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リアクション
樹はパラミタオオカミをランスで切りつけようとしているが、オオカミの素早さに付いていけずあちこちに怪我をしている。
きはるは後方からスプレーショットや銃の攻撃で援護をしてくれている。
「ああ〜もう! 面倒だ!!」
そう言うと樹はランスを放り投げ、拳を固める。
さっきまでの動きとは全然違い、スピード負けしていない。
オオカミを蹴り飛ばし、近くに居るオオカミや蛮族に当てて倒していく。
「樹さんやりますねぇ」
きはるは、その様子を楽しそうに見ながら、自分の射程距離に入って来る蛮族を確実に仕留めていく。
「僕の美しいフラメンコを見ながら倒されるなんて最高だね」
隣では赤いバラの絵が描いてある黒いフラメンコドレスを着て戦うリアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)の姿が見える。
「お見事ですリアトリス」
「有難うー! でもこのドレスは恥ずかしいかも」
「あはは。良く似合ってますよ〜」
注意を惹く役目も見事にこなしている為、パートナーのパルマローザ・ローレンス(ぱるまろーざ・ろーれんす)が火術と雷術を確実に当てられるようにしている。
複数の敵をこのコンビネーションでいくつも潰していた。
しばらくすると様子が変わってくる。
「くっ……」
素手での戦闘をしていた樹が脂汗を額に浮かべる。
動きも鈍くなっているのが一目瞭然だ。
オオカミ達のかっこうの的となっている。
蹴り飛ばした時に、足にオオカミの牙に当たってしまい猛毒に侵されてしまったのだ。
きはるが援護を出しているからなんとか倒れずにいられるが、いつまで持つか解らない状態となっている。
「今行きますぅ! もう少し頑張って下さいぃ」
きはるの後ろから駆け出し、樹の側へと向かっていったのはメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)だった。
付きそうようにセシリア・ライト(せしりあ・らいと)がメイベルの護衛をしている。
セシリアが光条兵器のモーニングスターを取り出し、オオカミをばったばったと殴り飛ばしている。
オオカミの輪を崩して樹までの道ができた。
メイベルが樹の側へと行くとほとんど意識の無い状態で戦っていたのが解っる。
目がうつろになり、焦点があっていない。
猛毒に侵されながらも、動き回って戦っていたのだから毒の回りが早くなっても当然だろう。
安心したのか、メイベルの腕の中へと落ちる。
「しっかりして下さいですぅ! 今助けますからぁ!」
早口で呪文を唱え、キュアポイゾンをかける。
「守るべき人を今守れず、いつ守る!」
セシリア自身が気合いを入れるように叫ぶ。
頭上でモーニングスターをぶん回し、威力を増してからオオカミに当てていく。
当たったオオカミは吹っ飛ばされ、近くの蛮族やオオカミにぶつかる。
「僕も手伝うよ!」
ド派手なフラメンコドレスが背後で揺らめく。
オオカミ達の輪の外からは火術で援護するパルマローザと、銃でパルマローザと自分を守りながら援護してくれているきはるがいる。
しかし、倒しても倒しても湧いて出てくるオオカミ達。
ここが狙い所と思われてしまったのだろう。
セシリアとリアトリスの目が少し離れた隙を見逃さず、オオカミが弱った樹目がけて襲いかかる。
刹那――きはる達とは違う場所からの狙撃。
襲いかかろうとしていたオオカミは物言わぬ屍と化している。
「自分も加勢するであります!」
比島 真紀(ひしま・まき)からの援護だった。
「俺も手助けするよ!」
サイモン・アームストロング(さいもん・あーむすとろんぐ)から出た氷術の魔法が3体のオオカミを直撃する。
畳みかけるように真紀がオオカミへと連射していく。
サイモンも固まっている場所を目がけて火術を放つ。
まだオオカミは多いものの、これなら負ける気がしない。
「あり、がとう……」
樹がメイベルを見つめる。
もう、毒は抜けているのだが、怪我も多数あり、今はヒールをかけている最中だ。
「もう少しですぅ。頑張って下さいですぅ」
「ええ……」
励ましつつヒールの手は決して緩めない。
オオカミ達が集まって戦うのが見えたのが、15人ほどの蛮族達もこの輪に近寄って来る。
形成が逆転した。
あきらかに蛮族達が多い。
「もう……大丈夫です。私も戦います」
「まだ回復しきれてないですよぅ」
立ち上がろうとする樹を一所懸命に押さえつける。
まだ力の入らない樹はメイベルを振りほどけなくて、悔しそうな表情を作る。
「私も助太刀します〜」
近くで戦っていた御影 月奈(みかげ・るな)は光条兵器の星天の扇を手に持ち、舞いながら寄って来ている蛮族へと切りつける。
「ここまでオオカミが集まっていると血の匂いを隠すために埋めても意味がありませんね」
ルシアン・メネルマキル(るしあん・めねるまきる)は月奈の隣でホーリーメイスをふるい、蛮族を殴り倒している。
「仕方ない、オレも手を貸そう」
自分が戦っていた場所の蛮族をあらかた倒していたルドルフが、銃で容赦なく蛮族とオオカミの命を奪う。
ここまで味方が揃い、やっと蛮族やオオカミの数が減っていく。
「ここまでくれば、もう少しだね〜」
「月奈殿。まだ、油断は禁物であります!」
「うん、了解」
真紀が気を引き締める。
だが、もう本当にもう少し。
「ふんふんふ〜ん」
戦闘に加わらなくても大丈夫だと判断した関口 文乃(せきぐち・ふみの)は大量に転がっているオオカミの元へと腰をおろし、皮を剥いでいた。
文乃を見た蛮族は戦意喪失し、逃げ出す者もいる。
片はついたのだ。
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