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リアクション
第4章
洞窟組が外へ出ると、そこは――戦場だった。
暑い日差しの中、土煙が上がり、草原チームも蛮族もオオカミも入り乱れている状態が目の前に広がっている。
「死にたくなかったら早く逃げて下さいねぇ」
そう言い高潮 津波(たかしお・つなみ)が蛮族をホーリーメイスでぶん殴っている姿や、ナトレア・アトレア(なとれあ・あとれあ)がカルスノウトでオオカミを切りつけていたり、カタリーナがまだ戦意喪失していない相手をホーリーメイスで気絶させたりするのが見える。
「さってとぉ〜。どの子にしようかしらぁ〜。ぅんふふふ〜」
戦いの中にあっても楽しそうにオオカミを物色している伊月。
自分に襲いかかって来る蛮族はダガーで足元を狙い動きを止めている。
動きを止めてから蛮族の服を使って縛っている。
「まさかこんな所で服網作製の経験が役に立つなんてねぇ〜」
縛り上げているその瞬間を狙い後からオオカミが口を開け襲いかかる。
伊月が気が付き振り返ると同時に銃の音と大腿部を打ち抜かれたオオカミが地面に転がる。
「大丈夫か? 強い敵ではないとはいえ、あまり油断するなよ」
クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)が銃を持ち、そこに居た。
「あらぁ〜。有難う〜。でも、この子……わざと後ろを見せて近づかせていたのよ〜。ペットにしようと思っていたのに、どうしてくれようかしら……ぅんふふふ〜?」
伊月の手に持っているのは首輪。
「い、いやそれは悪かった……では私はこれで――」
嫌な予感がして早々に立ち去ろうとする。
「逃がさないわよ〜。クレアちゃん、代わりに私のペットになりなさい〜」
首輪を繋いでいる紐を鞭のように操り意地悪な笑みを浮かべる。
「謹んで辞退させていただく!」
クレアは猛ダッシュで伊月の元を去る。
「ざんね〜ん」
「馬鹿も休み休み言うのです」
心底残念そうにしながらダガーをふるいオオカミを退治していく伊月の横で、関わらないようにしていたエレノアが蛮族をホーリーメイスでぶったたき口を挟んで来たのだった。
洞窟チームは疲労困憊で戦う事はほとんど出来ない者たちばかり。
特にアイスタイガーに乗っかられてしまった葉月はかなりの重症になっている。
座っているのがやっとの状態。
その様子に気が付いたエレノアが伊月を見る。
オオカミが疎らに近づいているだけで、蛮族もいないし、手こずっているようにも見えない。
エレノアは大丈夫なのを確認してから葉月へと向かう。
「どうやってそんな大怪我したのですか? はづ吉は大間抜けなのです。治して欲しいならワンと鳴くが良いです」
「ちょっと! 葉月はワタシのものなんだから! そんな変な事させないでよね!」
ミーナが涙をいっぱいに溜めてエレノアの言葉に食ってかかる。
「はぁ……しょうがないのです」
エレノアはヒールを唱える。
呪文がかかると葉月の顔色が良くなっていく。
「助かりました。もう大丈夫です」
顔色の良くなった葉月がエレノアにお礼を言う。
「ミーナにも、心配かけましたね」
ふるふると頭を振り、笑顔を返す。
「葉月を助けてくれて有難う……でも、葉月に接近するような事があれば駆除しちゃうんだから」
赤面しつつエレノアへと言葉を投げる。
やれやれと言ったていで他にも回復が必要ないか見て回るエレノアだった。
そこから少し離れたところではオオカミや蛮族を避けながら何かをしているヴォイドの姿が見えた。
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