちが起こしてやる! 不可能も可能にするのが俺たちの絆だぜ!」
「お前に振り回される未来なんてつまんねぇ!」
「未来は俺たちの手で掴み取ってやる!」
『ガァァァクインッビィィィィーーームッ!!!』
胸に光るテンガクハートが凄まじい光を放った。超絶収束された機晶タキオンエネルギーがビームとなって敵を滅ぼす。
直撃とともに大爆発、ゼロは閃光に包まれた。ビームはゼロの左半身……左の頭から腕にかけてをごっそりビームで吹き飛ばされた。
「グガゴ……グガァ……グガアアァァッッ!!」
ゼロからこぼれる唸り声は、怒りと憎しみに彩られていた。
残った二つの頭は、グランガクインに向けて大口を開けた。血のように真っ赤な灼熱の光が収束を始めた。
だがその前にジェファルコン特務仕様が現れた。
「ついにこのスイッチを押すときが来たようだね」
生駒は楽しそうにスイッチを押した。
他のイコンについてるスイッチはパーティーグッズ的おもしろ装置だが、この機体のスイッチは正真正銘の”自爆装置”だ。
『自爆カウントダウン。10、9、8……』
「さよなら、ワタシのジェファルコン」
そう言って、生駒はコクピットから脱出した。
「……やれやれ結局自爆か」
ジョージは首を振った。
「しかし役に立つ自爆なら悪くない。生駒も成長したものじゃ」
娘の成長を喜ぶパパの目で彼は言うと、座席ベルトに手をかけた。
「……ん?」
ガチャガチャとベルトを引っぱる。
「べ、ベルトが取れんだと!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
ジェファルコン特務仕様は爆発した。
威力は核を破壊するには至らなかったものの、一瞬その動きを止めることには成功した。
「動きが止まった……今だ!!」
魂剛は、神武刀・布都御魂を超大型剣状態に。
そして垂直に急降下。超高速、超重量、極大威力……一撃にかける一撃だ。
「我は世界の剣! 明日へ向かう人々の想いの一撃、その身に受けろ!」
秘奥技”剣の理”。
流星の如く繰り出された布都御魂は、ゼロの頭を貫いて、そのまま顎まで串刺しにした。
「グッ……ガフ……グゲェ……!」
空気の抜けた風船のように紫の煙が噴き出した。
これで残すところ”核”はあとひとつ。
「覚悟しやがれ、ナンバーゼロ!」
そして、桂輔とフェルのコクピットが<魂結>された。
これで8人、それぞれの放つ魂の力が、それぞれに注ぎ込まれ、更に魂を大きく燃やす。
2人の瞳から、真っ赤な炎が噴き出した。
「例え、お前の力がどれだけ強力だろうと人間の持つ闘志は無限大だ!」
桂輔は言った。
「血の通った心だからこそ、皆の熱い想いが結ばれる……それが熱血! それがタマムスビドライブ!!」
フェルは言った。
『だから!!』
グランガクインの目からも激しく炎が立ち上った。
「先生の作ったグランガクインは……!」
「ワタシ達のグランガクインは……!」
『絶対最強なんだぁぁぁっっ!!』
グランブレードを上段に構え、最大出力のスラスターで斬り掛かる!
「ガクインッッ!」「ファイナルッッ!」『フィニィィーーーッシュッ!!!』
十字に走った剣の軌跡が、ゼロの最後の頭に刻まれた!
「グゴ……ガ……ギ……グガアアァァァァァッッ!!!!」
全ての核を失ったナンバーゼロは大爆発を起こし、紫の煙になって消滅した。
桂輔とフェルは顔を見合わせる。
それからパイロット仲間、司令部の仲間とも、そして声を合わせて勝どきを上げた。
『絶対最強っ! グラァァァンガクッインッ!!』
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