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ラビリンス・オブ・スティール~鋼魔宮

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ラビリンス・オブ・スティール~鋼魔宮

リアクション

 SCENE 11

 一方その頃、シルミット姉妹を捜してグロリア・クレイン(ぐろりあ・くれいん)は独自の調査を続けていた。グロリアはまだ、姉妹が保護されたことを知らない。
 彼女の捜索方法は他のメンバーとは違っていた。全体のやや後方を行き、敵の残骸や壁の破損などのある場所を主に辿るのである。
(「何か見逃しがあるかもしれない……誰かが通った後にこそ、発見が残されているかも」)
 自分が少女二人だったらどういう行動を取るか、それをグロリアは想像した。たとえば隠し扉があれば、敵をやり過ごすため、あるいは核心に近づくために最優先でこれを選ぶはずだ。戦闘の痕跡が残る場所にこそ、そうした手がかりが残っているのではないだろうか。
「レイラが何か伝えようとしてるわ」
 アンジェリカ・スターク(あんじぇりか・すたーく)がグロリアを呼ぶ。
「……」
 レイラ・リンジー(れいら・りんじー)は足を止め、グロリアが振り向くのを待っていた。レイラは極度の無口であり、心を許しているグロリア以外には口をきいたことがない。グロリアが相手であっても、首を動かしてYes/Noを示すのが基本だ。まれに話しても囁く程度である。だがそんなレイラの鋭さをグロリアは尊重していた。彼女が自分から何かを伝えようとするなら、それは大きな発見に違いない。
 レイラは黙ったまま、自分の側面の壁に手を触れた。
「どうしました? 何か、その壁に?」
「調べてみる」
 さっとアンジェリカが扉を調べ、やがて巧妙に隠されたスイッチを発見する。
 レイラの読みは正しかった。隠し扉の入口だったのだ。
「これは、入ってみるしかないよね?」
「ええ、そうしましょう。ありがとう、レイラ」
「……」
 レイラは何も言わないが、嬉しそうなのがグロリアには判った。
「っ、あぁぁぁん……も、もうっ、もうやめ……」
 通路の先から、喘ぐような切ない声が聞こえてきた。
「まさか拷問を……」
 血相を変えて先を急いだグロリアたちを待っていたのは――もうお気づきであろう。
「……やあんっ、そこ……感じすぎて……ぁあ〜!」
 マジックハンドに色々ほぐされているアリア・セレスティ、彼女が押し込められている小部屋であった。