First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
Next Last
リアクション
第四章 影なる努力と音楽室での派手なアレソレ、のちにティータイムと特別チェックポイント。
厳密にいえば、浅葱 翡翠(あさぎ・ひすい)は新入生ではない。
今年、初等部から進学し中等部への新入生として挨拶を受けたけれど、スタンプラリーに参加しなければいけないほど勝手がわからないわけではなかった。
ならばなぜ、透明なカードケースにスタンプラリーのカードを下げて廊下をうろついているのかといえば。
どうすればいいかわからない新入生をスタンプラリー実行委員のところまで誘導して、説明を受けさせたり。
学校校門に、メガネのヘタレが時折出没するという都市伝説で場を賑わわせたり緊張を解かせたり。
年齢的にはまだまだ若輩者だが、それでも先達として新入生が学校に馴染めるようにと、西へ東へ二階へ三階へと駆けまわっていたのだ。
そんな翡翠が今見ているのは、
「シズル様っ」
加能シズルその人だった。迷ってしまったらしく廊下をうろうろしていたシズル一行に話しかける。そしてカードを見て、
「この進行具合でしたら、次は音楽室に行くのがいいと思います」
とアドバイス。
「ありがとう翡翠さん。……あの、また迷ってもみんなに申し訳ないし、一緒についてきてくれないかなぁ?」
「私がですか? お任せください、案内しますよー!」
胸を張って、音楽室を目指した。
途中、この窓から見える景色が学校内で一番綺麗だとか、今校門に停まっている車は秋になると石焼き芋を売り始めるのだとか、くだらないようで覚えておくと学校生活が少しだけ楽しくなることを話しながら。
不意に、シズルの視線が気になった。訝しんでいるような、そんな目だ。
「どうなさいました?」
「うーん……なんだか、翡翠さんを見たことあるのよね」
「えっ」
シズルは入学し直した、元蒼空学園の生徒であるという話を翡翠は思い出す。
だとしたら、いつかどこかで初等部在学中の翡翠を見られていたのかもしれない。
実は新入生でない、ということをバラしくない。ひっそりと影から助ける役で居たいのだ。それで、多くの新入生に、これからを楽しみに生活してもらいたいのだ。蒼空学園に愛着を持ち、馴染んでもらいたいのだ。
「うーん、どこだったんだろ」
「どこでもいいじゃないですか。ねっ。あ、ほら、あそこが音楽室ですよー。隣が準備室で、大きい楽器は準備室の中にあるんですよ。まずは音楽室ですね」
案内してしまえばこっちのものだと、音楽室のドアを開いた。
「へぇぇんっっしんっっ!!」
突如音楽室に響き渡った声に、シズルは身を固くした。警戒。
変身? 何にだ?
レティーシアや新入生、翡翠を背にかばうように一歩前へ出て、警戒心を欠片も解かず素早く視線を巡らせる。と、音楽室の真ん中で風森 巽(かぜもり・たつみ)がマイクを片手に仁王立ちしている姿が目に入った。
「な――」
にをしてるの、と言おうとした声が、
「蒼空学園へようこそ! 仮面ツァンダーソークー1がみなさんを歓迎しよう……盛大になっ!」
仮面ツァンダー? ソークー? 何を言っているのかよくわからない。
そのせいか、音楽室に落ちたのは沈黙。
レティーシアは「なんですの?」と眉根を寄せてまじまじと巽を見、翡翠は困ったような顔をして笑っている。灼那を始め新入生たちは困惑するばかりだ。
滑っている、という事実。
それに気付いた巽が、バツの悪そうに頭を掻いてから、「あー」と意味を成さない発声をし、
「真面目に説明すれば汚名挽回できる?」
「え、えぇ……でも、汚名は挽回しちゃいけないと思うわよ。返上か、名誉挽回にしなきゃ」
「ですよねー」
シズルからのツッコミ兼フォローを受けた巽が、咳払いをひとつ。次に顔を上げた時、思いのほか真面目な表情をしていて、そんな巽を見てシズルが思ったことは『頼れそうな先輩』だった。
シズルの心中などいざ知らず。巽が言葉を紡ぐ。
「ここではプロフィールやクエストでの決め台詞やスキル、必殺技なんかの発声練習が行えるぞ。
練習は大事だ。ここぞって時に台詞を噛むと恥ずかしいからね?」
噛んだことがあるのだろうか、それとも噛んで恥ずかしい思いをしている人を見たことがあるのだろうか。巽の声は本当に真剣だ。
「まあ、真面目にって思ったけど――説明だけじゃこれで終わりだし。味気ないし、物足りないだろ?」
と、いうわけで新入生諸君にはここに立って決め台詞と自己紹介を言ってもらおう。
最初は、そうだな……加能シズルさんから」
「わ、私!? なんで私がっ」
「以前空賊に捕まったことがあるから」
「どういう理由なのっ!?」
『頼れる先輩』というのは撤回だ。『面白おかしく場を乱す先輩』だ!
でも、実際ちょっと面白そうだし。
レティーシアたちも「面白そうですわね」と会話しているし。
ちょっとくらいなら、そう本当にちょっとくらいならやってみてもいいかもしれない、と。
シズルは巽の隣に立って、マイクを手にする。
大きく息を吸い込んで、そして、
「シャンバラの平和は守ってみせる!」
今強く思っていることを、言葉にした。
*...***...*
校長室まで出向いた後、音楽室の近くを歩いていた火村 加夜(ひむら・かや)の耳にシズルの声が飛び込んできた。歩きづめだった足を止め、辺りを見回す。
音楽室の中からは、「腹筋を意識して、腹の底から声を出して!」「そこでさらにカッコよく!」「もっと熱くなれよ!」など激励の言葉らしきものが断続的に聞こえてくる。それの合間に「私はっ、シャンバラのっ!」シズルの声も混じった。
他生徒の声も混じって来て、気になって音楽室のドアを開けると、「あ」と全員が加夜を見て、そして赤面した。
「……ぁー。恥ずかしい……」
「そうですか? とても素敵なことを言っていたと思いますけど」
真っ赤になった顔を両手で覆うシズルに微笑みかけながら、廊下を歩く。話題を逸らすためか、シズルが「そういえば」と話を切り出してきた。
「加夜さんはどこまで回ったの?」
「私は、まだ校長室に行っただけです」
「校長室に?」
「はい。先日7月19日は、御神楽 環菜(みかぐら・かんな)校長の誕生日なんです」
「校長先生の誕生日!? 知っていたら何か用意しましたのに……」
加夜の言葉に、自らの情報不足を恨むようにレティーシアが苦い顔をする。シズルも「知らなかったわ……」と少し悲しそうな顔だ。そんな二人にまた加夜は笑いかける。
「今年知らなかったなら、来年まで覚えておいて来年は一緒にお祝いしましょう! きっと環菜さんも喜ぶし、私たちだって楽しいですよ」
ね? と言うと、シズルもレティーシアも素直に頷いた。
「そうだよね。また来年があるもの!」
「加夜さんは何をあげたんですの? 来年の参考までに」
「私は、環菜さんの誕生花ルリタマアザミの刺繍の入った皮手袋を」
「皮手袋に刺繍? なんだか難しそうですのね……」
「お友達の人形師さんに教わりながら手縫いしたんです。花言葉は、鋭敏と権威なんですよ。環菜さんにぴったりかなって」
頑張ったから、喜んでもらえるといい。
知らず知らず綻ぶ頬に手を当てて、「ごめんなさい、そこまで興味ないですよね」と謝っておく。
予想に反して、シズルは目を輝かせていた。
「そんなことないわ。とっても素敵」
「そう言っていただけると幸いです、シズルちゃん。
では、そろそろスタンプを捺して回りましょう? あまり音楽室の周りをうろうろしても進みませんし」
「あ」
シズルに任せて歩いていたら、音楽室近辺からろくに進んでいなかった。
次はどこがいいでしょう、と考えていると、翡翠が先導して歩く。それについていくと、やがて教室に行きあたったのだった。
*...***...*
ここ以外にも教室は数多くあるからだろうか。
神崎 優(かんざき・ゆう)の居る教室に、新入生が来ることは頻繁にはなかった。
が、訪れる人が居ないわけではない。ので、わかりやすさを重視した説明も何度かしたし、用意しておいたお茶やお茶菓子もいくらか減っていた。
ただまぁ暇で、水無月 零(みなずき・れい)が淹れてくれた紅茶を神代 聖夜(かみしろ・せいや)と飲んでまったりとしていたところ、教室の前を歩く気配に背筋を伸ばし立ち上がる。
ほどなくして、教室のドアが開いた。
久々に訪れてきた新入生に「ようこそ」と声をかける。見覚えのある顔が、いくつかある。彼女たちが先導してきたのだろう。そして彼女たちの後ろには、加能シズルを筆頭として新入生が何人か。
「ここは……?」
新入生の一人が、教室内を見回していた。物珍しいものを見るような目をしている。
「教室だ。ここでは部活動や秘密結社など色々な活動が行われている」
「秘密結社?」
胡散臭そうに思っているのだろう、そんな声も上がった。無理もない、と優は思う。蒼空学園に入ってすぐの頃、部活動を探していて、活動内容の中に秘密結社を見つけた時に全く同じような反応をしたのだ。なぜそんなものがある。胡乱すぎるだろう、と。
しかし、あるところにはあるものなのだ。
「秘密結社は、文字通り秘密な活動をしておりますから。説明することは難しいですね」
懐かしく思っていると、新入生へと陰陽の書 刹那(いんようのしょ・せつな)が受け答えをしていた。
「犯罪組織や非営利団体もあるからな。入る際にはきちんと内容を理解してからにすること」
椅子に座ったままの姿勢で、聖夜がそれに補足をし、
「もちろん、ごく普通の部活やファンクラブなんかの健全な部もあるから、安心してね?」
零がさらに補足した。
その言葉で、新入生一同はほっと安心したのか、表情に安堵のそれが見えるようになった。そのタイミングで零と刹那が紅茶と菓子を配って回る。
「ありがとう」
「いただきますわ」
シズルやレティーシアもそれを受け取り、椅子に座って味を楽しんだ。
くつろぎの空間と化した教室に、
「部活って詳しくはどうなんですか?」
質問の声がちらほらと上がる。
「詳しく……といってもいろいろあるしねぇ、優?」
「ああ。自分に合ったモノを探して見付けてもらうしかないな」
「パートナーとは一緒の活動をしなければなりませんか?」
零と優が答えたかと思うと、また別の声。
「そんなことはないぜ。刹那は天空観賞会っていうコミュニティに所属してるけど、俺も優も零も入ってないしな」
「そなたが入りたいと思ったコミュニティに入ればいいのです。難しいことではないでしょう?」
聖夜と刹那が答えると、「なるほど」と納得の声が上がった。
ゆったりとした時間が流れる。一日教室の説明をしていて、今の二つが最も多く上がる質問だった。それが終わればティータイムが済むまで歓談だ。
この教室でのお喋りを機に、新入生らが仲良くなっていってくれればいいな、と思いながら、教室から外を見た。樹齢百年以上とも謳われる立派な大樹が目に入った。
「そういえば、あの木の傍に朝野 未沙(あさの・みさ)さんと小谷 愛美(こたに・まなみ)さんが特別チェックポイントを作ったとか……」
同じく大樹を見ていた刹那が呟くと、新入生の目の色が変わった。特別、というところが気になったのだろうか。
「紅茶とお菓子、ご馳走様! 私たち、あの木のところまで行ってみるわ」
シズルも例外なく気になったらしく、すぐに立ち上がって宣言した。
「ああ、気をつけて」
「階段を駆け下りちゃだめよ?」
「廊下も走らないように」
「これからの蒼空学園生活が素敵なものになるよう、心よりお祈りしております」
それぞれがそれぞれに手を振って。
教室は、また静かになった。
*...***...*
「この木はね、桜の木。桜が満開の時に、この木の下で告白されると結ばれるっていう伝説があるの。
それから、校舎裏の滝にも言い伝えがあってね。虹が掛かった時にその虹の下をくぐった二人は結ばれるって」
あとはね、とロマンティックな恋愛ポイントを、未沙は列挙していった。愛美がそれに対して「素敵だよねぇ♪」と夢見がちな様子で両手の指を組み、うっとりと微笑む。
「あとはね、学園にある花壇のどこかに、『一緒に見た人と、ずーっと友達』って言い伝えのある青い花が咲く場所があるんだって。マナ、今度探しに行こうね♪」
「そんなことしなくても、マナは未沙ちゃんとずっと友達だと思うけど……」
「きゃーっ、あたしもマナとずっと友達!」
「ねー♪」
友人同士のいちゃいちゃをしている未沙と愛美に微笑みながら、シズルら新入生は桜の木を見上げた。今はもう、当り前だが散ってしまっている。
この花が満開になる日。来年の春。恋だなんだとうつつをぬかすつもりはないが、それでもやっぱり女の子。ちょっとはそういう伝説に惹かれるところは、ある。
なので思わず「素敵ね」と呟いてしまって、レティーシアに「ふふ」と笑われた。
「な、何よ?」
「シズルさんも、女の子ですものねぇ?」
「……もう。いいでしょ別にっ」
顔を赤くしながらそっぽを向くと、未沙と目が合った。微笑まれる。このままこの場所に居たらレティーシアにいじられそうだと、
「他に見所とかってあるんですか?」
反射的に訊いていた。
「うん、アサノファクトリーがあるよ」
「アサノファクトリー?」
「機晶姫専門店! 機晶姫の修理・改造・整備をやってるよ。
場所はツァンダ郊外のお屋敷の一角。今後はイコンの整備も出来るように拡大中! よろしくね♪」
今から行くにはちょっと遠いので、場所を記憶に書き留めておく。
「また、言い伝えのある場所をマナとリサーチしておくからね♪」
楽しそうに笑う未沙に手を振って、場所を移した。
*...***...*
レティーシア・クロカス。高飛車で、人を振りまわす我儘令嬢。
だけど本当は、優しい方。
それがわかっている本郷 翔(ほんごう・かける)は、彼女が妙に高飛車に出て失敗することがないように彼女をサポートしようと思って、走ってきた。
「レティーシア様!」
翔の呼び声に、レティーシアが足を止めて振り返る。
走ってきたせいで息が切れていて、それを見たレティーシアから、
「あら、みっともない。臨時と言えど、執事たるものそんなに疲弊した姿を見せるものではありませんわ」
という辛口のコメントを受け取って、内心慌てつつも落ちついて何度か深呼吸し、息を整える。
「お見苦しいところを、すみません。これを渡したくて急いでしまい」
「? なんですの、これ?」
お守りを鞄から出して渡すと、レティーシアがきょとんとした目でそれを見つめた。
「禁猟区のお守りです」
「禁猟区? どうして? 必要かしら」
「レティーシア様に危害が及ばぬようにと。そのためのお守りにすぎません」
不愉快ですか? と視線で問いかけると、ふいっと目を逸らされた。
「別に。所持するくらいなら、まぁ、してあげますわ」
「ありがとうございます」
微笑んで、傍らに立つ。
「それで? わざわざわたくしのところまで来たということは、またですの?」
「はい。臨時執事としてやってきました。どうぞお傍に置いてください」
「構いませんわ。案内役としても、もちろん使えるのでしょう?」
「お任せください。たとえば、音楽室は行きましたか? あそこには――」
かねてから身に付けた博識を披露すると、レティーシアはもちろんのこと、シズルや新入生、在校生までもが興味津津に翔を見た。少し気恥ずかしさを感じながらも、次々と裏事情にも似た知識を話して聞かせる。
「……と、いうわけです」
「なかなか面白い話でしたわ」
レティーシアが笑った。その笑みに翔も微笑む。
「いい学園生活にしていきたいですね」
「当然、なるのでしょう? 貴方が居るのだし」
「恐縮です」
ふふん、とレティーシアが今度は高飛車に笑い、
「してみせますわよ、最高の学園生活に」
宣言するのだった。
さて、一方で出遅れたレティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)が二人のやり取りを見て、
「レティーシアにもいい友人ができたみたいですねぇ?」
のんびりと、呟く。
「レティシアやシズルさん以外にも友達ができたみたいですね?」
隣で、ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)が微笑んだ。
「うむむ。安心するあちきと、ちょーっと嫉妬しそうなあちきがいますねぇ。複雑です」
「じゃあ、早くレティーシアのところへ行きましょうか。案内して差し上げるのでしょう?」
「もちろんです。そのためにスタンプラリーに参加しましたからねぇ」
以前、ちょっとした出来事をきっかけに友人になったレティーシアが入学してくるとの事だったので。
なら歓迎しよう、案内しようと思っていたのだ。
勢い余ってスタンプラリーに参加したら、名前が一文字違いなことによって、新入生在校生問わずちょっと勘違いをされて、そのせいでスタート地点での合流には失敗してしまったけれど。まあそれも笑い話としてレティーシアに語れればいいだろう。
鼻唄を口ずさみながら、スキップして。
「レティーシアー♪」
名前を呼んで、抱きついた。「きゃぁ!?」と、レティーシアの口から、珍しく年相応の少女らしい悲鳴が上がり、「レティーシア様!」ほぼ同時に翔によって引きはがされる。
「えへ。お久しぶりですねぇ?」
「なんだ、レティシアでしたの」
「ご不満ですか?」
「まさか。知らない人に抱きつかれるだなんて想像もしたくないですわ」
つん、とそっぽを向く彼女に再びぎゅぅっと抱きついて。
「あちきはレティーシアに会えて、不満どころか満足千番ですよ」
「はぁ……」
「ため息なんて。いけずですねぇ、久しぶりの逢瀬だと言うのに」
「貴方はさっきから何を言っているのですか」
レティーシアから二度目のため息。
その傍らに立つ翔が、
「レティーシア様のご友人でしたか。ご無礼をお許しください」
「いえいえ、あちきもいきなりすぎましたから、お気になさらず」
「貴方は少し気にするべきですわ。というか、離れなさいっ」
今度はレティーシアによって引きはがされながら、レティシアは笑った。よかった、変わってない。とはいえ、最後に会った日から対して月日が経ったわけではないのだけれど。
「ところで、あちきとミスティも学校案内に混じっていいですか?」
「えぇ? ……どうしますの? わたくしは構いませんけど」
レティーシアは、翔に向けて問いかける。翔は涼しげに微笑んだまま、微かに首を縦に振った。
「執事様のお墨付きですねぇ、善哉善哉」
「だからなぜいちいち抱きつくのですっ」
「それはレティーシアのことが好きだからねぇ?」
「よくまぁそんな恥ずかしげもなくっ!」
「私もレティーシア様のことが好きですよ」
「翔!? 貴方まで何を仰るの! ……はぁ、こんな方々が先輩だなんて……」
そう言いながらも、レティーシアの顔に浮かんでいるのは笑顔ではないのか。
レティシアも、翔も、顔を見合わせて笑う。
後方でミスティが、今日は一日平和そうです、と微笑んだ。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
Next Last