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兵は詭道なり 前編 グレタナシァに集結する敵勢。 (前章のように)本陣では、北の戦線への部隊投入が決められていたが、最前線・北の出城を守る龍雷連隊は本営との連絡を特に取らないまま、独自の戦いを挑む。 そう、この男には、自信があった。城のバルコニーから北を睨む忍び装束の彼の表情には、充分それが窺えた。 「我の采配で、この戦、勝利に導いてご覧に入れましょうか」 忍者軍師、立つ。 ラッテンハッハ率いる黒羊第二波軍、ならず者集団、そしてドストーワより到着した獣人軍団の先陣、その総数……800! 兵は詭道なり-01 ナインとロザリオ グレタナシァのとある宿屋。 ハァハァ……少女の荒い息が聞こえている。 「ウッ」 がくっと倒れる、でっぷりした裸の男。すでに果てている。 ベッドの影から現れた女は、ナイン・カロッサ(ないん・かろっさ)。 「……ハァ、ちょっと手間取ったわね。じゃあ、身包み剥いで……これでよしっと。 この通行手形は頂くわ。それから服も、それに外にある馬車も頂戴しなくてはね。ふふ、命は獲らないわ。悪く思わないでね」 そこへ、何者かの気配。 「ハッ。だ、誰?」 カービンを構えるナインだが。 「オレだよー!」 「その高めの可愛い声は……。どうしてここへ」 密命ね。ナインは思った。この子をここへ遣したということは、龍雷のあの忍者軍師が復帰したのだろう。 天井から素早く降り立つ、兜を被ったゆる族の影。 「忍びだからな。御安いことにゃ」 「ちょ、ちょっと待っててよ」 「オッ。何してたにゃ。裸の男がいるぜ」 「……ご覧の通りよ」 奴隷商人の服に着替えたナイン。 「その男は気を失っているわ。ここへ閉じ込めてゆきましょう」 「甘いぜ、ナイン。男には死んでもらおう。 おぅらおぅら、何べんでも、死んでこい!!」 「ちょっ、ちょっと! 起きるじゃない」 「すまん」 ゆるいサーベルタイガーの姿をした影は、ナインに耳打ちする。 「……成る程、砂漠の小国とね。ウン。彼の策はわかったわ。 ちょうどいい、私も情報を掴んでいるの。通行手形も馬車も手に入った。……ふふ、じゃあ任せてもらおうかしら」 「では以降、オレはナインあんたの身辺警護をするよ。これも三郎の命令にゃ」 「ええ。頼むわ、ロザリオ・パーシー(ろざりお・ぱーしー)」 |
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