リアクション
● 「あれはっ!?」 ドオオオオォォォォォォォォォォォォンッ! 主砲から放たれた巨大なビーム砲が、天空城を直撃した。 それを甲板で見ていたのはグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)とフリューネ・ロスヴァイセだった。 だが、彼女たちだけではない。甲板にはもう一人の人物がいた。 「ブラスターキャノンか……っ!」 目を見開いていたのは、ドクター・ハデスだった。 なんと彼はワープに巻き込まれ、飛空艇と一緒に天空城までついてきてしまったのだ。 それを結界で甲板に閉じ込めたのが、グロリアーナとフリューネだ。 三人は結界の中で戦いを繰り広げている最中に、その光景を目の当たりにしたのであった。 更に言えば、ハデスにとってはもっと驚くべきことが起こっていた。 ドゴォッ! ドゴォッ! 「なんと……っ! あの主砲を受けても、まだ墜ちんというのか!?」 ハデスは以前、ブラスターキャノンによって退けられた過去がある。 インテンス・ディザスターが誇る主砲の威力は身を持って知っていた。 「それだけ、敵は強大ということだ」 グロリアーナが天空城を見つめながら言った。 「それでもまだ、キミは戦う気なの?」 たずねたのは、フリューネだ。 「…………」 ハデスは攻撃の手を止めて、なにか考えこむような目で天空城を見つめた。 「そなたの力はわらわたちも認めているつもりだ」 「今だけでいいわ……力を貸してくれない?」 「俺が、力を貸すだと?」 ハデスは眉をひそめた。 「ええ、そう……。この機晶石、知ってる?」 「融合機晶石か……」 「ワープの直前、リネンに渡されたの。『ベルネッサを頼む』って」 「…………」 「このままじゃその約束も果たせなくなる。それに、この地上だってどうなるか……」 目を俯けたフリューネを見て、ハデスはそもそもの発端を思いだしていた。 「無転砲か……」 地上だけではなく地球すら吹き飛ばそうとする最悪の機晶兵器。 「そんなものを使われては、もはや悪の科学者どころではなくなるな……」 「ハデス……」 グロリアーナがつぶやくと、彼は彼女たちに振り向いた。 「悪だ! 奴らはまさしくな! そして俺も悪! 悪の秘密結社オリュンポスの幹部、天才科学者ドクター・ハデスだ! しかし! 悪は支配してこそ悪と呼べる! 全てを破壊してしまおうなどとは……そんなものは悪でもなんでもないっ!」 「ハデスさん……」 「今回限りだがな! この悪の天才科学者ドクター・ハデスが、お前たちの味方をしてやろう! ありがたく思え! フハハハハハハハハハハハハハッ!」 「ああ、ああ、存分にありがたく思ってやるとも」 グロリアーナは微笑しながら言った。 「この俺がついていれば、もはや勝ったも同然だ! さあ、いくぞ! 機関室に案内しろ! フハハハハッ!」 高笑いしながら、ハデスは艦内へのドアをくぐっていく。 「お、おいっ、ちょっと待て! そなたは先に行っても分からんだろ! ……まったく……」 「ちょっと変だけど、……でも、良かったじゃない。心強い仲間が出来たわね」 フリューネがくすくすと笑って言う。 「…………変のほうが度合いは強いがな」 グロリアーナは複雑そうな顔をしてから言って、そして後ろを振り返った。 すでにベルネッサやイブたちの姿は天空城へと消えている。 (信じているぞ……ベルネッサ・ローザフレック) グロリアーナはそう心の中でつぶやいて、フリューネとともに艦内へと戻った。 |
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