First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
Next Last
リアクション
【ベアマナペア】
「次〜24番【ベアマナペア】さん〜。スタートだぜオラっ!」
蛮族に呼ばれて立ち上がる2人組。
「よっしゃ行くぜー!」
ベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)が脇目もふらず突き進む。
「ちょっと! 私を置いていかないでよ! 馬鹿ベアー!」
マナ・ファクトリ(まな・ふぁくとり)がその後を急いで追いかけ、このペアのスタートとなった。
■第1問目■
「マナ知ってるか!? 左手をこう付いて進むと出口まで辿り着けるようになってるんだぜ! じいちゃんから教わった奥義なんだぜ? すげーよな! じいちゃん最高だぜ!」
ベアは吸血コウモリに頭に吸いつかれながら奥義(?)を早速実践する。
「それ奥義って言わないから! その前にそのコウモリなんとかしてから動きなさいよ! って、問題無視すんなぁ!!」
急いでベアの側へと寄り、マナが頭のコウモリを追い払う。
「本当に問題見る前に扉開けるなぁ!」
『なんだか漫才見てるみたいどすなぁ〜。楽しいわぁ〜』
『本当ですね』
開耶がにこにこ笑いながら実況をする。
「ほら、ちゃんと正解の扉だったぜ? やっぱ、じいちゃんすげー!」
目をキラキラ輝かせ、マナを見る。
「今回はたまたま正解だっただけでしょ! 次はちゃんと問題を見なきゃダメだからねっ!」
■第2問目■
「この部屋も問題ないぜ! 左手を信じて突き進むのみだ!」
「……はっ! オレ仕事だった」
あまりにも凄いことをしているベアに元追い剥ぎはフリーズしていたが、我に返るとベアへと棍棒を振り下ろす。
「ちょっとは真面目に問題を見ろ! 馬鹿ベア!」
そう叫びながらベアに襲いかかろうとしている蛮族にホーリーメイスを一撃お見舞いする。
食らった蛮族は見事にノックアウトしていた。
「うんうん。やはり左手の法則は正しいぜ」
マナが攻撃をしている間に扉を開けていた。
「だから問題を読めって言ってるでしょぉぉ!」
頭にチョップを落とす。
が、気にもせず扉をくぐっていくのだった。
■第3問目■
「このオオカミは猛毒があるのよね……気をつけて対処しないと……って、それも無視なのぉ!?」
眼中に入っていないのかガンガン扉の前へと突き進む。
運よく、前の人達が攻撃をして弱っているのを交代させていないらしくこちらを攻撃してくる様子を見せない。
「ほお! こんな問題が書かれていたのか!」
「あっ、やっと問題読む気になってくれたのね! この問題の解き方は――」
「ま、自分には関係ないがな! この左手さえあれば十分だぜ!」
「聞けぇぇ!!」
ベアは、なんの疑いもなく左の扉を開ける。
マナも慌ててその後ろに付いていく。
『見事にお仕置き部屋へ直行どすなぁ〜』
苦笑いで実況をする開耶だった。
■ムチョマッチョコース■
扉を開けるとそこは……むさくるしさ満点の部屋だった。
「この部屋はなんだ!? ムチョマッチョコース!?」
部屋にかかっている垂れ幕には確かにそう書いてある。
「ちゃんと人の話を聞きなさいよね! 馬鹿! 馬鹿ベ……ア……。もしかしてお仕置き部屋?」
目の前に広がるのはワセリンでテカテカしている筋肉美を見せつけ褌を着用しているマッチョ達。
蛮族の中で筋肉ムキムキの奴らを集めたようだ。
「ようこそ! この世の桃源郷へ! さあ、泣き喚いてボクに美しい旋律を聞かせるが良い!」
2人が見上げるとそこにはガラス越しにこちらを覗いている円とオリヴィアの姿があった。
その不意を突かれ、マッチョ達がベアとマナに迫る。
「筋肉〜元気ですか〜? はっは〜!!」
訳のわからない事を言い抱きついて来た。
「ぎゃー! 自分にそんな趣味はないぜー!」
「ベアのばかー!!」
叫び声が部屋の中いっぱいに広がる。
「美しくないのよぅ〜。ファクトリは可愛いけど……これは嫌なのよぅ〜」
楽しげに観察している円の横でオリヴィアが涙目になっている。
「も、もう嫌……」
げんなりとした様子の2人を迎え入れたのはマイクロビキニを着たテッカだ。
「まだまだお楽しみはここからですな」
そう、部屋の奥にはまだ部屋が用意されている。
今度はビキニパンツを穿いた爽やかな表情のマッチョ達がベアとマナを担ぎあげ、奥の部屋へと強制連行する。
あっと言う間にベッドに縛り付けられた。
「バナナと筋肉足りてますか〜?」
またも意味不明な言葉を吐き、マッチョ達が行動に移る。
2人の靴を脱がせ、『サルでも出来る足裏マッサージ』の本を見ているテッカの指示に従い、ツボらしき場所を刺激していく。
声にならない声がスピーカーから流れ、スクリーンには阿鼻叫喚のベアマナペアの様子が映し出されていたのだった。
【ダンジョンクルセイダーズ】
「30番のダンジョンぐるセイバーズのチームの皆さんは用意しろや!」
「“ぐる”じゃないのですぅ〜」
呼ばれて直ぐに抗議をしたのは御影 春菜(みかげ・はるな)だった。
「そうよ! ちゃんと言いなおしてよね!」
「まあまあ落ち着きなよ」
食ってかかろうとする御影 春華(みかげ・はるか)をミーミル・エリシア(みーみる・えりしあ)が宥める。
「早く言い直さないと……うふふふですぅ」
ブラックな笑みを浮かべ春菜が蛮族に詰め寄る。
「……ダンジョン……クル……セイダーズの皆さん、宜しくお願い申し上げまする……」
恐怖で語尾が変になりつつも、なんとか言い直す。
「それで良いのですぅ〜」
満足した春菜が入口の扉をくぐる。
その後ろをミーミル、春華、御影 月奈(みかげ・るな)、ルシアン・メネルマキル(るしあん・めねるまきる)と続いた。
■第1問目、第2問目■
何事もなく無事にクリア。
蛮族からは春華が解毒剤を奪っている。
■第3問目■
「こいつは牙に猛毒があって危険だからね」
「はい!」
春華が前線に出ているルシアンに注意を促す。
「え〜と……ここに入る数字が……」
月奈は現在、必死に計算式を書いているところだ。
付かず離れず距離を置きながら、ルシアンが攻撃を仕掛けていく。
慎重に狙いを定め、ミーミルが火術を放つタイミングを計る。
コウモリ程ではないにしても素早く動くので、なかなか難しい。
「フレーフレーですぅ〜」
春菜はミーミルの横で傍観者を決め込んでいる。
ルシアンが飛び付きながらの牙攻撃をかわす。
が、微かに右腕を牙が掠る。
「ちゃんと当たるんだよ!」
ミーミルはオオカミが着地したところへと火術を放つ。
次の瞬間にはパラミタオオカミの丸焼きが良い匂いをさせていた。
春華は急いでルシアンの側へと近寄る。
懐から解毒剤を渡し、飲ませる。
「有難うございます」
「当然だよ!」
『この連携は流石3姉妹のパートナー同士と言うところどすやろか』
『柚子ちゃん、あの丸焼きは美味しいんどすかぁ〜? 私、パラミタオオカミの丸焼きって食べた事おまへんわぁ〜』
『私もありまへんわぁ。その辺どうなんでしょう? タノベはん』
『そうですね。ワタクシもありませんから……今度、商品化出来ないか検討してみる事にします』
『楽しみにしとりますぅ〜』
スピーカーから流れてきた、このやり取りに観客はくすくす笑っていたのだった。
「問題解けましたよ〜! E=−9になるから答えは右です」
計算ミスもなく答えを出し、正解の扉へと足を運んだ。
■第4問目■
「お嬢ちゃん達、可愛がってあげるよ〜。ぐふっ、ぐふっ、ぐふふふふ……ヒャッハー」
部屋にはなんだか気持ち悪い蛮族が1人とコウモリが2体。
コウモリ達は疲れているのか、天井で逆さに休んでいる。
姉妹達を見て、なんの妄想をしているのか怪しい笑いを浮かべている。
口からはだらしなく涎も垂れている。
悪寒が一同の背中に走る。
「なんでこんな奴がいるんですかぁ〜?」
「る、月奈様。頑張りましょう」
涙を目に浮かべ、月奈とルシアンが前線へと出る。
扇型の光条兵器で舞いながら蛮族を切りつける。
少し怯んだところへルシアンがホーリーメイスを叩きこむ。
「ぐぼおぅ! ぐへ……ぐへへへ……ヒャッハー」
恍惚の表情をしている蛮族にミーミルが火術を当てる。
そこへ、春華がランスの柄を使い後頭部を殴り気絶をさせた。
「ぐへぅ……」
「お仕置きが必要ですぅ〜」
もう動かない蛮族の元へと春菜が近づく。
ブラック笑顔が満開。
仰向けに倒れている蛮族の足元へと行き、春菜が高々と上げた足を振り下ろす――。
巨大スクリーンには危険を察知したタノベが慌てて実況解説席の映像だけを映すように操作する。
スクリーンを見ていた男性達は口をあんぐり開け、股間を押さえながらフリーズしている。
中には涙を流す者、痛がっている者も居たようだ。
断末魔の叫び声と直前の映像だけで容易にこの先起こる事が予想出来てしまったのだろう。
『い、イベントにはハプニングが付きものどす』
『これも含めて楽しんどくれやすぅ〜』
柚子は心なしか引きつった笑顔で、開耶も頑張って作った笑顔で状況をまとめた。
問題は春華が楽々答えを出し、正解へと進んだのだった。
■最終問題■
「……おめぇら……今の叫び声は一体……」
「めっ! ってやっただけですぅ〜」
長が恐る恐る聞くと春菜が黒いものを湛えた目の笑顔で返事をする。
「男性って大変ですぅ〜。急所が解りやすいのですぅ〜」
「はうっ!?」
変な声を出して、股間を両手で押さえると自らお仕置き部屋へと隠れてしまった。
こうして問題も解く事なくこの部屋をあとにした。
『これは……仕方ないですね』
1人頷き納得しているタノベがそこに居た。
■ラスボスの部屋■
「あら? あれで終わりなはずでは――兄さま!!」
月奈が壁に貼りついたままとなっているウィングを発見し、側へ駆け寄る。
壁から剥がすとまだグッタリとしている。
ついでにファティも助けてやる。
「これは……チャンスです! 兄さまはいつも逃げるから、こうして〜」
自分の上着を脱ぐとウィングを、その服で縛った。
「このダンジョン最高です〜!」
足取りも軽やかにウィングを引きずって出口の扉を開けたのだった。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
Next Last