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【借金返済への道】手作りダンジョンを攻略せよ!

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【借金返済への道】手作りダンジョンを攻略せよ!

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【ダイスで隠れ身チーム】
「次は〜74番の【ダイスで隠れ身チーム】の皆さ〜ん、出番でがんす〜」
「やっとボク達の順番だね!」
 元気よく立ちあがったのは、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)だ。
「待ちくたびれた」
 ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)そう言い、いそいそとゼッケンと付ける。
 ゼッケンには【戦士:LV12(ソニブレ有):タノベD】と書かれていた。
「ジュレ、MMORPGのやりすぎだよ」
「面白い奴だな」
 一緒に行く事になったアイギス・グリッド(あいぎす・ぐりっど)が真顔でまじまじとゼッケンを見つめる。
「アイギス・グリッドも付けるか?」
「いや、有り難いが俺は遠慮しておく」
 丁重に断りを入れる。

■第1問目、第2問目■
 特に苦労もなく進んでいった。

『だ〜か〜ら〜、面白くないんどすぅ〜』
『だからって踊ったりしまへんえ』

■第3問目■
「ねぇ、ところでアイギス君はどこの学校なの?」
 カレンはパラミタオオカミの攻撃をかわしながら質問をする。
「む? 制服を見て解る通りシャンバラ教導団だ」
 隠れ身を使い、オオカミの死角からダガーを投げつけ、命中させつつ答える。
「あははは。そっか」
「馬鹿だな……」
 ぽそりとジュレールが呟く。
「よし、片付いたしダイスを振ってどっちに進むか決めなくちゃね」
 手作りの紙製ダイスを振る。
 4が出る。
「偶数だから右の扉だね」
「了解だ」
 こうして正解への扉を開いた。

■第4問目■
 ここも問題なく進む。
 扉をくぐる前にアイギスが隠れ身を使う。

■最終問題■
「ヒャッハーヒャッハーヒャハヒャッハー!」
 長がコマネチで自分に気合を注入する。
「おや? このチームは女の子2人だけのチームか、しかも見た事のある面だな! 楽勝じゃねぇ……か……」
 突然、どこからともなく飛んできたダガーの柄が長の急所へとクリーンヒットする。
 言葉になっていない言葉を発しながらのた打ち回っている。
「ふふん! ボク達だけじゃないんだから」
 そんな長にカレンが楽しそうに笑いかける。
「もう決着が付いたみたいだ」
 ジュレールがどこかに居るはずのアイギスへと話しかける。
「早かったな」
「あとはダイスで方向を決めるだけだね」
 ダイスが示したのは2だった。
「じゃあ右だね」
 カレンとアイギスが扉に入っていく。
「ここの問題は商い益々繁盛……よって、商いが繁盛して欲しいと願うのは、客のいない店だろう」
 と、呟きジュレールのみ左の扉を開いた。

「あれ? ジュレ?」
 出口を出てからジュレールがいない事に気が付くカレンだった。

■女王様コース■
「あらあら可愛いお客さん」
 虫を大量にかぶったジュレールにエレクトリックが笑いかける。
「本当だわ、たっぷり可愛がって、あ・げ・る」
「や、やめろ!」
 普段表情のあまりない彼女の顔には恐怖が滲んでいる。
 女王達の餌食がまた1人増えた瞬間だった。


【情け無用】
「え〜、最後の100番【情け無用】チームの皆さ〜ん、どうぞでがんす〜」
「簀巻きにするぞ〜! ファイッ!」
「オー!!」
 良く解らない掛け声で気合いを入れたのは、イレブン・オーヴィル(いれぶん・おーう゛ぃる)ルカルカ・ルー(るかるか・るー)シャーロット・マウザー(しゃーろっと・まうざー)宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)レイディス・アルフェイン(れいでぃす・あるふぇいん)セオボルト・フィッツジェラルド(せおぼると・ふぃっつじぇらるど)だ。

『なんだか物騒な掛け声どすなぁ』
『そうどすなぁ〜、良からぬ事を考えて無ければよろしゅうおすなぁ』

 話は少し戻り、このチームが受付をする前のこと。
「学生を拷問しようとする悪徳商人がいると聞いた。しかも第2問をわざと解けないようにして全員仕置こうとしている! このような者は鏖殺寺院の手先に違いない!」
 と、イレブンが大演説してチームが完成したのだ。
 真紀等が警戒をするのも無理はない。

■第1問目■
 モンスターは放っておいても問題はないと判断され、放置された。
 6人とも唾をゴクリと飲み込む。
「私が先に様子を見てこよう。何大丈夫さ、危なくなったらすぐに戻る」
 イレブンが右の扉へ手を掛ける。
「そんな! リーダーのあんたがそんな事する必要ないだろ! 俺達に命令すれば良いじゃないか!!」
 レイディスが必死に止める。
「ふっ……リーダーだからじゃないか」
「リーダぁー!!」
 5人が同時に叫ぶ。
 その目には滝の如き涙が。
 イレブンは晴れやかな顔で扉を開けた。
 イレブンの目に入った物は……『水も滴る良いコース』の垂れ幕だった。
「お前たちは来てはいけない! ここは私が食い止める! うぉぉ!」
「リーダぁー!!」

『なんだか暑苦しいチームどすな……』
『……はい』
 柚子の言葉にタノベは素直に頷いたのだった。

■水も滴る良いコース■
 イレブンは扉を勢いよく閉めた。
「これであいつらが俺を追って無駄死にすることはないだろう……」
 そんな事を呟いたとき、上から大量のローション入り水が降ってきた。
「なんなんだ!?」
 続いて黒子健勝からアンモニア入り水風船がお見舞いされる。
「く、臭いっ!!」
(げっ……教導団のイレブン殿であります。まずいであります。ばれるなであります!)
「お仕置きだもん。あと宜しくね!」
 沙幸が真人達に話しかける。
「やーっておしまい!」
「……はいはい。ポチっとな」
「うおぉぉ! 穴に向かって床が動く仕掛けなのか! 落ちてなるものかぁ!!」
 必死の形相で走るイレブンの頭上に大きな物が落ちてきた。
「またなのー!!」
 再び落ちてしまった沙幸によって穴へと楽々入ってしまった。
 2人は無事に外の池へと直行したのだった。

■第2問目■
 イレブンの犠牲によって、正解の扉を選べた皆は蛮族をリンチにした。
「右。文字の右端にあたりってある」
 問題文を一瞥して、ルカルカが自信満々に告げる。
「一応、ルカルカが先に行って見てくるから、待ってて」
「1人で行くなんて危険ですぅ!」
「大丈夫、大丈夫。行ってきます」
 シャーロットが心配をしたが、明るく不正解の扉を開けたのだ。
「こっちは……メイドカフェ!?」
 ルカルカがそう叫ぶとゆっくりと扉は閉まった。
「ち、畜生ッ! 鏖殺寺院の野郎……絶対許さねぇ!」
 床に拳を打ちこみレイディスが涙を流す。

「ルカルカ!?」
 一緒に行く事の出来なかったダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)がスクリーンの前で叫ぶ。
 そして、ダンジョンの入り口へと走っていった。

■体力削りコース■
「いらっしゃいませ、お嬢様ですぅ〜」
 黒と白の長い丈のメイド服を着たメイベルが出迎える。
「えっ? えっ!?」
 垂れ幕には『体力削りコース』としっかり書かれている。
「ここはお仕置き部屋なんだよね?」
「そうですぅ〜。あ、こちらの席にお座り下さいですぅ〜」
 赤いテーブルクロスのかかった丸いテーブルへと案内され、着席した。
「こちらがメニューになるよ。残さず食べてね」
 入口とは違う扉から現れたのは、ピンク色の丈が短いメイド服を着たセシリアだった。
 セシリアがテーブルに置いたのは血の池地獄も真っ青な深紅の色したラーメン5人前。
「……へっ? なんかもう食べ物として大丈夫なの!? 匂いだけで目とか鼻が痛いんだけど!?」
「お仕置きですからぁ〜。頑張って食べて下さいねぇ〜」
「ま、負けないんだから!」
 汗が滝の様に流れる。
 唇が腫れ、口紅を塗ったかのように赤く染まる。
「か、完食! どうだ!! うぅ、唇と喉がひりひりして、お腹の中が凄く熱いよぅ」
「おお〜ですぅ〜。では次はあちらに進んで下さいですぅ〜」
「まだあるの!?」
「勿論! だって、お仕置きだもん!」
 次へと進むと、ルカルカを待っていたのは凶器と化したバレーボールだった。
「あの程度の問題を間違えるルカルカには、もっと緊張感を持って勉強してもらわなければならん……そこで! 僕からのお仕置きは題して! 『君が正解するまで……投げるのをやめない!』だ……。そこ! 微妙な顔をするな!」
「……」
 微妙な顔をして、ルカルカが見つめる。
「さあ、始めるぞ! ボールに書いてある計算式を瞬時に読み、答えをだすのだ!」
「では、行きます」
 ロージーがルカルカのボディを狙い、ボールを投げる。
「えっと……5足す6は……」
 体育の能力が高く読む事は出来るのだが、瞬時に計算が出来ていない。
「ダメだ! 遅い! 次!!」
「行きます」
 10球ほど消化してやっと攻略となった。
「もう終わりだよね?」
「まだだぞ! さあ、次に進むが良い!」
 ブレイズが指したのは奥にある、扉だった。
「お邪魔しま〜す……」
 扉の中は真っ暗闇。
 ちゃらら〜ん♪
 扉が閉まると何処からともなく聞いたことのある音楽が流れてきた。
 影から現れた人に殺られそうな曲だ。
「シャンバランダイナミィィィック!!!!」
 背後から声がしたと思ったら、自分のカルスノウトで服を切られていた。
「あっ、いやぁ〜ん!! ルカルカ・離脱します・グッド・ラック!」
 正面から倒れ込むが豊満なバストがクッションの役目を果たし、ダメージはない。
「悪は滅びるのだ!」
 部屋に照明が灯ると仮面を付けた正義がポーズを取っていた。
「悪じゃない! ちょっとおバカなだけだ!!」
 扉を勢いよく開けて、ルカルカを抱き上げたのはダリルだった。
 お姫様だっこをして、颯爽とお仕置き部屋を後にしたのだった。

■第3問目■
 パラミタオオカミもぼっこぼこにしていた。
「面倒ですぅ〜。もう左で良いですよねぇ〜」
 シャーロットが考えもなしに扉を開ける。
「あれ……?」
「戻って来るのよー! シャルーー!!」
 祥子の声も空しく、扉は閉まった。

■ムチョマッチョコース■
「筋肉〜元気ですか〜? はっは〜!!」
「いーやーーーー!!」
 マッチョの抱擁という挨拶を受け顔を青くする。
「さぁ喚くがいい! 泣くがいい! 泣いても一切助けはないがな!」
 ガラス越しに円が笑い声を上げる。
「女の子がたりないのよぉ〜」
 飛び散る汗に耐えられず、とうとうオリヴィアが火術をガラスに放ち、壊す。
 そして、円をぶん投げた。
「マスター! 何するんですかぁ!?」
「そのままあなたもお仕置きされちゃいなさぁ〜い」
「ええ〜っ!!」
 このあと、チョコバナナを銜えたテッカの足裏マッサージも味わい2人とも泣き叫んでいた。
「バナナと筋肉足りてますか〜?」

■第4問目■
 ここも戦闘は無事終了。
「……解らないわね」
「そうだな」
 祥子が問題文を見て言うと、レイディスも同意した。
「じゃあ、次は私の番ね。私、無事に済んだらやりたいことがあるの」
 そう言い残し、彼女は右の扉の中へと消えて行った。

■開拓コース■
 ここでも、竜司は打ちのめされ、祥子は服をチェーンソーで切られていた。
 やることをやってから既に定位置となった部屋の隅へと落ち込みに行ったのだった。
 渡されたタキシードを着こなし、恥ずかしげもなくセリフを言い口づけを済ませる。
「んっ……あっ……いやーーーん!」
 が、くすぐりには勝てなかったようで、なんとも艶っぽい声を出していた。
 留美達を更に興奮させたのは言うまでもないだろう。

■最終問題■
 とうとう、チームも残り2人となった。
「ついにここまで来ましたな」
 倒れている長の側でセオボルトが寂しそうに呟く。
「セオ……お前とここまで来れて楽しかったよ。もし、さ。俺が逝っちまったら……皆の仇頼むわ」
「ばっか野郎! お前の仇なんかとりたくない!!」
 セオボルトがレイディスをぶん殴る。
「ああ、そうだな……」
 頬をさすりながら、決意を固め左の扉へと入っていった。
「ちょっ、あり得ないんっだけどっ! ぎゃーーーーー!!」
 こうして扉は閉められた。
「くっ……イレブンー! ルカルカぁ! シャロー! さっちーん! レイー!! 自分は……自分は……皆の死を無駄にしない!」
 死んではいないのだが。
 セオボルトは号泣してのゴールとなった。

■女王様コース■
「あら、またお客様ね」
「あっ、なんかちょっと気持ち良い? いや、やっぱりヤダーー!!」
 エレクトリックがレイディスに鞭を振り下ろす。


 こうして、ダンジョン挑戦者の戦いは幕を下ろしたのだ。